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94.初めての…

 大教会を破壊してから二日、中央都滞在2日目の昼にエルドは一人で街に出かけていた。目的は数年前に訪れた事がある装飾品店。エルドはその店に入る前にため息をつき店に入っていった。


 一方マリーとモイラは宿にいた。マリーはグローブを早く完成させたいからと宿にいるがモイラはベッドの上で寝転がっている。


「はぁぁ…」


 時折聞こえるモイラの吐息。ため息ではなく幸せをかみしめているような声だった。


 マリーがモイラの方に目を向けるとモイラはゴロンと転がりマリーと目があった。モイラは嬉しそうににやけていた。マリーはそれを見てため息をつく。


「どう?体の痛みは引いた?」


「えへへ。もう起きても大丈夫かな。」


 そう言ってモイラは上半身を起こす。が、ビクリと体を震わせたかと思うと再びベッドに倒れこんでしまう。


「…ごめん…やっぱ無理みたい…」


 モイラは再びうつぶせになる。その声は少し震えていた。


「しょうがないわね。」


 マリーは立ち上がりベッドに腰掛ける。そしておもむろにモイラの服をめくり背中をあらわにさせる。


「あん…も~、こんな昼間から…マリー昨日はエルドにあまり相手にされなかったから溜まってるの?」


 その言葉にマリーは少々イラっとしてモイラの腰に手を当て手荒に回復魔法をかける。


「痛い痛い痛い!お願い!やさしくやって!ごめんなさい~!!」


 モイラは昨夜エルドと一夜を共にした。もちろんマリーも同室なので3人でである。モイラにとって初めての男性経験。その喜びと甘美は表現しきれないものであったとモイラは語る。


 しかし朝、目が覚めて体を起こそうとすると全身に激痛が走った。やりすぎたのか体勢が悪かったのかモイラは筋肉痛になってしまっていた。これにはエルドも苦笑いである。まあ、少々手加減していたとはいえマリー以外を相手にしたことのないエルドにどこまで抑えればいいのかわからないのも無理はなかった。


 少しでも体が動けば壁に立てかけてある魔剣ヒーリングを使って回復魔法も使えただろうが、痛みに集中力をそがれて自分では回復魔法も使えなかった。


 そのため朝はエルドに回復魔法をかけてもらっていた。しかしエルドもマリーも自己治癒のための回復魔法は得意でも他人を治癒させるための回復魔法はあまり使ったことがないためかけられている間モイラは激痛に悶絶していた。それでもモイラの指導の下、モイラがベッドで転がる程度では痛みがはしらないようにはなっていた。


 だがモイラが痛めたのは筋肉だけでなく腰もかなり痛めていたらしい。エルドのおかげで筋肉痛は我慢して動ける程度にはなったが腰の痛みがひどく体を起こしただけで痛みが走った。これにはエルドも対処できなかった。


 エルドが出かけてからモイラはベッドの上で自身に回復魔法をかけていたがベッドにいると昨夜の事を思い出しなかなか集中できていなかったために昼頃までゴロゴロ寝転がっていた。 


「どう?これで動けそう?」


 モイラが腰の痛みに涙しているとマリーが腰から手を離した。もう一度仰向けに転がり体を起こす。


「あ、大丈夫…いたた…大丈夫みたい…」


 一度体がビクリとはねたが先ほどのようにそのまま倒れこむことがなくモイラはベッドから降りてヨロヨロと魔剣の元に向かった。そして何とか魔剣を手に取り自身に回復魔法をかける。


「は~…何とか治った…」


 モイラは腰をさすりながら伸びをする。


「それならよかった。」


「あ~、朝食も食べてないからおなかすいちゃった。お昼は外に食べに行かない?」


 そう言ってモイラは自分のカバンを手に取り、中からいつもの修道士服ではなく青系のワンピースを取り出し着替え始める。


「私はこれを作るからいらない。」


 そう言ってグローブづくりを再開させるマリー。


「え~、一緒に行こうよ。」


 着替え終えたモイラはマリーの手を引いて立ち上がらせる。マリーはため息をついてしぶしぶモイラと共に外に出た。


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