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三人ぼっち

「……ここにはもう誰もいないのかしら?」

「わからない。でも、多分」

「弱気になるなよ。きっとこの世界には、まだ誰かいるって」


 人気のない街の中、三人の少年少女が並んで歩いていた。

 すっかり荒れ果ててしまった街には瓦礫が散乱している。崩れかけた建物、そこら中に横たわる亡骸。


「死体。死体。死体死体死体死体死体……。もうこの街は、死んでしまったのね」


 少女は肩を落とし、ぼそりと呟いた。

 もう一人の少女は押し黙り、ただ目を泳がせるばかり。


 ――あてもない旅を始めてから、もうどれぐらいが経つだろうか。

 たった三人生き残ってしまった彼らは、他の人を求めてただひたすらに歩いていた。

 何日も何日も、何日も何日も。

 でも、誰もいない。どこもかしこもしんと静まり返っていて、呼んでも答える声はなかった。


「……この世界全部の人間が滅んじゃったんだとしたら、私たちは」

「まだ何も終わってないだろ」


 突然、少年がそんなことを言い出したので二人の少女は彼の方を振り向いた。


「見ろよあれ」


 彼が指差すのは、瓦礫に埋もれるようにして立つ、一本の桜の木。

 そこには満開の花が咲き乱れ、街を見下ろしていた。


「まだ死んでない。終わってない。だからきっと、まだ誰かいる」


 少年に勇気づけられ、少女たちは頷いて、再び歩き出した。

 トボトボ、トボトボと、弱々しいけれど、それでも進み続ける。

 その姿を、桜がじっと見送っていた。

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