表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白亜の魔女ミレーヌの旅行記  作者: 彩音
第一章-幼女時代-
8/43

07.一方的な戦争

嘔吐表現があります。

食事中の方は特にご注意ください。

あらすじの注意事項回収回となります。

 二年が経ちました。

 私も七歳になり、魔導士業も波に乗って今のところは順風満帆です。

 これまでテンサイ砂糖、携帯コンロ、ドライヤー、植物紙などを世に送り出してきた私たち。

 そんな魔道具作成科では新たな試みが始まっています。

.

.

 全ては職員のこの一言から始まりました。


「肖像画って出来上がりまで時間かかるのが困りものですよね」


 例えば子供の誕生日のお祝いの絵など描いてもらっているうちに次の誕生日などということがありますしね。

 そんな時にいつもの変な声が脳内に響いたのです。


〘絵じゃなくて写真ならそういう心配はないよ〙


 鮮明な絵ですね。どうやったらこんなに綺麗に描けるのでしょう。

 え? 絵ではないのですか。写真。カメラという魔道具を使うのですか……。

 なるほど。これは便利ですね。


「カメラを作りましょう」

「カメラ、……ですか?」

「はい」


 そうして私は皆さんに説明をしました。

 ここまで幾つかの道具を作って来た人たちです。

 すぐに面白そうだという結論に至り、作成が始まりました。

 今は筐体の仮作り中です。


「こういう感じですかね」

「ここが反射鏡を取り付ける部分になるわけですね。

 ところで鏡を今よりも綺麗に映るように作れる方は見つかりましたか?」

「あ!」

「あ!!」

「「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

「あははっ。忘れていたのですね」


 困りました。ドワーフさんであれば出来るでしょうか。


「あの」


 私がそんな声を出した直後でした。

 王都リリムに警報が鳴り響いたのです。


"ギュォォォォンギュォォォォォンギュォォォォン"


「これは何の音ですか?」


 生まれて初めて聞く音です。

 なんらかの楽器により出されている音でしょう。

 それを風魔法により遠くの場所まで届けている感じでしょうか。

 これを応用すれば通信機が出来そうですね。


 っといけません。職業病ですね。

 今はそれどころではありませんよね。


"ギュォォォォンギュォォォォォンギュォォォォン"


 又鳴り響きました。

 不快な音ですね。胸がざわめきます。

 この音は何かを思い出しますね。

 あの音も不快な音でした。


〘地震アラームに似てるね〙


 そんな感じしますね。

 ということは何かの異常事態発生の合図ですか?

 皆さんを見ると不安そうな顔をしています。

 当たりみたいですね。


「何が起こったか分かりますか?」


 一人の職員に問いかけます。

 その返事は私の予想外のものでした。


「戦争……かもしれません」

「戦争、……ですか!?」

「はい。前から一部の者たちの間でですが、キナ臭い噂があったんです。

 リリスティア王国に進軍しようとしている国があると。

 噂は噂でしかないと皆、気にしないようにしていたのですが……」

「それが真実になったというわけですか」

「はい。ですがまだ確認が取れていないので」


"バンッッッッ"

「ミレーヌ」


「お母様!!!?」


 驚きました。突然お母様がドアを蹴破るように入室して来たのです。

 その勢いのままお母様は私の元に歩いてきます。

 到着すると私の肩をがっしりと持ち、お母様は話し始めました。


「この国はこれから戦争になるわ。

 貴女は絶対に外に出てはダメよ。約束出来るわね?」

「お母様は戦争に行かれるのですか?」

「ええ、でも大丈夫。すぐに戻って来るわ」

「一体どうして……」

「ここは女性だけの国。つまり私たち目当てで攻めて来たということよ。

 もう怪我人も出ているの。リリスティアは、この国は平和を脅かすものを絶対に赦さないわ。

 徹底的に報復するのがこの国の流儀よ」


 お母様の、まるで研ぎ澄まされた刃のような瞳。そんな顔初めて見ました。

 怖い。そう感じます。ですがお母様ならきっと大丈夫ですよね。


「分かりました。皆さんとここで大人しくしています」

「いい子ね」


 軽く私の頭を撫でてからお母様が立ち上がります。


「行ってくるわね」

「行ってらっしゃい。お母様」


"パタンッ。コツコツコツコツコツコツ…………"

 ここに来た時とは打って変わって静かにドアを閉めてお母様は出ていきます。

 足音が段々遠くなっていきます。

 私は大きく息を吐き、自分の席の椅子に座り込みました。


「戦争……」


 よくない光景を想像してしまいます。

 堪らず椅子から飛び起きて、私は部屋の窓へと向かいました。


 私には一部の人にしか教えていない秘術があります。

 魔力操作の行き先はいつもは大体杖ですが、それを目にすることで私は私の秘術を使うことが出来るようになるのです。


『魔眼発動』


 心の中で呟きます。

 窓に映る私の目の色が青から黄金に変わっています。

 この魔眼、長くはもちません。

 普段は視えない様々なものを()()()ようにするので脳に負荷が強くかかり、とても疲れるのです。

 それでも使用し続けていたら目に火傷を負ったような痛みが走ります。

 試しに一度経験してみましたが、あれはもう二度と経験したくはありません。


 王都リリムから数Km、結界を超えた先の戦場を視ます。


「うっっっ」


 例えるなら[赤]でしょうか。

 残酷な光景が目に視えます。

 しかし一方的です。

 一方的にリリスティアの魔法使いたちが攻めて来た敵軍を蹂躙しています。

 敵軍も魔法対策はして来ているようですが、それはリリスティア軍も織り込み済みで空間から空を埋め尽くすほどの剣や槍などの武器を出現させ、敵軍に雨のように降らせています。

 

「ひぃぃぃぃぃぃ」

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 敵軍は堪ったものではないでしょう。

 頭を守るために腕で抱え込んでもその腕に幾千の武器が刺さり、やがてはその腕が断ち切られて地面にボトリと落ちたら最後。後は死だけが待っているのですから。


 リリスティア軍は敗走する者にも容赦がありませんでした。

 背中を向けて走るものに魔法を行使して武器を飛ばし追撃していきます。

 虐殺です。気持ち悪くなり、魔眼を停止させました。

 

「うぷっっっ」


 ずるずるとその場に座り込みます。


「うぇぇぇぇぇぇぇぇっ」


 そのまま胃の中のものを全て吐き出してしまいました。

 これは夢に出ますね。戦争もこの嘔吐もどちらも悪夢です――――。


 リリスティア王国、国境戦は僅か二日で終わりました。

 攻めて来た軍隊は壊滅したのに対し、リリスティア王国軍は負傷者こそ出たものの死者はなし。

 その後リリスティア軍は攻めて来た国にまで乗り込み、()()()()()王侯貴族を虐殺したらしいです。

 そのためにその国は王国から市民による統治が行われる共和国へと変わることになります。

 そしてその国とは良い貿易相手となるのですが、それはまだまだ先の話です。


*


 戦争から数日が経過しました。

 リリスティア王国では早くも戦争があったことなど忘れられようとしています。

 そもそも国内にはまるで影響がありませんでしたからね。

 忘却が早いのは、そのせいもあるのでしょう。

 人々は日常の営みを送っています。

 そんな中、一時的に戦争を思い出す出来事がありました。

 かつての敵国から数百人程の避難民がこのリリスティア王国王都にやって来たのです。


「ふむ。これで全員ですか?」

「………はい」

「疲れているでしょうが、確認作業がありますのでもう少し頑張ってください」

「……はい、すみません」

「皆、手伝ってね」

「「「はい!!」」」


 王都リリムの門の前。

 私たち王宮魔導士は全員駆り出されています。

 勿論私も参加しています。

 私の役目は避難民の子供たちの世話です。


「……………」


 皆、酷く疲れた様子です。

 見たところ女性ばかりですね。

 この国は女性しか受け入れていないので当然ですか。


「貴女の名前は……」


 お母様たちが大人たちの名前を聞いて書類に記しています。

 それを横目に私は子供たちの人数と名前を書類に記していきます。

 順調に進み、とあるダークエルフの女の子のところに来た時、私は何か運命のようなものを感じました。


「……貴女の名前はなんですか?」

「アイルだ。君は……リン?」

「えっ!?」


 リン。その名前には聞き覚えがあります。

 変な声。彼女の名前は……。


「………っ」


 脳が処理しきれず、目の前が真っ暗となり、私はその場に倒れてしまいました。


「リンっ!! リン……っっ!!」


 遠くに声が聞こえます。

 誰でしょう? 知らない筈なのに知っている気がしますね。


〘前世の友達だよ。中洲 藍瑠。思い出して? 私〙

「……………」


 私は意識を自らの意思でシャットダウンしました。

何故この国がここまで苛烈であるのか。

それは後々ミレーヌから語られます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ