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白亜の魔女ミレーヌの旅行記  作者: 彩音
第二章-少女時代-
18/43

17.地底湖温泉

「これはもしかして外に繋がっているかもしれませんね」

「繋がった先は砂漠じゃなかったりしたら嬉しいな~」

「それはどうでしょうか」


 おはようございます。ミレーヌです。

 今日も私とコレットは早朝と思われる時間から洞窟内を歩いて探索していたのですが、唐突に洞窟内が明るくなって外へ通じているかもしれないという兆しが見えてきました。

 当てもなく始めてしまった探索ですが、どうやら無事に出口に辿り着けそうです。

 ですがこの出口は何処に繋がっているのでしょうか。

 砂漠の真ん中や魔獣の群れの中ではないことを願うばかりです。


「ミーちゃん」

「どうしました?」


 コレットの願いで今日も恋人繋ぎで歩いている私たちですが、コレットはその手を解くと立ち止まってじっと私の目を見てきました。


「昨日のこと覚えてる?」

「昨日のこと、ですか?」


 数日滞在した国を出発して、砂漠で砂嵐にあい、サンドワームに襲われてそれがキッカケとなって砂の竜巻に巻き込まれてこの洞窟へと迷い込むことになりました。

 それからはコレットと二人で探索して、適当な場所で食事をして睡眠。

 彼女が言っているのはどのことでしょうか?


 私は暫く考えましたが、どれにも今一つとしてこのことでしょうか? という確証が持てません。

 残念ですが降参することにしました。


「考えてみたのですが、どのことか決められません。

 よければ教えてくれませんか?」


 コレットにそう問いますが、彼女は何故かそれを聞いて"ほっ"とした様子です。

 そして再び恋人繋ぎで手を繋いで来ました。


「ううん、覚えてないならいいの。変なこと言ってごめんね?」


 コレットのその様子は明らかに不自然です。

 藪をつつけば蛇が出るかもしれないとは思いましたが、敢えてつついてみることにしました。

 ニヤリと笑ってコレットに尋ねます。


「もしかして今朝起きると服が乱れていたことに関係ありますか?」

「うっ……」


 当たりのようですね。

 眠ってしまう前に自分で緩めたのかと思っていましたが、コレットの仕業でしたか。


「かかかかか、関係なんてないよ? うん、全然関係ないよ。

 ミーちゃんの気のせいだよ」

「何をしたのかは分かりませんが、何もなかったことにしましょう」

「いいの?」

「今朝起きた時のコレットの膝枕はなかなか良いものでしたよ」


 あれは私に何かをしたお詫びだったということでしょう。

 私はそれを受け取りました。

 これ以上は何かを言うつもりはありません。


「ミーちゃん。ごめんね……」

「分かりました。これでこの話は終わりにしましょう」

「うん」

「では行きましょうか」

「うん。あ! ミーちゃん」

「はい。……んっ」


 コレットが私の首に手を回してキスをしてきます。

 いつもより長く続けた後、コレットは名残惜しそうに離れました。


「昨日は全然意識されてないのかなって思ってたけど、そんなことないんだね。

 ミーちゃんの心臓ドキドキしてた。それってまだわたしにもチャンスがあるってことだよね?」


 眩しい程のコレットの笑顔を見て、私は頬が急激に熱くなるのを感じます。

 気がつけば両手をコレットの腰に回していました。


「ミ、ミーちゃん?」

「私は自分の気持ちを理解していません。

 だからもう少しだけ待っていてください。

 きっと近いうちに答えが分かりそうな気がするんです」

「うん、うん。分かった。待ってる。待ってるから。

 だからミーちゃんの気持ち分かったら一番最初に聞かせてね」


 話しながら小さく鳴咽を漏らすコレットの様子に胸が締め付けられます。

 コレットが落ち着くまで私は彼女をずっと抱き締めていました。


*


「ありがとう。ミーちゃん」

「もう大丈夫ですか?」

「うん。ミーちゃんのおかげで落ち着いた」


 コレットのその言葉で私は彼女から離れて少し様子を見ます。

 ……大丈夫みたいですね。安心しました。


 私たちは再び歩き始めます。

 そのまま順調に洞窟を進み、凡そ一時間半くらいでしょうか。

 光源の元に辿り着きました。


「これは、地底湖でしょうか」


 目前に現れたのは村一つ分くらいの広さはあろうかと思われる湖です。

 そこは吹き抜けになっていて、顔を上げると空が見えました。


「ここから脱出出来そうですね」


 空を飛ぶための私の杖はありませんが、コレットの箒に相乗りさせてもらえばなんとかなるでしょう。

 そのことをコレットに頼もうとすると、彼女は地底湖まで走っていき、そこで屈み込んで何かを始めました。


「ミーちゃん」

「どうしました?」

「これ温泉だよ!」

「えっ?」


 驚きました。まさかの温泉でしたか。

 吹き抜けになっていますし、外からの熱で温められただけだと思っていましたが。


 念のために魔眼を発動して地底湖の成分を確かめてみます。

 確かに温泉でした。ただ、温泉独特の成分などはあまり含まれてないようです。

 普通の浴場よりも少し肌に良いくらいの温泉でしょうか。

 コレットにそれを伝えると彼女は大喜びで服を脱ぎ始めました。


「泳げる温泉って最高~」


 あっという間に裸になり、コレットは地底の温泉に飛び込みます。

 沈んだまま浮かんで来ないことを心配していたら顔を出して泳ぎ始めました。

 犬掻き……。いえ、猫搔き……ですかね。


「ミーちゃんもおいでよ。気持ちいいよ~」


 水を得た魚のようです。

 見ていると段々私も入りたくなってきました。


「こんなところで裸になるのは抵抗がありますが」


 入ってみたい欲と体を綺麗にしたい欲には敵わず結局私も服を脱ぎます。

 裸になり、空間に着ていたものを仕舞うと視線を感じます。


「ミーちゃん、綺麗」


 褒められて薄く口角が上がります。

 温泉まで歩いていき、底を見ると浴場のように座って入れそうなところもあるようです。

 私はそこで屈み込み、髪を頭上で纏め、手で掛け湯をしてからお湯の中に身を沈めました。

 心地良く丁度良い温度です。じわじわと疲れが抜けていくような気がします。


「ミーちゃ~ん」


 コレットが泳いでこちらに来ました。

 隣に座って肩を預けて来ます。


「幸せ。このままずっとミーちゃんを独占したい」


 そういうわけにもいかないでしょう。

 アイルたちとも合流しなくてはいけません。

 彼女たちは無事でしょうか。

 きっとアイルたちのことですし、生存はしているでしょう。

 ですが怪我などしていないかが心配です。


 物思いに耽っていると、ふとコレットの胸に目が止まりました。


 どんぐりの背比べですが、少し私が勝っていますね。


 ニヤッと顔を歪めます。

 その様子がコレットに見つかりました。


「くっ! ミーちゃんの胸をもっと小さくする魔法を掛けてやる!」

「そんな魔法があるのですか!!?」


 もしも本当にあるなら、他のどの魔法よりも恐ろしい魔法ではないでしょうか。

 その魔法だけは掛けられたくありません。

 コレットから距離を取ろうとすると、彼女はそうはさせないようにしがみついて来ました。


「うぅ。本当にあれば良かったのに」

「つまり本当はそんな魔法はないということですか?」

「ないよ! あったらもう使ってるよ。

 ミーちゃんの胸もっと小さくしてるよ」

「そう言えば、リンに呪いを掛けたのはコレットとアイルの二人でしたね」

「ミーちゃんに受け継がれたみたいだよね」


 ……まだ一年あります。まだ分かりません。


「ねぇねぇ、ミーちゃん」


 感情に浸っているとコレットが私を呼びます。

 キスしたいということでしょう。

 コレットの首に手を回して見つめ合い、どちらからともなく顔を近づけていきます。


「「んっ」」


 外というシチュエーションが大胆にしているのでしょうか。

 離れてもまたすぐに顔を近づけ、唇を重ね合いました。

 それがいけませんでした。

 私たちはのぼせてしまい、暫く動けなくなってしまったのです。

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