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第七話 嘘付きと笛吹き
「アヤト君。」
「お、なんだよみっちゃん!」
昼休みの図書室に水町さんとアヤト君の二人がいた。
今日ここに怪獣君はいない。
「そろそろ今回の作戦、終了しそうよ。」
水町さんは笑顔でアヤト君に語りかける。
「……ってことは、上手くいったのか!?」
興奮気味のアヤト君に水町さんは首を横に振る。
「……なら失敗か、そんな風には見えなかったけどよ。」
「違うの、まだ終わってはないわ。」
水町さんは口元に人差し指をあてながら、内緒話をするようにアヤト君に語りかける。
「でも私がゴボウ君に魔法をかけてあげたの。」
「……ん、なんだよ魔法って?」
「怪獣君を王子様に変える魔法よ!」
終始笑顔を崩さない彼女の姿に肩を竦めながらアヤト君も笑う。
「……はぁ、まぁよくわからないけどそういう訳ね。」
「という訳なんで最後の判断は任せましたよ、『鍋島先輩』!」
……仕方のない後輩達だ。
私はそう思った。
2018/3/20 一部修正しました。