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ここで装備していく

謎の人物はカルディナと名乗った、アンジェの同僚?である。

ハジメはカルディナとお茶をした。


「うーん、可愛すぎない?」

 自分の見た目のことではない。

 服のことである。

体を馴染ませる必要があるらしく現在作業は中断。

ただなにもしないってのも暇なので服を選んでいたのである。


「そうですか?ハジメさんは大人っぽいのであえてガーリーな感じでいきましょうよ!」

「う、うーん、俺はもうちょっと動きやすいのがいいかなぁ。スカートは可愛いけども。」

 俺は男として生きてきたのだ。スカートをはくことに違和感があるのは仕方ないと思うんだよね。

せっかくだから今は色々着てみるけど、これが元の姿であったならはかなかっただろう。


「だったらこれはどうかしら。すごく動きやすいわ。」

 最近ここで一緒に暮らしているカルディナが持ってきた服を見る。

この子もアンジェと同じく、元の姿はでっかいらしい。

向こうにいるカルディナとこちらにいるカルディナで同時に存在できるらしく、ここにいても問題ないとか。


「駄目でしょ。」

「駄目ですよ。」

「駄目かしら?」


 カルディナが持ってきたのは水着みたいにぴっちりとしたボディスーツ、一昔前の競泳水着みたいなフォルムだ。

布の面積が少なく、食い込みが凄い。これで外を歩いてる人がいたらびっくりする。

確かに動きやすいけども!


「俺はもう少し普通の格好がいいかなぁ。」

「駄目ですよ!こんな格好はハジメさんにさせられません!」

「……?これの上にシャツやパンツを着て装備をつければいいと思ったのだけれど。」


 俺とアンジェが顔を見合わせる。


「まさかこれだけで外を出歩くとか考えてたの?あなた意外と」

「ち、違っ」

「むっつりスケベだったのね。」

「違うんですぅぅぅっっ!!」


 ちなみに俺は何もいわない。スケベなのは事実だからだ。

 アンジェの嘆きを横目にボディスーツを手に取る。試しに、ね。



「うん、こんな感じでいいかな。」

 せっかく着たのでここで装備していく。

 基本はいつも着ているようなシャツとパンツスタイルだけど、シャツの丈が短かったりズボンのサイドに編み込みがあってちょっとセクシーな感じに。ボディスーツは個人で楽しむ。

あとはガッチリとベルトやブーツを装備。


「うーん、もっとフリフリを、」

「散々着せ替えして楽しんでたじゃん。」

 アンジェはあれもこれもと俺を着せ替えて楽しんでいたが、カルディナは早々に飽きたのかテーブルにつきお菓子を食べている。


「まぁ、選んでくれたのはそのうちまた着るよ。ドレス意外は。」

「ウェディングドレスは素晴らしかったですね。ハジメさんの結婚式にも是非。」

「考えとく。」

 まさかウェディングドレスまで着させられるとは思ってなかったよ。



「終わったかしら?」

 ファッションショーが終わった気配を感じたのかカルディナが会話にはいってくる。


「待たせちゃって悪かったな。」

「わたしはいいのよ。それよりアンジェ、お客さんよ。」


 カルディナがそう言った直後、何かが割れるような音が響き渡った。








 ガラスが割れたような音が響く。

 なにもない空間にひびが入り、再び大きな音が鳴り響いた。


「な、何の音これ?どうなってんの?」

「カルディナはハジメさんをお願いします。私はあれを。」

「わかった。ハジメ、絶対に動かないで。絶対。」

 カルディナが俺の目を見て動くなと言う。

 そうでなくても俺は今動けない。

 

 原因は、あれだ。


 バリバリと徐々に徐々に空間にひびが広がる度、肌が粟立つ。

 あれがなんなのかはわからない。

 だが、俺はこの感覚を知っている。


「アーロキエートの絶対権限を行使します。

コード:アジェンダ=アンティルゼインの名の下に、【無限の鎖】【終滅の産声】を強制解凍。


【始まりと終わりの時】に対し絶対守護を発動。

カウントダウンを開始します。三、二、一、展開。」



 一際大きな音が鳴り空間に大きな穴が開いた直後、アンジェの展開した鎖が空間に殺到した。

上下左右あらゆるところから鎖が蠢き、空間の中へと飲み込まれていく。


「ギャリリリリリリリリィィィギャァァァア」

「目標を捕縛。【終滅の産声】を展開します。」


 赤ん坊の笑い声のような泣くような声が聞こえた瞬間、俺は思い出す。あの感覚を。





 死んだときだ。

 俺は死んだ、そして転生した。

でも肝心なことを覚えていなかった。生きていた記憶があり、死んだことも知っている。

なのに死んだ瞬間のことは覚えていなかった。


 いつまでも昔のことを覚えていられる人は多くないだろう。

痛かった記憶もそうだ。

痛かったという事実は覚えているのに、痛みそのものを思い出そうとしても難しい。


 死んだ瞬間を覚えていないというのは体の防衛本能みたいな物なのかもしれない。

 しかし俺は思い出した。

 





 あれに殺された記憶を。



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