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剣と悪魔  作者: 鳥皿鳥助
第九章 ~決着~
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第59話 神様のイタズラ

【ここまでのあらすじ】


村田剣人は相澤熊五郎に殺され、相澤は熊に殺された。

その様子を偶然目撃したJは、自身の目的の為に二人を異世界へと転生させる。

だが片方……ギルバードの身体へと辿り着いた剣人の意識は不完全であり、元の世界での記憶の大半を失う。

一方アンドレイの身体へと辿り着いた相澤は、第二王子であるその身体を乗っ取った。


しばらくは接点も無く暮らす両者であったが、アンドレイが動き出すと同時に状況が変化。

アンドレイはワイバーンという手下を獲得し、ギルバードは剣人だった頃の記憶と意識を取り戻した。

だが戦闘経験の無い剣人ではアンドレイの相手になれず、世界を創り出したとされる伝説の武器……創界の剣を奪われてしまう。


剣人はフェンに言われた『自分と折り合いを付けろ』という言葉に従い、肉体をギルバードへと明け渡し融合を果たす。


一方のアンドレイも創界の剣の真の姿、創壊の剣を引き出し自身の力とした。

彼は創界の剣を探し求めた時と同様の道筋を辿り、最終地点であるデルカへと迫る。


そんな街を守る為、ギルバードは残り少ない時間を有効活用。

これまで以上に力を伸ばすのでは無く、より効率的に力を使う技術を会得し……仲間の思いをも手にした。


そんな彼の前に現れた全ての元凶、Jは静かに語り彼に可能性を託す。


これは神に願いを託された一人の少年が、可能性を示す物語である――






 神との対峙を終えた一同はデルカへと辿り着いた。

 自身の身体に異常が無い事を確認した中松博士は、部屋を出ようとする面々を押し止める。


「すまんが少し待ってくれ、人数確認をするぞ。持ち物のチェックもだ」

「何でですか?」

「奴は我々の誰かに何かの細工を絶対にしてる。ギルバード君であれば特に分かると思うが、そういう奴だ」

「あぁ~……」


 実際に細工をされたギルバードだけでなく、Dクラスの面々にもそうした雰囲気は伝わっている。


 彼らは黙々と持ち物の確認を行ったが、そこに変化は無い。

 誰かの容姿が変わったり、人数が変わったりしている事も無かった。


「……あ」

「どうした?」

「多分ですけど、マジックウェポンサックの能力が全部開放されてます」

「何だと?」


 以前までは“何が出来る”と具体的な感覚だったようだが、今は“どこまでが出来てどこまでが出来ない”という曖昧な感覚に変化しているらしい。


 カスタマイズの自由度は格段に向上し、複数個の武具を同時に生成。

 更には生成した武具を浮遊させ操作する等、攻撃手段がいくつか増えたようだ。


「もう少し早ければマキシムダンジョンで試し振りが出来たというのに……ッ!!」

「まぁまぁ……」


 ギルバードは落ち込む中松博士の側に寄り落ち着かせた。

 そんな彼が不意に出てきた扉へ目を向けたその瞬間、開くはずのない扉が開かれる。


「おぉー、ここが異世界!」

「「「……誰ッ!?」」」

「うぉぁ! 何!?」


 一斉に声を出す一同に、扉から現れた少女は思わず飛び上がる。

 だがその少女の姿にギルバードは見覚えがあった。


「君ってもしかしてJ……扉の向こうに居た、女の人に連れて来られた?」

「多分そうだよ。アタシの名前は中村瑠美。君は?」

「僕はギルバード・クリフ……何だけど、村田剣人って言った方が話が通じるかもしれない」

「え……剣人って、あの剣人!?」

「うん、多分そう」


 中村瑠美、彼女は剣人が引っ越した先の町に住む少女である。

 ギルバードの中には、彼女にかなり助けられた剣人の記憶があった。


 そんな瑠美は相澤と剣人が元の世界で死亡して以降、ここに呼び出されたらしい。


「いやぁ、二重の意味でこんな事になってるとは思わなかったよ」

「Jは何も教えてくれなかったの?」

「Jってのはさっきの所に居た神様……だよね?」

「認めたくないが、ソイツで合ってるぞ」

「何も教えてくれなかった!!」


 あまりの言い切り具合に、瑠美以外の一同は思わず体勢を崩した。


「あ! あとこれ使えって渡されたよ」

「なっ、何だねそれは……」


 瑠美の示す物、それは一丁のボルトアクションライフルと一発の弾薬である。

 真っ先に立ち上がった中松博士はそれに釘付けとなり、思わず手にとった。


「んっ!? これはもしや!!」

「えっ、何何!?」

「これは恐らく……この弾丸一発だけ発射出来る特殊なライフルだ」


 中松博士は細部にまで目を凝らしす。

 しばらくするとライフルを瑠美に返し、今度は弾薬へとその興味を向けた。


「そしてこれは超高火力の弾薬、構造を見る限り並の重火器以上の火力と反動だろう。つまり使用には肉体強化が必須だ」

「えぇ~……でも私そんな事出来ないよ?」

「ギルバード君、ライフルは使えるかね?」

「多分無理ですね」

「ふむ……なら君の鎧を彼女に装着させる事は?」

「試してみます」


 ギルバードは瑠美へと手を向けて、力を込める。

 すると見慣れた光、そして鎧が彼女の身体を包み込んだ。


「おぉ? おおぉ~!」

「出来ましたね」

「ふむ……これは最後の決め手となるだろう。この作戦、文字通りに神が味方しているぞ!!」

「「「おぉ!!」」」


 瑠美も混ざって喜ぶが、彼女には足りない情報が沢山ある。


「で、状況教えてくれる?」

「あーうん、そうだよね。まずは何から話した物か……」


 説明は顔見知りであるギルバードが行う事となった。


 彼はこの世界が神によって作り出された事、それには創界の剣という強大な力を秘めた伝説の武器が使われているという事。


 アンドレイが村田剣人を殺した相澤熊五郎だという事、アンドレイとして転生し第二王子という立場でありながら娯楽の為に国家転覆を企てた事。

 そして力を欲し創界の剣を手にし、民衆を恐怖のどん底に落としている事。


 それを食い止める為の作戦準備が行われている、現状までの全てを話した。


「まさか相澤君が、ね……」

「信じられないかもしれないが、それが現状だ」

「……いや、何か信じられるような気がするな」

「と言うと?」


 瑠美曰く、相澤の行動はは良くも悪くも変わっていない。

 以前から二面性が強く、歪んだ性格だったようだ。


 元の世界でもリーダーである事に固執し、今と変わらず力を求めた。

 表ではそれがリーダーシップとして現れていたが、裏では酷く残虐な行為を行っていたと言う。


「その話は興味深い……が、今は先の話をさせてくれ」

「あ、ごめんね長話で」


 話を一段落させた中松博士は、瑠美の目を見て聞く。


「君には人を撃ってもらうという辛い仕事を頼む事になるが……大丈夫か?」


 瑠美は僅かに考え込む。

 だがすぐに答えを導き出し、問いへの答えを送る。


「大丈夫ですよ!」

「本当か?」

「えぇ。だって剣人……じゃなくてギルバードは直接斬り合う、もっと辛い立場なんですから」






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