2.神々の集う国アヴィオール神帝国
私はその日に義父親にこの国の神殿のような場所に連れていかれた。ちなみにこの国はアヴィオール神帝国と言う国であり人里離れた国家となっている。
.........国家の時点で人里離れたと言う表現はおかしいのだがこの国は近くを森や山などで囲まれていて隣国がもはや見えないような位置にある国なのだ。人里=他国と考えると違和感は殆どない。
「ユピテル様?ユピテル様はいらっしゃいませんか?」
「どちら様ですか......おおレオニダス殿でいらっしゃいましたか。何の用ですかな?」
因みにレオニダスとは私の父....国王の名前である。
「マイヤ様。本日はユピテル様との約束を果たしに参りました。」
.....ん?国王って国の中で一番えらいんじゃなかったっけ?国王が敬語を使う相手が2人もいるなんて.....。
ここはあれかな?国王よりも立場が上の何らかの宗教の本拠地出会った教皇様のような方がいらっしゃるのかな?
「畏まりました。ユピテル様を呼んできますので、奥の部屋でお待ちいただけますか?」
「分かりました。お待ちしております。」
父がそう言うと私たちは奥の部屋に入っていった。
.......10分ぐらいして、
「おお!!レオニダス!!待たせたのぉ。」
「いえいえ、滅相もございません。」
やっぱり父のこの畏まり方は何かおかしい気がする。
そんなに上位の存在なのか?私も言動に気をつけないとなぁ。いや、客観的に見て4歳児には無理か。
「おお!!そっちはアウラか!!随分と大きく成長したのぉ!!」
「私のことを知っているのですか?」
「これ、アウラ!!ユピテル様に失礼ではないか!」
まずったか。やっぱり丁寧に敬語を使うべきか。
「いやいや、レオニダスよ。アウラはまだ4歳なのであろう?それはちょっと無理な話じゃないか?」
「分かりました。ユピテル様がそうおっしゃるのならそういたしましょう。ところユピテル様。どうしてアウラが4歳ごろになったら連れてきて欲しいとおっしゃったのですか?」
「それはなぁ....アウラに素質を見出したからじゃな。」
「素質......でございますか?」
「そうじゃ。この娘には魔導士になるための魔法の才能があると儂は思うのじゃ。」
「そうですか。アウラに魔法の才能が......ユピテル様がおっしゃるのなら間違いはありませんね。」
お?マジですか。私、魔法使えるの?やったぁ。異世界にきた感がやっと出てきた。今まで殆ど不幸だったから神様は私にちゃんと才能を宿してくれたんだ。神様は私を見捨てなかったね。
「それで、アウラをどうなされるのですか?」
「儂たちが魔法の修行を見ようと思ってのぉ。」
「い、いえ!!王宮に魔導士はいますので彼らに任せても良いのではないでしょうか?」
「いや。アウラの才能はそんじょそこらの人間が持っているものとは違うのじゃ。王宮の魔導士ごときが育てるよりも儂たちが育てた方がより強くなれるのじゃ。」
「分かりました。ユピテル様たちにお任せします。」
へぇ。この人魔法使えるんだ。なんか威厳だけあるおじさんなのかなぁって思ってたけど違うっぽいな。
と思っていると、父は私を置いていってしまった。あれ?4歳児を置いていくのはまずくないですか。まさか本当にこのおじさんに任せちゃうの?いくら義父でもそれは無いんじゃないか。
「アウラ〜、今日から儂たちがアウラを強く育てるからね。あとおじさんの知り合いも紹介させてね。彼らもアウラの修行に協力してくれるからね。」
おじさん、流石に怖いです。4歳児に言うことではないでしょそれ。いきなり強く育てるとか言わないって。この人絶対子供育てたことないな。
「おーい!!ちょっときてくれ!!」
そう言うとおじさんは12人の人たちを連れてきた。
「紹介しよう、端から順番にユノ、プルトン、ネプトゥーヌス、マルス、メルクリウス、アポロ、ウェヌス、ディアナ、ウルカヌス、バッコス、ウエスタ、ミネルヴァじゃ。」
そんなに一度に覚えられないです4歳児舐めんなよ!?
「じゃあそれぞれ適当に自己紹介でもしておくれ。」
「いや、ユピテル。貴方の自己紹介はしなくていいの
かい?」
「おお!忘れとったな。えー改めて、儂の名前はユピテル。十二賢者をまとめているものじゃよ。因みに儂は十二賢者には入っていないからの。」
賢者じゃない人が賢者をまとめていいのか?賢者より上位の存在.....やっぱり教皇クラスなのかな。
「初めましてアウラちゃん。私はユノです。私は貴方に勉学を教えるつもりです。宜しくお願いしますね。」
うわぁ。結構美人さんだなぁ。歳をとってるようには見えないけど、実際は結構いってる気がする。ただの勘ですが。でもだいたいこういうやつって当たるよね。
「初めましてアウラちゃん。私はプルトンだよ。主に魔法を中心的に教えたいと思っているんだ。宜しく頼むね。」
こっちは好青年って感じだけどやっぱり若くはない気がする。なんか失礼なこと考えてる気がしてきたなぁ。
「初めましてアウラちゃん。私はネプトゥーヌスである。儂も主に魔法を教えるつもりである。宜しく頼むのである。」
この人は口調からもそうだけどなんか筋骨隆々とした感じがする。暑苦しいとかそんな感じ。あ、見た目通り普通におっさんです。
「初めましてアウラちゃん。僕はマルスだよ。主に剣術や体術など教えたいと思っているからね。これから宜しくお願いしますね。」
おお、初めて本当に若い人が来た。少なくとも私が見た限りでは若い。勘も老けているとは告げてないし実際に青年と思われる。てか魔法の才能あるんだったら魔法だけでいいじゃん。まあ剣使ってみたいからいいけどさ。
「初めましてアウラちゃん。私はメルクリウスという者だよ。魔法や商学などについて教えるから宜しくね。」
商学か。個人的には興味あるし面白そうだな。あと今思ったけどこれってなんだか担任教師を発表してるみたいじゃん。担当教科か。
「初めまして!!俺はアポロだぜ!!主に魔法や弓術などを教えるつもりだ。宜しく頼むぜ!!」
お、なんかノリが良さそうなおっさんが来た。これくらいのノリだと絡みやすくていいかもしれない。あと弓に憧れを抱いてました。なんかかっこいいじゃん。まあ魔法と剣もかっこいいと思うけど。
「初めましてアウラちゃん。私はウェヌスよ。私は貴方に勉学や女の磨き方などを教えたいわ。これから宜しくね!!」
なんか軽い感じの女性が来たな。あと若そう。なんか判断基準は若いかどうかになってきているではないか。あんまり気にしちゃダメな部分なのに。
「次は私ね。初めましてアウラちゃん。私の名前はディアナよ。アウラちゃんには弓術と勉学を教えられると思うわ。いろいろと宜しくね。」
言いたくはないが、めっちゃ若く見える。今までの人よりも一番若いと思う。はい。気にしちゃダメだった。
「初めましてアウラちゃん。私はウルカヌスだ。アウラちゃんには剣術などの武器の扱い方を教えられるかな。槍術とかも大丈夫だよ。あと私は鍛治職人も務めているから武器とかも作ってあげれるよ。これから宜しくね。」
剣もそうだけど槍もやっぱり使ってみたいな。あと斧か、重くて無理そうだな.........そして武器作りか、男のロマンを感じるなぁ。あ、今は女だった。
「初めましてアウラちゃん。私はバッコスだよ。私は.....特に教えられるものはないかもね。酒の作り方なら教えられるけど.....」
「アウラちゃん。バッコスに教わるのはやめとけよ!!こいつは基本飲んだくれだからな!!あ、飲んだくれって分かんないか〜。」
分かりますよぅだ。アポロ、貴様私を子供扱いしているな。許さん、貴様の名前覚えたからな。
「えーと.....は、初めましてアウラちゃん!!私はウエスタよ。私もあんまり教えられることがないけど.....一応魔法は使えるし頼ってくれていいからね!!これから宜しくね!!」
なんかこの人は新任教師みたいに張り切っているな。
一応言っとくけどそこまで若くはないな。
「最後は私ね!!初めましてアウラちゃん。私はミネルヴァよ!戦女神の私が鍛えてあげるんだから強くならないと承知しないわよ!!」
「え?戦女神って?」
私は思わず聞き返してしまった。これが自称だったらかなり恥ずかしいよね。
「あっ......」
「ミネルヴァ、やりやがったな。」
「やっぱりいつものミネルヴァかぁ........」
「今日は一味違うと思いたかったなぁ......」
「最後の最後でお主というやつは......」
「な、なによ!!私が隠し事下手なことぐらい知ってるでしょうが!!」
「.......えーと、ユピテルおじさん。これはどういうことなんですか?」
「うーむ.....まあバレちゃったことはしかたないしのぉ。私たち13人は皆神様なのじゃよ。」
「........................は?」
やっべぇ。素が出てしまった。やはり女を演じるのは俺には難しかったのか.....
「は、と言われてものぉ。だから私たちは神なのじゃ。」
「それは聞きました。」
「じゃあ何が聞きたいのかの?」
「なんで神様がっ......いえ何でもないです。」
ついさっき神様は私を見捨てなかった...みたいなこと言っちゃったけど見捨てるどころかめっちゃ見られてたみたいです。
「この国は儂たちがよく来るから"神々の集う国アヴィオール神帝国"みたいな大層な名前をつけおっての。」
「こっちにとっては、恥ずかしいったらありゃしないよ。」
「もともとは普通にアヴィオール帝国だったんだけどね。」
「まあその話も5、600年ぐらい前の話だけどねぇ。」
「5、600年......」
5、600年だったら皆さんじじいとばばあですね。誰だろうこの人若い!!とか言ってたやつは。見る目のなささに呆れるわ。
「というわけでこれから毎日みっちり鍛えていきからの。」
こうしておr.....私の地獄の日々が始まった。