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剣と悪魔  作者: 鳥皿鳥助
第七章 ~伝説の武器~
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第54話 失敗した者の居場所






 必死の思いで世界樹を防衛していたギルバード達だったが、空からの攻撃は対処が難しい。

 まともな遠距離武器が無い状況……そして唯一の遠距離攻撃である魔法が効かない相手という事もあり、防衛線は容易く食い破られたのだ。


 相手の目的が創界の剣だった為に追撃は無かったが、それでも満身創痍の状態で森を移動するのは困難を極める。

 第三防衛線の一同は魔の森を抜け、やっとの思いで第一防衛線……つまりデルカへと帰還した。


「大丈夫か、皆!?」

「「うぇーっす、何とか生きててるぜ~……」」

「お前達が先に戻ってきたと言う事は……」

『我々は敗北し撤退した、創界の剣は奪われてしまっただろう』

「クッソ……俺が足を引っ張らなけりゃ勝てたのに!!」


 今回の戦闘一番の敗北要因、それはギルバードがアンドレイを抑えられなかった事だろう。

 フェン達は少なからずワイバーン集団にダメージを与えられていたらしく、もう少しで一頭を倒せる所だったそうだ。


 つまりは“剣人”自身が自覚しフェンに指摘されていた、戦闘経験の浅さ。

 それが敗北の原因となったのである。


「まぁ大丈夫だって、生きてるなら次があるだろ」

「そうそう。どうせ奴も生きてるだろうから、仕返しも出来るぜ?」

「「ハハハッ!!」」

「「「笑い事じゃねぇだろうが!!」」」

「おーいお前ら、次の作戦会議やるらしいぞ! 余裕のある奴は来てくれ!!」

「「「「「おうよォ!!」」」」」


 デルカを防衛していたハンター達はギルバードに声をかけ、次々と去って行った。

 その言葉に失敗を咎める物は無く、次も協力する……といった内容をそれぞれの言葉で述べている。


 だが声をかけられる環境を掴み取った“ギルバード”であり、今回失敗した“剣人”では無い。


「何だ、ここにも俺の居場所は無いのか……」


 天を仰ぎ、何気なく漏れ出した言葉。

 誰も居ないその部屋に回答者は居ないが、ギルバード自身がその回答者だ。


「――大丈夫だよ。僕の関わってきた皆は、きっと君を受け入れてくれる」

「でも俺は余所者何だぞ? 受け入れられる訳が……」

「――何を言ってんだ? 君も僕の一部、なら君の居場所はここだろう? 」


“剣人”と“ギルバード”はどちらも村田剣人の魂が分離して生まれた存在だ。

 本来はギルバードとして生まれ変わる所を、憎しみに囚われてしまい分離したに過ぎない。


 だから“ギルバード”の居場所は“剣人”の居場所だ……と言うのが“ギルバード”の意見である。


「……ふっ、分かったよ。俺の負けだ」


“剣人”には言い返す言葉を見つけられない。


 何故なら元の世界で両親が死んで以降、自分の居場所を見つけられなかったから。

 そしてそれを別の世界で、別の自分がようやく見つけてくれたからだ。


「――復讐は任せたぞ、ギルバード!」

「うんっ! 任せて!!」


“剣人”は“ギルバード”に吸収される事を受け入れ、身体を明け渡した。


 それにより鋭い目付きは元の柔らかい目付きへと戻った……がただ柔らかいだけでは無く、確かな意志の炎が宿っている。


 この世界で得た明確な目標を得た心に刻んでいると、扉がノックされた。


「ギル坊、ちょっと良いか?」

「フェリエリさん、どうかしたんですか?」


 扉の先に居たのはクリスタルホーンとクリムゾンアギトを持ったフェリエリである。


「この剣の修復どうするかって話をしにな」

「あ~、そういえば……」


 ギルバードは二本の剣を手に持ち、以前の襲撃を乗り切った。


 クリスタルホーンは刀身が途中で折れてしまい、結晶の生成能力を失っている。

 クリムゾンアギトは刃の大部分が破損し、以前のような切断力を失った。


「ごめんなさい、折角貰った剣だったのに……」

「良いんだよ。街を守る為の犠牲になったって言うんなら誰も文句は言わないだろうさ」

「一応もう一度確認してみても良いですか?」

「おう」


 ギルバードが確認の為に剣を持ち、魔力を流したその時――


「えっ、何!?」

「まさか、爆発したりはしないよな……?」


 ――突如二本の剣は発光を始めた。






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