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挿話 ノーラの質問
先日、ノーラから言われたことを思い出した。ライラがオズワルドの館を訪れた日のことである。
「師匠はアルベル夫人のことが好きなのですか?」
ごほぅっとオズワルドはお茶を噴出した。なぜそうなるのだろうかと首をかしげると。
「どうも、師匠の夫人への視線が気になって。城での噂も師匠と夫人の距離が近いとか、昔なじみだとかで閣下がやきもきしているとか」
確かにそんな噂になってしまったような気がする。
我ながら距離感を誤ったかもしれないが、今更だしなぁ。それにクロードの反応は面白いし。
「ないよ。とにかく僕があの子に恋愛感情を抱いたらやばいでしょう」
「まぁ、やばいですよね」
ノーラはこくりと頷いた。
臣下が主君の妻へ恋慕するのはいろいろと面倒のもとになる。
ノーラの考えとは別なのだけどなぁとオズワルドは呟いた。
「さすがに子供に恋愛はないでしょう」
「それも最低ですね」
ノーラからの男としての評価が一層下がってしまった。
意図は別なのだけどと思うが、さすがにノーラに説明するわけにはいかない。
自分の娘に恋愛することはないという意味だったのだけど。




