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1.普通の少女、しかし心はない
私はただの女の子。
どこにでもいる普通の女の子。
身長も
体重も
学力も
運動能力も
容姿も
何もかもが
普通、だ。
何もかも普通なのだ。
ただ、一つだけ。
私には足りないものがあった。
普通の子にはあって
私にはないもの。
私は
生まれつき心がなかった。
私は泣くこともなく産まれた。
お母さんのお腹から。
だけど
産まれること自体
きっとどうでもよかったのだと
今の私は思う。
悲しいも
嬉しいも
好きも
嫌いも
どうでも良い。
私は心臓が動くから
生きているのだ。
私の心臓が惰性になったら
私はきっと
死んでしまうのだろう。