ブレス
ブレス
そこに光は無く、木の葉が風に乗って囁く音だけが静かに騒めく空間の中に、二つの言霊が存在していました。
「なあ。」
声は少し大人びていますが、どちらかと言うとそれは少女の声でした。
「んー?」
対照的に、こちらの声はまだ幼く、この場にそぐわないような陽気な声です。
「私達は何のために旅を続けているのだろうな。時々それが分からなくなるんだ。
何かを為そうとしてる訳でもない、この旅にはいつか終わりが来るのは分かるけど、どんな結末になるか、もしかした明日の今頃には二人とも死んでるかもしれないのに。」
「だからこそ明日を生きるために旅をするのだ!
そりゃあ旅は時には苦しいときー私の場合はそのほとんどが食べ物に関してだけどーもあるけど、大半は楽しいし!
いつ終わるかじゃなくてさ、明日には全く予想もできなかった出来事が起こるって期待しながら生きるのもありじゃない?」
「そうだな。
この世界に知らない事はまだまだあるし、まだ答えを出すのはまだ先の話になりそうだな。」
「じゃあ今日はもう寝ようよ、明日の朝を気持ちよく迎えることができるようにさ!」
「そうだな。おやすみ、〇〇。」
「おやすみ、△△。」
そして再び暗闇が訪れました。
二人を覆う様に聳え立つ森、その上を星々が煌々と輝いています。