閑話 オズワルドの書斎
リチャード・リド=ベル大公のアルベル視察が終わり、ジーヴル城は一段落となった。
オズワルドは館へと戻り、研究の続きを始めた。すでに弟子たちがまとめた報告書を手に持ち書斎の椅子に腰をかけた。
窓の外をみると白いふくろうが木の枝にとまりオズワルドを見つめていた。
手紙や情報を運んでくれる使い魔である。
いくつかの魔物とふくろうの間に生まれた混血魔物だった。
同種族から異端扱いされ、森から追い出されたところをオズワルドが偶然拾い、魔法を仕込み使い魔に育て上げた。
姿を隠匿する魔法を使い、敵に見つからないように移動する。魔力があるものに見つかったとしても、オズワルドが仕込んだ魔法により攻撃があたりにくくなっている。
主に北の方で活躍してもらっていたが、ここ最近は帝都の方にも出向いてもらっている。
ジュリアから美味しいおかしをたんまり食べさせてもらっているので回数を繰り返すうちに嬉しそうな反応をしていた。
オズワルドは立ち上がり、窓をあけ白いふくろうに声をかけた。
「ごくろうさま。当分はジュリアの元への仕事はなし。あー、明日北の方へ情報を持っていてもらいたいから今日は休むように」
オズワルドがそういうと白いふくろうは手製の小屋の中へと入っていった。窓を閉じているが、ぽりぽりと咀嚼の音がする。
手紙と一緒にジュリアからもらったお菓子を持ち帰ったようだ。
オズワルドは机の上に置いていた手紙を二通確認した。ひとつはジュリアからの手紙ですでに開封済みだった。
もう一通は未開封のもので、アビゲイル公女がある人へあてた手紙である。
慣れない文字を一生懸命書いたのは何とも微笑ましいものであるが、果たして相手はこれをどう受け取ってくれるか。
公女のたっての願いなので、届けるしかない。内容は別に公国にとって問題になりそうなものではない。ただ一人の友になりたいと願ったものだ。
それが公女にとってどう転ぶかはわからない。
ただ、知りたいという要求を止めてしまうのも酷なものだ。
いずれは帝都へ行く少女が少しだけ別世界をのぞき見してもバチはあたらないだろう。
白いふくろうには明日この手紙を持って飛んでもらう予定だ。




