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剣と悪魔  作者: 鳥皿鳥助
第八章 ~君達の力~
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【章末】 全てを間違えた神様






 私は神様だ。

 文字通り全てを創れるし、全てを壊せる。


 でも、自分自身は壊せない。

 全ての世界で大きな損失が発生するから……という理由もあるが、一番は自分が消えたくないからだ。


 元は無限に世界を作るだけだった存在が、今となっては人間と同じレベルの意識を持っている。

 消滅を恐れるのも無理は無いだろう。


 そんな私は、今まで幾つもの世界を創り壊して来た。



 私が覚えている一番古い世界、それは私が最初に作った世界だ。


 巨大な身体に鱗を生やし、牙と本能を剥き出しにした生物が暴れまわる世界。

 力を持ちすぎた生き物はお互いに数を減らし合い、その姿を消した。



 次はその反省を生かして、生き物達に必要最低限の力だけを与える事にした。

 だが“必要最低限”の基準は生き物の姿形によって左右される、非常に曖昧で不安定な物だ。


 だから私は、私の姿に似せた生き物を創った。

 結果的にその試みは成功し、生み出した生き物達は高い知能を獲得。

 互いを『人間』と呼び文明を作り出し繁栄した。


 だが人間達はその知恵を使い、幾度も争いを起こし……破滅した。



 その世界は今までで一番上手く行っていた。

 だが人間しか居なかったから、他に驚異が無いからダメだったんだと私は予想した。


 だから私は脅威を創ることにした。

 文明を以前の世界と同じ程度までに発展させてから放逐したのだが、これが間違いだった。


 人間は私の手に頼り切りで、驚異に抗う術を失っていたのだ。

 自分達では何も動かない癖に、人々は神は我々を見捨てただの神は人々を滅ぼそうとしてるだの散々な言われである。


 やがて人々は私を消そうとしてきた。

 だから私は仕方なくその世界を壊した。


 世界を創るのが神ならば、世界を壊すのも()の役目なのだろう。

 例え何を失い、代償にしたとしても。



 その次の世界も作ったが、私は何をする事も出来なかった。

 人々に反逆され消されかけるという、今までに無い体験が私の心に暗い影を落としたからだ。


 その世界にも人間は生まれていたが、何をする間も無く滅んだ。



 私は自分を消されかけて、そして神に祈りながら滅びゆく人々を見て考えを改めた。

 文明もっと発展させる為なら、幾度でも手を貸そうと。


 実際に次の世界では、人間が何度間違いを犯しても……何度でも手を差し伸べた。

 すると文明は長い時間をかけて発展し、人間は宇宙へと進出するまでに成長する事が出来た。


 だが地上で数を増やし過ぎた人間は、同じ人間を宇宙に捨て始めた。

 私が対応する間も無く大きな戦いが発生し、結果的にその文明は滅んだ。



 私の力では何かを創る事か、何かを壊す事しか出来ない。

 介入以外でどうにもならない事を悟った私は、世界を放置する事にした。


 例え人間が滅びようとも、私は世界が無くなるまで一切手を出さない。

 幾度かの滅びと再生を繰り返した結果、その世界は文明の成熟に長い時間を必要とした。

 それでも、人間達は文明を築き上げる事が出来たのだ。


 その文明は科学技術を持たず、魔法技術で発展してきた。

 やがて彼らは、私の元に至るまで技術を成長させる。


 何やら私に言いたい事があったらしく、私は良い内容である事を期待した。

 だが人間達は何もしない神様()に業を煮やしたらしく、私を倒しに来たと言う。


 私はその世界から逃げる事にした。



 その道中は長く、様々な考え事をするだけの時間が生み出された。

 その長考でこれまでの失敗を振り返ると、大体は小さな失敗が大きな事態へと発展していると理解した。


 だが今からも、そしてこれからも私はその事態に介入出来ない。


 ――私はこれからどしたら良いのだろうか。


 人間を創ったのは間違いかもしれないし、生き物を創ったのが間違いかもしれない。

 だが一番の間違いは、私自信が意識を持ってしまった事だろう。


 個体としての確固たる意識が無ければ、ただひたすらに世界を創っては壊す事も出来た。

 その繰り返しを苦にも思わなかっただろう。


 そうした考え事をしつつ創ったモノから逃げている内に、私はとある場所に迷い込んだ。


「ほう、これは珍しいお客さんだ。貴様、異界の神か」

「多分そうだけど……ここは?」


 私を出迎えたのは老人のような人物だった。


「ここは悩める神が集められる場所。誰に、どうして、どうやって集められたのかは分からない。ですが、分かっている事はいくつかあります」


 老人に続き、そう説明するのは若い見た目の女神である。


 彼女曰く、私達は全員が神と呼ぶに相応しい強大な力を持っている。

 そして全員が人間を創った事があり、どうすれば人間に戦い以外の道を示せるのか悩んでいるそうだ。


「ふーん……」

「儂も貴様も、そこの奴も。皆心は同じじゃ」

「幸い私達に寿命は無い。つまり時間だけは無限にあるのだから、ゆっくりと考えて行けば良いわ」

「そうか……」

「所で、貴様名は何と言う? 」


 私の名前はJ。


 多くの世界を創り壊し、全てを間違えた。

 だから君達とその答えを見つけたい。






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