プロローグ
これは大きな怪獣君と小さな幼女ちゃん、そして愉快な仲間達の小さな謎解きストーリー。
「ねぇねぇ知ってる?隣のクラスのおっきい人。」
「あ、あれでしょ!確か牛房ってやつ!ウけるよね!めっちゃおっきいもん!」
「ねー、どうしたらあんなに大きく成長できるんだろうね?」
昼休みの廊下を歩く三人組の茶髪ガールズが話している人物は浜音中学一年生、牛房當代。
彼は中学一年生にして身長170cmの高身長、一か月前の入学式で文字通り頭一つ抜けていた。
「上級生も喧嘩を売っても来ないんだって!」
「えー、マジ!?あいつ喧嘩強いの?」
「まぁ先生よりでかいんじゃあね。」
彼はその身長のため周囲から注目を浴びるものの体格に見合った厳つい顔つき、鋭い目つきで喧嘩を売られることはまずない。
「でもしょうがなくない?あの身長だよ?」
「確かにー、強そうだもんね。」
「見た目も怖いもんね。」
「でも運動部に入ってないんだって。」
「え、この間はバスケ部の鍋島先輩が熱烈な勧誘してたって言ってたじゃん!!」
「手芸部に入ったんだって。」
「手芸部ぅ!!」
「マジ受けるんですけど!!」
「手芸部の水町から聞いたけどぬいぐるみ作るのが上手いらしいよ。」
「ぬいぐるみぃ!!」
「笑うわそんなん!!」
茶髪ガールズは口を揃えて笑った。
「ねー、見かけによらずオトメンなんじゃない?」
「ぷっ、あの顔でオトメンは面白すぎ!」
「マジ受ける!!」
「でさ、クラスでなんてあだ名付いてるか知ってる?」
「えーなになに?」
「気になるー。」
「『怪獣君』だって!!」
「あはは、なにそれ!」
「うける!」
「クラス中みんなそう呼んでるんだって!」
「えーなにそれ、軽くいじめじゃん、マジ受けるんですけどー!!」
「ほんとそれ!」
「でもすごいよね、学年最長って。うちのクラスの最小とは大違い。」
「あー、あの生意気な『幼女ちゃん』でしょ?」
「マジうけるやん!!」
「「「あはは!!」」」
高笑いする茶髪ガールズの背後を静かに巨大な影が通る。
何も知らない人がそれを見たならば彼を生徒だとは思わないだろう。
彼こそがゴボウ君、またの名を『怪獣君』。この物語の主人公!
「……また笑われた。」
彼は茶髪ガールズに聞こえないように静かに呟いた。
2018/3/19 一部修正しました。