5 雪結晶病
シャフラへ行く準備でライラを見てリリーは首を横に振った。
「でも、身動きとれなくなるのはどうかと思うの」
「いいえ、いくら温泉地帯と言っても寒いことには変わりありません。道中、薄着ではまた体調を崩してしまいます」
全く譲ろうとしないリリーをみてライラはため息をついた。
身に着けさせられた防寒具はかなりの重さであった。
はじめは姉が用意してくれたコートだけで十分と思ったが、暖かい肌着を何重にも重ねられて鏡の前のライラは真ん丸な雪だるま状態であった。
歩きも普段より遅くなった気もする。
「ライラ、ちょっといいかな」
オズワルドがひょっこりとライラの部屋を覗きにきた。
今は城に滞在しているようだ。
「オズワルド様」
「昔のようにオズと呼んでいいよ」
そうは言われても困る。今ではオズワルドはアルベルの賢者であり、英雄クロードの師である。昔のように親しい呼び名はライラには難しかった。
気にしなくてもいいのになぁとオズワルドはぼやく。
「クロが不在の間、何かあったら困るからね。城と周辺は僕が守っておくから安心して羽を伸ばしておいて」
とはいえ、クロードはそれでも周辺の魔物関連の討伐にでかけたり、シャフラの自治区の問題について確認したり仕事は続けるだろう。今回は視察の意味もこめられている。
「それにしても……可愛いね」
オズワルドはまじまじとライラの真ん丸着ぶくれ状態をみて笑った。
「笑わないでください。もう、みんな大げさなんだから」
「いいじゃないか。君は寒いのが苦手だろう。温暖なイセナの冬でも辛かったのだから」
笑い続けるオズワルドにライラは不機嫌になる。
「シャフラの湯にしっかりとつかるといい。どうせなら天狐湯につかれたらいいな」
「天狐湯?」
オズワルドが教えてくれた。
シャフラに生息する北天狐らは隠し湯を管理している。その湯に浸かれば、アルベルの寒さに耐えられるといわれている。
「僕らは既にこの土地には慣れたから必要ないけど、君に是非つかってほしい」
「隠し湯というと、簡単にはいけないのですよね」
「そうだよ。北天狐と仲良くする必要がある」
それを聞くとライラは困ったように眉をひそめた。
アルベルの書物を読んだが、北天狐は警戒心が強い。
最近は密猟が問題になっているので人前に出ることが減ったか。
「私にそれが可能でしょうかね」
ぴゅーと鳴きながらぱたぱたと飛んでくるブランシュがいた。
「護竜を手名付けている君なら大丈夫かもしれないよ」
オズワルドは笑いながらブランシュの頭を撫でた。
「そういえば、オズワルド様はどうしてこんなにアルベルについて詳しいのですか? 護竜についても」
元はアルベルどころかリド=ベル公国とは縁のない南西の貿易都市の貴族の子であった。
一族の交易先は東の方か、南方の方かである。
北の方の交易はほぼ関わっていない。だいたいが帝都を通して手に入れていた。
生まれて20年近くその土地で過ごしていたオズワルドはどうして賢者と呼ばれるまでになったのだろう。
「僕のこと、興味ある?」
興味がない訳でないが、オズワルドの言い方は少し意地が悪い。
何というか男女の関係にもっていこうとするような口ぶりにライラは思わず後ずさった。
「まぁ、簡単なことを言えば僕の家庭教師がアルベルの出身者だったというだけさ」
「そうだったの。私も会ったことがありますか?」
「いや、君がイセナを訪れた時には既に立ち去った後さ」
オズワルドは遠くを眺めるように目を細めた。
「彼女のことを知りたくて必死にアルベルに関する書籍をかき集めて知識を深めていっていた。ただそれだけだよ」
もしかするとオズワルドにとって大事な女性なのではないか。彼女に会いたくてオズワルドはここまで足を運んで来たのか。
「再会できましたか?」
ライラの質問にオズワルドは優しく微笑み、こくりと頷いた。
そうか。再会できたのか。
それは良かった。
ライラは素直にそう思った。
「さぁ、もう準備は終わっただろう。クロが待っている」
見送ってあげようとオズワルドはライラへ手を差し伸ばした。
荷物はリリーが持ってくれている。
ライラはオズワルドの手をとり、クロードが待つ馬車まで一緒に歩いた。
彼に引かれる手とは逆の腕にはブランシュが抱え込まれていた。
「オズ、どこへ行ったかと思えばライラのところへ行っていたのか?」
「ライラのこの恰好をみると支えがいると思ってね」
意地悪気に笑うオズワルドの言葉にライラはむっと唇を尖らせた。
ささっとクロードの手を握るとクロードはライラを馬車の中へとエスコートする。
だいぶ淑女の扱いがスムーズになってきている。
ライラの着ぶくれさえなければ、絵になっていたことだろう。
ライラは自分の姿に少し不満だった。
「それじゃあ、楽しんでおいで。あ、クロは夫人のことを一番に考えておくんだよ」
何日も魔物討伐にでかけて温泉宿で放置などないようにするようにと釘を刺された。
クロードはわかっていると眉をしかめて、ライラの乗る馬車へと消えた。
◆◆◆
アルベルの道にはすでに雪が降りつもっていた。それでも、馬車を走らせることはできる。
さらに冬が進めば3mも降り積もるらしい。
その時は魔法道具を使用して、人の通り道を確保するように整備される。
「そんな魔法道具があるのですね」
魔法道具は魔術師のような訓練は必要なく、魔力を持っている者が扱えば発動することができる。
帝国でも開発は進められていた。特に馬を使わなくても動く車に力を入れていた。
「ああ、オズワルドらが開発した。必要性高く既に重宝されている」
オズワルドの館は弟子の魔術師たちが数人住んでおり、住む場所ではなく研究所と化しているという。
医療分野やライフラインでもすでにいくつか利用されているものがあるという。
オズワルドって本当にすごかったのね。
改めて感心した。ライラが知るオズワルドは未だに部屋に閉じこもることが多い男であった。
彼の能力が知れ渡っていれば、帝国は絶対に彼を手放さなかっただろう。
「ぴゅー」
ブランシュは道中にちらちらと降る雪に興奮して窓の方へ近づいてはライラの膝に戻ってを繰り返している。
「ブランシュは雪が好きなのね」
赤ん坊の頃は寒さに弱いので母竜に守られて過ごしている。多少大きくなると寒い中でも行動できるようになるが、長時間は厳しい。
母竜に守られながら外気に慣れていくのだという。
「未だにライラを母親と思い込んでいるのは納得できないがな」
クロードとしては早く成竜になって離れて行ってもらいたい。
一時期ブランシュはライラの傍を離れようとせず、ライラと寝食を共にするのをはがゆいと感じた。ようやく離れ始めたかと思えば、クロードがライラと過ごす時間に示し合わせたかのようにライラにべったりなのが釈然としない。
「子供ができたらこんな感じかもしれません」
人と竜を一緒にするのは微妙かもしれない。
それでもライラの子供という言葉にクロードは思わず想像した。
クロードとライラは夫婦である。
今は兆しがなくてもいずれはライラとの子が生まれるだろう。
クロードがブランシュの頭に手を近づけようとすると、ブランシュはがぶっとクロードの手にかみついた。
「……」
未だにブランシュはクロードに対してこうである。さすがに貴重な護竜を退治するわけにはいかないので我慢するしかない。
「でも、はじめの頃に比べて噛みが甘くなっている気がします。クロード様に甘えているのですよ」
「そうかな」
違うと思う。
クロードはあえて口にしなかった。
シャフラは馬車で2日程かかる。途中、雪風が強くなっていく。
雪の積もり具合はあまり変わらないが、冷たい気が強くなっていくように感じた。
「大変だと思うが、もう少しで街に着く。このまま突き進むぞ」
宿までもう少しである。それまで休まずに一直線で進もうとクロードは指示した。
護衛の騎士たちは了解と馬に乗る。
「ライラ?」
馬車で待機していたライラの姿をみてクロードは首を傾げた。ブランシュが心配そうにライラに寄り添っていた。
「大丈夫か?」
朝方は何ともなかったのに、ほんのりと彼女の頬が熱くなっていた。
「大丈夫です。ちょっと風が強いみたいで」
クロードは急いで馬車の扉を閉ざした。彼女の向かいではなく隣に座る。ブランシュはクロードを警戒せず、傍にいることを許した。
「もう少し私によりかかれ」
クロードはそういいライラを抱きしめた。
馬車に揺られると同時にライラの息が乱れているように思う。彼女の額に触れると熱く汗もすごい。
「すみません。こんなに着込んでいたのに」
風邪を引いたようだとライラは申し訳なさそうにした。
「それは仕方ない。早く宿屋に入ろう」
「少し離れて……移ってはいけませんので」
「私は風邪をひかない」
辛そうにしているライラを抱きしめ、早く目的地にたどり着いてくれと念じた。
宿泊街に到着すると観光ものなど目にもくれずまっすぐに宿屋へと入った。
街で一番大きく上等な宿屋である。
公都の貴族を対象にしたホテルと同じ構成にしており、玄関が広々としていた。
「妻が熱を出している。すまないが、医者を呼んでほしい」
クロードに言われてホテルの従業員は早速手配をしてくれた。
最寄りの治療院から派遣された医者はライラの姿をみて訝しんだ。姿というよりライラの腕を触診してであるが。
「失礼ですが、奥様の血縁にアルベルの所縁の者はいますか?」
何を聞かれているのだろうかとライラは首を傾げた。自分の両親はどちらも帝国貴族である。
「では、北天狐に嚙まれたりしたことは」
出会ったこともない魔物の話を何故言われるのだろうか。ライラはわからないまま首を横に振った。
「何だ? 風邪ではないのか?」
「そう思いますが、少し気になった部分はあり確証が持てません」
解熱剤と、対症療法で温泉につかるようにと指示を出された。
「こんな状態で温泉につかれるわけがないだろう」
クロードの言葉に宿屋の従業員がすぐに室内の風呂に温泉のお湯を入れてくれるという。
リリーに支えられてライラは宿泊部屋に隣接された浴室で湯につかった。
しばらくすると不思議とだるさが落ち着いてきた。
まだ少し熱が残っているが、問題なく過ごせると思う。
ライラは寝間着ではなくドレスを希望するとリリーはダメですと首を横に振った。
「また無理をして倒れてはいけません。今日は旦那様の言いつけ通り休みましょう」
食事は部屋で用意されることになる。折角旅行に訪れたのにこのようになるとは残念だ。
「こら、ブランシュ。今日は奥様を休ませてあげましょうね」
リリーはブランシュを抑えて、別の部屋へと連れて行った。ブランシュもいつもと違う様子のライラをみて心配している様子であったがリリーに言われて大人しく引き下がった。
◆◆◆
ライラが温泉の湯につかった後、症状が軽くなったのを聞き医者は頭を抱えた。
「何だ。温泉と何が関係あるんだ」
クロードは医者がライラの状況を把握できていると考え、質問してきた。
「確証はありませんが……奥様は雪結晶病と思います」
はじめて聞く病名であった。
北方の奇病であり過去に見つかったのは5例のみである。さらに北の方、異民族の領域にいけばもう少し症例は多いかもしれない。
一定の寒さの中で血の一部が結晶化し、それが異物と体が反応し免疫反応を起こし熱病を起こすというものである。
ぱっと見、寒い時期に繰り返す風邪のように思えるが、何年もかけ熱を繰り返すと臓腑を痛めつけてしまう。
「そんな病気は聞いたことがない。治療は」
医者は困った表情で首を横に振った。
根治するための治療はなく、熱さましの薬で熱を抑える程度である。
「数年前に判明したことは温泉で身体を温めると結晶化された血が解けて熱が治まるというものでした。それでも、2日程で再度結晶化してしまいますが」
通常の風呂でも試してみたが、もって半日程度であった。
その為、患者はこのシャフラの温泉街に移住させていた。
「その患者は今どこにいる」
「去年の冬に腎不全で亡くなりました」
33歳の女性だったという。
随分と若いが、それでも長く生きられた方だったという。発症後から15年はもたせられた。
同じ病にかかった彼女の祖母は21歳で亡くなったという。発症後2年である。
温泉で結晶化を防ぐのを見つけられたのがもう少し早ければ、彼女の祖母は長く生きていられたかもしれない。
「妻はこの病気と確定するには」
「血液検査をさせていただきます。他の病気の否定をして、ようやく診断に至りますが……温泉で熱を和らげることを繰り返せば、可能性は高いでしょう」
「もし、この病気であった場合は……」
冬の間はこのシャフラの土地で過ごさせるべきだろう。
内心クロードは不安に駆られた。
ライラは大丈夫なのだろうか。最近亡くなった患者の年齢を聞くと随分と若い。
余命はどうなるのだ。
ただでさえ、戦場になりやすい北の土地で闘病させるのであれば、雪が滅多に降らない土地で過ごさせるべきなのか。
そうなれば別々に生活することになってしまう。
ぐるぐると考えてしまう。ライラのことを考えると最善の土地を、と思うが同時に離れたくはないと考えてしまう。
「診断へ至るのに何日かかりそうだ」
「7日程いただければ」
一番はライラにこの病のことを伝え、彼女がどうしたいかを聞くべきだろう。
「ところでさっき言っていたこと、北天狐がどうだと言っていたが」
「はい、この病が見られるのは北……北天狐が生息している土地です。北の異民族の商人から聞いたことがあります。北天狐に噛まれたら熱病を繰り返す、と。全員がというわけではないのですが、雪の降る時に熱を繰り返すため北天狐の呪いと呼ばれているとか」
雪結晶病の発症経路は未だに不明である。
今考えられるのは二通り。北の異民族の言う北天狐の血や唾液が自分の傷に付着してしまった感染説、そして血の繋がった祖先から遺伝する説である。アルベルの患者は発見した5例のうち1例は北天狐の血に触れた密猟者の女、2例は家系をたどると同様の寒い時期に熱病を発症するものがいたという。残り2例は不明であるが、家系を深く辿れば同じ熱病の人がいる可能性はある。
「北天狐を調べれば」
「それができればいいのですが……」
医者は困ったように項垂れた。
「北天狐は人語を解すかしこい魔物で、長いことこの街で慕われています。何とか雪結晶病の研究の協力を頼みこんでいたのですが、ここ最近ぱったりと姿を見せなくなってしまいました」
おそらくは密猟のせいだろう。
「北天狐は人に危害を加えるどころか知恵を授ける賢者、北天狐を狩ってはならないと定められておりました」
公国建国の際に定められた決まりであった。その為、北天狐とシャフラの人は距離が近かった。
しかし、北天狐の毛皮は古い頃より人気であった。
密猟をして帝国へ破格の値段で売りさばくものがいるらしい。
クロードはそういえばと報告書を思い出した。
シャフラで困っている魔物、害獣の件と、北天狐の密猟の件の綴られた報告書であった。
「密猟者を厳しく取り締まり……北天狐の信頼を勝ち得なければならないな」
「それができれば苦労は」
「ただちに騎士たちに調べてもらおう。あと、ここの市長に会って状況を確認する」
クロードは外套を着て、早速市長のいる役所へでかけることとした。
その間にライラの診察を進めてくれと言い残し。
市長から情報を確認して、街の治安がどの程度か把握した。
同時に密猟対策の為の必要な人員、予算を確認した。
この街は観光としては良い場所になりえる。
温泉は、辺境伯領の騎士と傭兵たちにだけではなく他領地の貴族や商人にも評判のようだ。
人の出入りを活発にして経済を発展させておきたい。
その為には治安をよくする必要があった。
「これと、これと、この書類を数日でしあげてくれ」
必要な予算確保の為に市長には書類作成の仕事を与える。完成次第、目を通し問題なければハンコを押すつもりである。
明日には治安部隊の実際を確認しておこう。
一通りの用事が終わった後、クロードは宿屋へと戻った。
宿屋の廊下にはリリーが腕にブランシュを抱いていた。薄手の毛布をくるませてまるで赤ん坊のようにあやしている。
「ライラは」
「先ほど夕食を済ませて休んでおります」
「熱の方は」
「すっかりと下がっております」
馬車の中であれだけきつそうにしていたのに、温泉の効果だろうか。やはり例の病気かと不安になる。
「明日は朝食をご一緒しますよね」
確認するように言うリリーにクロードは「あ」と声をあげた。
「まさか、夕食を待っていたのか?」
「ええ、部屋で夕食を用意しましたが、閣下が来るまで待ちたいと言って……風邪をひいているのだから早く摂って眠ってくださいと説得してようやく食べていただきました」
食欲はあるようで安心しましたとリリーが言い、クロードはため息をついた。
「明日は何時に食事を用意してくれる?」
「7時30分頃を予定しています」
それなら問題ないだろうとクロードは頷いた。
「お仕事があるというのは奥様も承知ですが、奥様にとっては夫婦でのご旅行です。せめて食事は一緒に。なるべく二人でお過ごしください」
リリーの確認するような言葉にクロードはこくこくと頷いた。
部屋は二人で一部屋使う予定であったが、ライラの熱病により急遽部屋を一室用意してもらった。なるべく近くの部屋にしてもらっていたが、クロードは別の部屋へ行く前にライラの眠る部屋へと入った。
ノックすると、しばらくして返事があった。
「私だ。入ってもいいか?」
返事を確認して中に入ると、ベッドから起き上がったライラの姿があった。
先ほどの馬車の中とは違い随分と顔色がいい。安心するが同時に不安になる。温泉に入ったからと思うとなおさらである。
「もう大丈夫なのか?」
「はい。すっかり元気になりました。それなのにリリーは大げさです」
ライラは困ったようにため息をついた。
「でも、クロード様に風邪をうつすわけにはいきませんし、今日は大人しく一人で眠ります」
「一緒に寝てもいいのだが」
「だ、ダメです!」
ライラは顔を真っ赤にして首を横に振った。クロードは彼女の体温を確認するように頬に触れた。
「冷たい……」
「いやか?」
クロードの言葉にライラは微笑んで首を横に振った。
「さっきまでお外にいたのですね」
「ああ、市長の元へ急いで確認する必要があった。その、すまなかった」
夕食を待ってくれていたことに対してクロードは詫びると、ライラはふふっと笑った。
「リリーに言われたのですか?」
「釘を刺された。夫婦での旅行なのだから、もう少しお前と一緒にいるべきだろうと」
「そうですね。では、明日……体調がよければ一緒におでかけをしませんか?」
「ああ、昼からでいいか?」
朝は治安部隊の実際の働き具合を視察しておきたかった。
昼まで問題なければライラも少しだけ街を出歩いてもいいだろう。
「お仕事も大事でしょうけど、無理はなさらないでくださいね」
ライラの言葉を聞き、クロードは彼女の頬を両手でつかみじっと見つめた。顔を近づけるとライラは瞼を閉ざした。
唇が重なり合う。軽い口づけを交わした後、クロードはライラの腕を掴みベッドで横になるように伝えた。
「しっかり眠って……明日は朝食を一緒に摂る。朝には別件ででかけなければならないが、昼には迎えに来るから」
「はい、待っていますね」
お互い夜の挨拶をして、クロードはライラの部屋を出た。
本当ならあのまま一緒にベッドで眠っておきたいが、今日はしっかりと休ませてやるべきだろう。




