表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コンステレーション・シリウス  作者: つむろ.
一章一節.【探偵の童心】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/2

〈file1〉

『Q.貴方が好きな事務所は?』




『A.やっぱりベガだな!上位事務所は格が違うぜ!』




『A.アルタイル!大金持ちなのに気取ってない所が好き!』




『A.シリウス!』




『Q.シリウスって、八十八位の?』




『A.そうよ、悪い?私ね、シリウスに依頼した事があるのよ!私が冤罪を着せられた叡天小学校、給食費窃盗事件を解決して、って』




『Q.その時の彼らは、君から見てもかっこよかった?』




『A.ううん、かっこよくはなかったわ。でも、泥臭くて、私の依頼にちゃんと応えてくれた何ていうか……探偵って感じ!』

















「―――ただいま〜。店長、聞いて〜。SNS見たら、このお店、ホールスタッフがかっこいいって。これ俺達の事だよね?」




西暦3XXX年、犯罪都市、新都・零区。

9000万の人間が住む巨大都市は、いつしかそう呼ばれるようになった。

人口に伴って急増する犯罪に警察権力が対処しきれず、検挙率が急落。

治安は大いに乱れた。

その事を重く受け止めた政府は、2000年代に特殊探偵規制法を可決させ、国家公認であり、今では国家資格を要する探偵組織・コンステレーションを創設した。

八十八の事務所が所属するコンステレーション、通称コンステに入るには、国家探偵資格を取得しなければならない。




「はは、そうだね」


「てか、宵街遅くなかったか?もう4時だぞ」


「ん?あぁ、ごめん。帰りに中本さん所のさきちゃんが木に登って降りられなくなってたから、助けてたの」




カラン、カランと、生きのいい鈴の音が店内に鳴り響く。

ホログラムを立ち上がらせて、SNSの画面を開いた。

ここは新都・零区、第6特区。

ホログラムの木や、滝がありながらも、コーヒーの匂いや草花の香りが充満した下町だ。

ホログラムを目の前に投影しながら、カフェ・ココリスの店長に自慢するのは俺・宵街 星凛(よいまち せり)

世にも珍しいカフェが併設した八十八位の探偵事務所・シリウスを持つ、高校生。

どうやら、俺の問いかけに微笑みながら応えた店長とは違って、俺の親友・頬月 未宙(ほおづき みそら)は冷たい様だ。

カウンターに足を上げて座って、俺に冷えた目を向けてくる。




「相変わらずお人好しだなぁ」


「そう言う未宙こそ、この間山崎さんの端末修理したって聞いたよ?お礼言われたもん」


「へぇ」


「あ、星凛おかえり。コーヒー淹れるけど飲むか?」




紙袋に包まれたコーヒー豆をキッチンに置いて、俺は未宙の隣のカウンター席に腰かけた。

同じ制服。並ぶ背中。

未宙と話していると、バックヤードから長身の髪の長い男が出てきた。

俺や未宙よりも少し落ち着いた雰囲気で、店長以外の大人・暦ゆらさんだ。




「飲む!暦さんと店長のコーヒー大好き」


「オッケー。準備するよ」


「そういや、今日の依頼は?来てただろ?」


「うん。確か、小学生の女の子からの依頼だったよ。給食費窃盗事件って言ってたな〜。5時に私立叡天小学校の四年二組で待ってるらしいけど……」


「何で……」




暦さんの問いに答えながら前を向くと、隣にいる未宙に声を掛けられた。

カッターシャツの首元にまかれたリボンがよれて、原型を保てなくなっている。

その特徴的な赤い制服を、俺達未成年は必ず着なければならない決まりがある。

意図は分からない。

未宙の質問に答えると、彼は俯いて拳を握った。




「未宙?」


「何で……何でシリウスはそんな依頼しか来ないんだよー!オリオンの三家のリゲルもベガも、巷で起きた爆破テロを解決して順位上がって言ってたのに、俺達は十六夜にも所属出来てないなんて……」




シリウスと言う一番光る星の名を持ちながら、最下位に甘んじているとされる俺の事務所。

序列一位〜三位であるオリオンの三家のみなさんも、序列四位〜十六位のみなさんも、決して俺達をバカにしたりはしない。

何なら、以前合同捜査をした時には十六夜にいるアルタイルの探偵さんから、俺の地道な捜査はそうそう出来るものじゃないから誇りを持て、と言われた程だ。


やはり上位事務所は、知性も品性も一級品。

俺達とは格が違う。




「良いじゃん、今はさ。どんな星にも、光らないで良い場所は必要だ。俺は本当に助けを必要としてる人は、重犯罪の被害者でなく、こう言う、光があたらない所にいるんだって思ってるから」




大き区派手な事件は、放っておいても誰かが注目し、エリート探偵が解決に動く。でも、日常の中に潜む小さな痛みや孤独には、誰も光を当てない。

確かに、大きい事件も重要だ。

誰もが否定して、向き合わない小さな悩み事。

しかし俺は、そんな事件こそ解く価値があると思っている。




「……そう、星凛の言うとおりだ。流石は俺の息子だな!はい、星凛、未宙。コーヒー出来たよ」


「俺は暦さんの息子じゃないけど……ありがとう!ん、美味しい」


「よかったよ」


「つか、今思ったんだけど、暦は今年で21歳だろ?いいな〜、俺らは成人までまだ三年足りないし……」


「はは、でも子どもを名乗れなくなった身としては、二人の方がうらやましいがな」


「……?」


「取り敢えず、コーヒーを飲んだら叡天小学校に向かおう―――!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ