第33話 バラバラなクラス
「よし、全員集まったな。そんじゃ挨拶から始めるか!!」
他クラスであればいくつかのチームに分けるらしいのだが、Dクラスは圧倒的に人数少ない。
それは竜の隠れ家の個室に全員が入れる程だった。
そんな彼らがここに集まっているのは、迷宮攻略をする為の顔合わせだ。
ギルバード達が軽く自己紹介を済ませると、馴染みの無いクラスメイト達も自己紹介を始めた。
「ファルティス・テフィラーだ。名前は覚えて貰わなくて結構だ」
一番最初に自己紹介をした彼だが、どうやら彼らの中心人物らしい。
少しキツそうな目をしているが、その目には決意を宿していた。
「えっと、ラシムです……」
次は髪の毛で目元を隠し、自信の無さそうな印象を受ける少年。
土魔法が得意らしいが、戦闘は苦手だと自己申告していた。
「タツヤだ、まぁ程々によろしくな」
最後は黒髪の少年。
腕っぷしには自信があるらしいのだが、反対に頭を使う事は苦手だと自己申告していた。
こうして全員が自己紹介を終えると、再びロイが口を開く。
「で、今後の話なんだが――」
「私達は君達と馴れ合うつもりは無い」
「――は?」
だがすぐにティフィラーがロイに声を重ね、話は止められてしまった。
ティフィラーはその瞳に少しの怒りを宿し、対するロイは困惑にその顔色を染める。
「私達は私達で動かせて貰うと言っているのだよ、分からないのかね?」
「いやいや……」
「それに君は一体何を企んでいる? 過剰なほど周囲を漁られるのは不愉快だ」
ティフィラーとロイの両者に険悪な雰囲気が広がり始め、部屋の中はピリ付き始めた。
それでもロイは必死に説得しようとするが、ティフィラーは変わろうとしない。
「でもよ、キャロル先生だって言ってただろ? クラス全員で力を合わせないと……」
「貴様がどう言おうが、私達は今までと同じく別行動をさせて貰う」
「なっ……! ンだったら勝手にしやがれ!!」
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ロイはDクラスをまとめようとしたのだが、それは失敗してしまい……現在のDクラスは完全にバラバラになっていた。
とりあえず注文した料理を美味しく食べ終えた僕達は、一度寮で準備をしてから迷宮へと向かった。
「おぉー、ここが迷宮かぁ~。情報と実際はやっぱ違うなぁ……」
「かなり大きいね」
「本当に凄いですね……」
迷宮の第一印象は『兎に角大きい』という事だった。
入り口だけでもかなりの広さがあり、もしかしたらこの街の門位はあるかもしれない。
中も同じように広いのだろうか。
そしてそこには入場口が設けられており、多くの生徒がそこを通っている。
僕達も彼らと同じようにセーフティリングを受け取り、早速潜ろうとするが門番さんに引き止められた。
「おい坊主共、見たこと無い顔だな。冊子は持ってるか?」
「「「冊子……?」」」
「迷宮について書かれた本だよ。その様子じゃ持ってないようだな……ほら」
門番さんの渡してくれた冊子には、層ごとにどんな魔物が出てくるか等の情報が書かれていた。
これから向かう場所である一層の敵はウルフとスライムしか出ない簡単な場所のようだが、アウズンブラと呼ばれる階層ボスが居るらしい。
「「「ありがとうございます!」」」
「おう、頑張れよ~」
ちなみに迷宮というのは略称であり、正式名称はマキシムラビリンスというらしい。
冊子を軽く読んだら早速門を潜り、迷宮攻略を開始した。
中は意外と広くて明かりも付けてあり、とても人工物感がある。
それと同時に既視感を感じていたのだが、すぐにそれはここへ来る途中に立ち寄った古代遺跡だと思い出した。
三人で魔の森に行った時と同じ感覚で歩いていると、曲がり角の向こうから三頭の狼が現れた。
「早速お出ましだな……ギル、そっちは任せたぜ。エミリーはいつも通りだ」
「りょーかい、クイックセット!」
「はい!」
僕は魔法の盾と鎧を出して前進し、ロイは狼の前足に一発ずつ弓を放つが当たったのは一本だけだ。それでも狼の動きは止まり、僕が切り込む事で狼達を分断出来た。
その間に詠唱していたエミリーが魔法で作った槍形の氷を放ち、僕はそこへ狼を一匹蹴っ飛ばして巻き込ませる。
そうすれば二匹がまとめて串刺しになり仕留められたのだが、残った一匹は僕の後ろから飛びかかっていた。
だが僕は身体を捻って盾を狼に向け受け止めた状態でしばらくじっとし、待っていればガラ空きの胴体へロイの弓が命中する。
視界外の攻撃に怯んだ隙きは大きな物だ、僕はその隙きを逃すはずも無く……狼の首をマジックソードで切り落とした。
頭はマジックソードの勢いに巻き込まれてすっ飛んで行き、残された体は僕にもたれ掛かっていた。
狼の死体を地面に下ろすと、氷の槍で串刺しにされた死体と同時に空中へ散るように消えた。
そして最後に残るのは報酬である魔石なのだが、どうやら迷宮ではこうなるらしい。
「お疲れ~、一層は事前情報の通り簡単だったな」
「そうですね、私も役に立てて良かったです!」
「だね。エミリーの魔法も頼りにしてるよ」
「……面と向かってそう言われると何か恥ずかしいですね」
嬉しそうにしながらもどこか恥ずかしそうにするエミリーだが、どうやらトーナメント以降で色々頑張っているらしい。
それは勿論僕やロイも例外では無く、ロイは弓の腕を上げていた。
この階層が簡単な部類であるとは言え、僕達の迷宮攻略は順調な滑り出しを見せていた。
「この調子ならフェンを連れて来ても良いんじゃねぇか?」
「フェンにセーフティリング付けられるかな……」
「自動調節機能あるらしいし、多分大丈夫だろ」
クラス内で戦力を纏める事は出来なかったが、迷宮攻略へ向けて順調な滑り出しを見せるギルバード一行。
果たして彼らは、後の階層も無事に攻略出来るのか!
次回、順調な攻略。
乞うご期待!




