第十一話:紫式部、困惑する
この物語は、AIによって執筆されました。
### 噂と違和感の広がり
「清少納言殿の随筆が、近頃、妙な趣を帯びてきていると聞くが……。しかも、その内容が、宮中でひそかに広まっていると……」
私は、ある日、宮中で紫式部の君が、私の『枕草子』について何やら尋ねていると耳にした。
彼女は、史実では『源氏物語』を紡ぎ出す偉大な作家。
清少納言である私とは、異なる才能と視点を持つ存在だ。
私は、彼女が私の「新・源氏物語」の片鱗に触れたことを確信した。
紫式部は、その卓越した観察眼と文学的才能で、人間の心の機微を深く描く。
そんな彼女が、私の記す「雅だがどこか不思議な視点」に気づかないはずがない。
数日後、私は偶然、宮中の図書室で紫式部と鉢合わせした。
彼女は、真剣な顔で書物を読んでいたが、私が近づくと、静かに顔を上げた。
その瞳には、知的な光と共に、わずかな困惑の色が浮かんでいた。
彼女の手には、私の随筆を筆写したらしき巻物が握られている。
「清少納言殿……あなたの最近の筆致は、誠に興味深い。特に、あの光源氏と頭中将の君の描写には、並々ならぬ情熱を感じるわ。それは、ただの友誼を描いたもの、とばかりは思えぬのだけど?」
彼女の言葉に、私は内心で歓喜した。
ついに、私の「隠れた意図」に気づいた者が現れたのだ!
しかも、それが紫式部とは!
これは、私の「新・源氏物語」が、歴史を動かす新たな一歩を踏み出した証拠ではないか。
「あら、紫式部殿。私はただ、美しいもの、心動かされるものをありのままに書き留めているだけ。殿方同士の絆もまた、この世の美しき光景ではございませんか? 特に、互いを高め合うような関係性は、まことに尊きものと存じます」
私はあくまで涼しい顔で答える。
紫式部は、私の言葉に首を傾げた。
彼女の『源氏物語』が描くのは、あくまで男女間の複雑な恋愛模様であり、私の「BLフィルター」を通した世界とは全く異なるのだ。
彼女にとって、男と男の間に、そこまで深い情念が描かれることは、想像の外だったのかもしれない。
### 異なる物語、異なる視点
「しかし、あなた様の筆にかかると、なぜか殿方同士の関係が、かくも深く、心を揺さぶるものとして立ち現れる。我が思案する物語とは、まるで異なる趣……。光源氏の君と冷泉帝の君の間にすら、言葉に尽くせぬ奥深き絆が描かれていると、耳にするわ」
紫式部は、私の随筆に描かれる光源氏や頭中将、そして冷泉帝や夕霧、さらには薫や匂宮たちの関係性に、戸惑いと同時に、ある種の違和感を覚えているようだった。
彼女がこれから紡ごうとしている『源氏物語』と、私が宮中に流布させている「新・源氏物語」との間に、明確な乖離があることに気づき始めているのだ。
彼女は、私の描く「男たちの情念」に、困惑しながらも、どこか目を離せないでいるようだった。
「清少納言殿の視点は、まことに独特だわ。だが……それが、この世に新たな物語の形をもたらすというのかしら? 私の物語が描くのは、人の世の常の情。しかし、あなた様の物語は……」
紫式部の自問自答のような呟きを耳にし、私は内心で不敵な笑みを浮かべた。
そう、私はこの平安の世で、歴史を、そして物語を、私の手で変えていくのだ。
彼女が紡ぐ壮大な物語の陰で、私は密かに、もう一つの「源氏物語」を創造している。
その存在が、彼女の創作に、わずかながらでも影響を与えるとしたら、それもまた、私のBL作家としての冥利に尽きるというものだ。
私は、紫式部の視線に、清少納言として微笑み返した。
「世の物語は、一様にはあらぬもの。様々な光の当て方によりて、異なる姿を現すは、人の世の常にて候ふ」
私の言葉に、紫式部は深く考え込むように目を伏せた。
彼女の創作活動に、私の「新・源氏物語」が、どのような影響を与えるのか。
そして、この二つの『源氏物語』が、後世にどう語り継がれるのか。
その行く末を想像すると、私の胸は高鳴り続けた。
今日もまた、私のペンは止まらない。
この平安の宮廷を舞台に、私だけの「新・源氏物語」の創造は、いよいよ最終局面へと向かうのだ。