正義の矛盾
お久しぶりです
色あせた看板 所々に弾痕がある壁 錆びついて手入れがされてないパイプ
客観的に見ればこの地区は廃棄区画として捉えられるはずだろう、
しかしそうじゃなかった。
見えた範囲 駅周辺の人々には活気があった、
それは良くも悪くも。
7010地区以上に賑やかな通路を静かに抜け路地裏に入る
「はぁぁぁ~(ため息 落胆)」
にゃ~?
猫がこちらの顔を覗き込んでくる
壁に背をつけて地面に座り込む
「逃げたんだよ 逃げてきたんだ まだ逃げ切れてはいないけど」
「でも。。いや。多分 あの人は多分死んだ おばあちゃんも死んだ 悲しいのに辛いのに
それなのに真っ先に自分が逃げることを優先した」
「くるしいよ。。。。」
感情が湧き上がり彼女の発音に支障をきたしている
「帰る場所も どこに行けばいいかもわからない」
「私は。。私は。。。これからどうすればいいの。。」
ザッザッザッ
一人の足音が近づいてくる
「おい そこで何をやってるんだ?」
唐突に喋りかけられたので体が反応する。
おじいさんは周りを確認しついてくるように言った。
このおじいさんを信用していいのかわからない、
少なくとも犯罪は犯してなさそうだと、
おじいさんを認識して思った。
五十嵐は死んだか?
数秒だろうか時が止まったようなそんな感じ、
私の頭はその言葉を聞きいくつかの推測された結論を出した。
仮説1 私たちが今逃げている追手の場合
五十嵐のことを知っているのは7010地区または本人の知りあいもしくは殺したAIとつながりがある人間。
追手の場合はすぐ殺しにかかるはずだ。
AIの銃乱射を考えるとすぐ殺さないというのはいささかおかしい油断させている?
ならば大人数で来るはずだ確実に確保もしくは殺すために。
周囲50メートル圏内には不審な生体反応は感じられない
AIロボットを見つけるための周波による静物反応もない。
仮説2本人の知り合いの場合
この場合はわからない五十嵐は知り合いのことを話したことがなかったし情報が圧倒的に足らない消去法で選択するしかないのかな。
「・・・・・・・。」
「そうか、、」
答えは沈黙。 まだわからない人間に不必要に情報を渡すべきじゃない
これはこの世界で生きていくうえでとても重要な事項の一つ
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先ほどLOMFが大規模な作戦を開始したという、速報が飛び込んできた。
同時に目の前でお母さんが死んだ。
決して病気などではなく、LOMFの鉛玉で。
時がゆっくりと進む世界が目の前に広がる。
それは無差別に、そして非人道的にばらまかれた鉛玉により 目の前で人が倒れてく。
自分の家族も例外はなく。
その中で私は、運悪く生き残り逃げることができた。
鉛玉じゃなくとも、逃げた先で圧死していく人達に比べたら運がよかったと思う。
この世の中は残酷だ、貧民層の人間に人権は適用されない。
後から聞いた話だが、どうやらLOMFが対象者を取り逃がしたらい。
高性能のAI搭載治安維持ロボットが出し抜かれるなんてまるで青天の霹靂だが、
同時にその対象者へ憎しみがわく、そいつの自分勝手さで自分の親が死ぬこと決してあってはならない。
全てを失った私の生きる目標は、そいつを殺すことだ。
温かい目で見守ってください