5.失われし故郷
すみません、投稿の予定日謝って設定してました....
なので1週間飛んでます......
隔週更新がぁ......
国境の長いトンネルを抜けるとそこは雪国であった。
..........なんて事は無く、国境?と言えるのか分からないラインを超える自然のトンネルを通り抜けると、そこはフランク子爵領だった。
フランク子爵領ははっきり言って田舎街のような感じである。田畑が広がり、大きな広場などもあって、とても進んでいるとは思えなかった。まあ、それなりにでかい屋敷があるんだけど.....
「あそこが儂の屋敷じゃよ。」
ですよねー。なんか一軒だけ違う感じがするもんね。まあ領主だから当然なのかな。
「儂は仕事があるから付き合えんが、お前たちは街の観光でもして来るかの?」
「自分は...えーと...」
「僕は.......その.........」
お父様、いきなり?かどうか分からないけど、連れてきといてそれは無いよ。私?私はやりたいことあるよ。
「お父様、1つお聞きになってもよろしいですか?」
「どうしたのじゃ、アウラ?」
「実はこの辺りで3年ほど前に無くなった村があると聞いたのですが......」
「!?」
「アウラどうしてそれを?」
お父様がめちゃくちゃ驚いてる。何で知ってるっていう顔かな。それは、まあ生まれた時からの記憶ありますからね。自分の生まれた村があったことぐらいは分かるでしょう。
「えーっと....勉学の時間で少し聞いた気がしまして......」
勿論嘘です。ごめんなさいお父様。アウラはダメな子に成長してしまいました。まだ5歳ですが。
「一体誰が.......ま、まあ良い。そうじゃな、アウラが知りたがっているのはおそらくカストル村の事じゃろうな。」
「カストル村......ですか?」
「その村は3年ほど前に魔物の襲撃に遭って壊滅し、誰も生き残らなかったと言われている村じゃよ。」
私の故郷はそんな名前だったのか。これを機に魔物や魔物を率いていた奴らに復讐でもしようかな?でもそこまで恨んでいないというか.....あ、母さんの仇はあるか。
「もう今はその村はないのだから、行っても意味はないと思うぞ?」
「ありがとうございますお父様。でも私は行きたいのです。」
「そうか。まあ、無理に止めはしないがの。」
「お父様!!私もアウラについて行ってもよろしいでしょうか?」
「お父様!!自分もついて行きたいです。」
えーっと.....ついて来ても面白くないと思いますよ?
「お前たちがそうしたいなら、そうすればいいぞ。」
『ありがとうございます、お父様!!』
なんか兄様たちがついてくることになった。たぶんやること無かったから、面白半分で妹について行こうみたいな感じかな。
「とりあえず、屋敷で昼食をとってからかのぉ。」
そうこうしているうちに屋敷に着いたのであった。
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「では、儂は仕事があるから、任せたぞ。」
「畏まりました、旦那様。」
食後、そう言って、お父様は私たちに1人侍女を付けてくださった。
「では、カストル村に案内していただけますか?」
「畏まりました。お嬢様。」
なんかめちゃくちゃ他人行儀だなぁ。それもそうか、だって主人と侍女の関係だもんね。でもそういうのは何年たっても慣れないかなぁ。やっぱり地球では庶民の生活をしていたからかな。
「って、また馬車ですか.......」
「馬車は嫌いか、アウラ?」
「いえ、そういうわけでは......」
ごめんなさい。嫌いです。あの妙な縦揺れか横揺れか
分からないけど、それがあると酔いそうになります。
自動車はないのかぁ!!馬車って揺れすぎなんだよ!!
という愚痴を心の中に仕舞いつつ、私たちはカストル村へ向かって出発した。
「ところでクロエさん。1つ尋ねてもよろしいですか?」
「ええ、何でもどうぞ、お嬢様。」
クロエさんは侍女の名前だ。お父様が付けてくださった彼女は護衛も兼ねられているらしい。という事はこの人は強いのかな?
「フランク子爵領は何が有名なのですか?」
「フランク子爵領、ですか?そうですね、あの土地では食糧生産が盛んになっており、また鍛治職人も多く住んでいて、金属製品の流通も盛んになっています。」
「ありがとうございます、クロエさん。」
へぇ。金属製品か。どうせウルカヌスさんの技術を最大利用しているんだろうな。一応神様だもんね。きっとすごいものができるんだろう。そういやこの前ウルカヌスさんが私専用の武器を作ってやるよ、みたいなことを言っていた気がしなくもないかな。売ったらいくらに.......やめようかな。
「ところでアウラは村に行って何をするきなんだ?」
「それは......行ってみないと分からないです。」
「と、言うと?」
「自分も村があるって聞いただけなので、興味本位で行ってみたいからです、お兄様。」
危ないなぁ....エル兄様もなんて事を聞いて来るんですか.....生まれ故郷だからです!!なんて言えるわけがないしなぁ.......
などと雑談を交わしているうちに、私たちは目的地に着くのであった。
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「ここが、カストル村.......」
「これは、酷いな......」
「.............」
村の惨状を見て受け止め方は三者三様だったが、3人とも絶句していた。まあ私はこうなっている事がなんとなく分かっていたけどね。
私はカストル村のさらに奥へと躊躇なく突き進んだ。
「アウラ!!ちょっと待ってって!」
「1人で行きすぎだぞ、アウラ!!」
兄様2人に抑止されつつも私は目的の場所へ向かった。
「ここが、私の.........」
そう、ほぼ全壊しているこの家が、私の生家だった所だ。今でも覚えているのはなんとなく記憶から離れなかったからであり、特に思い入れがあるわけではなかった。なのに家の間取りまでなんとなく覚えていた。
「......これは一体........」
私は、元自分の家の台所だった所で一冊の本を見つけた。と言うか日記帳だった。
「シンシア=ヘクトル=ユリアス......母さんの名前だ........」
私は母さんの日記を発見したのだった。
すると突然、
「アウラ1人になっちゃダメだろ!!」
エル兄様に腕を掴まれてしまった。どうしよう日記のことは隠した方がいいのかな.....
私は咄嗟に手で持っていた日記を背後に隠した。
「も、申し訳ありません。お兄様。」
「アウラ、急にどうしたんだ?」
「いっ....何でも無いですわ。」
「本当にか?」
私はこっそりと回収した日記帳をアイテムボックス.....なんてものはないので上着のポケットにしまった。
アイテムボックスについては空間魔法の一種で存在するらしいけど、空間魔法が殆ど体系化されていないため使える人はほぼいないらしい。なのでまだ5歳の私にそんな芸当ができるわけなかった。
..........まあ全部メルクリウスさんの受け売りだけどね。
という訳で私はアイテムボックスを使えない。異論は認めない。その代わりに魔道具でアイテムボックスの役割を果たすものがあるんだとか。因みにめちゃくちゃ値段が張るとか。
............これもメルクリウスさんからの受け売りです。はい。
「私は大丈夫ですわ。パウロス兄様とクロエさんは何処にいらっしゃるのですか?」
「今こっちに向かっているはずだよ。誰かさんの所為でね。」
「すっ....すみませんでしたわ。何度も謝りましたわ!!」
エル兄様もしつこいこと。まあそれだけ心配してくれてるのかな。
すると突然、
「!?」
「アウラ、どうかしたのか?」
私は何者かの気配を感じたのだった。
「アウラ〜、こんな所まで来ていたのか。」
「あまり心配をかけさせないでくださいね、お嬢様。」
なんだ、パウロス兄様とクロエさんの気配だったのかな。
そう思った矢先に私たち4人は何者かに囲まれてしまったのだった。