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君にはうちはまだ早い  作者: ハシモト
美少女冒険者アイシャ、用心棒になる
33/90

旅は続くよ~~どこまでも~~!

 真っ青な空がどこまでも広がり、その下には真っ白な雪原がどこまでも広がっている。あの迷宮を吹っ飛ばした爆発が、冬の嵐も吹っ飛ばしたらしく嵐は何処かへと消え去っていた。


 私たちは北方種の毛の長い馬にひかせた馬車で南へと向かっている。ランドさんや、クラリスちゃん、それにジェニファーさんをはじめとした、店のお姉さま方とお別れするのはとても辛かった。


 だけど、どこをどう見ても私そっくりな私もどきが、迷宮を破壊しまくったように見えた都合上、ハマスウェルに残る訳にはいかない。


 その点についてクラリスちゃんは相当に怒っていたが、残念ながら世の中においては真実が周知の事実になれる訳ではない。なので彼女には必ず再会することを約束して、断腸の思いでさよならをしてきた。


 それとは別に、私がハマスウェルを出る前に一つ事件があった。ジェニファーさんには絵心があったらしく、いつの間にか私の肖像画を描いていた。そしてそれを店の受付に飾ると言い出したのだ。なぜ私の肖像画が、エッチなことを目的に店へ来る、男たちの目に留まらないといけないのでしょう。


 そうクレームを入れた私に、「だって、あんたはうちの店の用心棒だろう?」とジェニファーさんはドヤ顔で答えた。どうして私の肖像画が、店の用心棒になるのかと聞いたら、「これを見たら、誰もここで暴れようとは思わない」とぬかしてくれました。


 私をまっぱにしたことといいとんでもない人です。ひそかに出発前に焼却処分にしてやろうとしましたが、クラリスちゃんに泣いて止められると、もう完全にこちらの負けです。おそらくこれもジェニファーさんの作戦の内だったに違いありません。


「サラさん」


「なんだい?」


 私の問いかけに、御者台に座るサラさんが答えた。


「今度はどこに行けばいいんですかね?」


「正直なところ、私も心当たりがなくて困っているんだよ」


 そう言うと、私に向かって大きくため息をついた。あの~、これって本当に全部私のせいなんですかね? まあ、何を言っても無駄ですね。


「それなら、今度は暖かいところにしましょう。それに食べ物がおいしいところです」


「ナマ言っていると、有り金使い果たしてランドのところで働くことになるよ」


 その発言は、マジで洒落にならないから止めてください。そうだ。サラさんには聞いておかねばならないことがありました。


「聞くのを忘れていました。私が探していた間、ランドさんと何をしていたんですか、何を! それに、どうしてランドさんを袖にしたのか理由を教えてください!」


 やっぱり、鳥になっている間は一緒に生活できないとか、色々と問題があるからですか?


「ハハハハ!」


 私の質問にサラさんが大声を上げて笑った。何がそんなにおかしいんですか? こっちは真剣なんです!


「嘘をついて悪かったね。ランドが私に言い寄ってきたんじゃない。私がランドに言い寄って振られたのさ」


 えっ、ランドさんがサラさんを振ったんですか!?


「サラさん、どんな風に言い寄ったんですか? そもそも言い出すタイミングとか、ちゃんと考えたんですか?」


「アイシャ、あんたもしつこい女だね」


「ちょっと待ってください。その表現をされると、私がとっても未練たらしい女みたいに聞こえるじゃないですか!」


「……」


「サラさん、無視しないで――」





「フリーダ、よくやってくれた。でもどうして冬の嵐まで吹き飛ばしたんだ?」


 アルフレッドは、隠者の影から雪原を進む馬車を眺めつつフリーダに問いかけた。


「あれか? アイシャに曇り空など似合わない。アイシャに合うのはやはり青空だ!」


 フリーダはそう答えると、大剣を輝く太陽に向けて差し出した。


「そうかしら? 粉雪の下、真っ白な服を着たアイシャもかわいいと思うけど」


「確かに、着ぶくれて雪だるまみたいなアイシャもかわいかった」


 エミリアの言葉にリリスも同意して見せる。


「いや、青空だ!」


 アルフレッドは何が似合うとか、似合わないとか言い合いを始めた三人に背を向けると、再び雪原をいく馬車へと視線を戻した。


 そして剣を手に、エミリアが用意した、とある地下室へ通じる揺らめきの前へと向かう。その先には、止まることのない悲鳴が続く、地獄の様な光景が映し出されていた。

これにて第三章終了になります。筆者の脳内エンドロールは、イーグルスの「デスペラード」、ダイアナ・クラールのカバー版でお送りいたします。もし面白い思っていただけたら、ブックマークと評価をどうか、よろしくお願いします。それがこのお話の未来へ繋がります。m(__)m

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