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36.獣と魔獣と魔物

「それで基礎から教えるように言われたと。」


 エルドと共に依頼を終わらしてミレニアとジェイロットだけ先に帰ってきた。エルドはトーライトに話があるからと別行動をしている。


「いくらミレニア姉さまでも基礎からはさすがに大げさだと思うんですけど…」


 ジェイロットはミレニアをちらりと見る。大丈夫だと思いたいが、やっぱり心配になってきた。


「やっぱり基礎からお願いします。それとこれ、エルド兄さまから夕食用にと。」


 ジェイロットは担いでいた木の棒につるされた兎肉をマリーに渡す。


「あら、解体もしてくれたんだ。今夜は丸焼きかスープかどっちがいいかな。」


 兎肉を受け取り夕飯のメニューを考え始めるマリー。ジェイロットはふと気になったことを聞いた。


「そういえば、普通の獣と魔獣の違いって何ですか?魔力感知では魔獣の方が魔力量が多いのはわかりますけど、具体的に何が違うのかよくわからないんです。」


「う~ん。私も体内の魔力量の違いってことしかわからないな~。普通の獣が魔力量の高い土地で生活したり、食べ物を食べて魔力量を上げると魔獣になるらしいし。身体組織に違いはないから魔獣と普通の獣で子供もできるし。」


「あら、人間と違って魔獣は魔力量に差があっても子供が出来るんですね。」


 ミレニアが言う。


「そういわれてみればそうね。今まで気にしたことなかった。」


「差があると言っても人間からするとそんな大きい差じゃないからとかじゃないですか。」


 ジェイロットが答えた。


「あ~、なるほど。」


 マリーは兎肉を捌きながら納得する。


「それじゃあ魔物と魔獣の違いは?」


 ミレニアがまた聞いてきた。


「知性の有無かな。昔は四足歩行か二足歩行かで分けてたみたいだけど、四足歩行の獣でも人間以上に頭のいいやつはいるからね。」


 マリーが答える。


「魔物ってやっぱり強いんですか?」


 ファニアール家の方針で魔獣に囲まれても生き延びれる強さを持たなければならないため、ミレニアとジェイロットは子供ながらに強い。しかし魔物はダンジョンか、とある地域に生息するのみなので一般的に強さの検討がつけにくい。


「それこそ個体によるんだけど、魔獣よりかははるかに強い。私もエルドも魔法なしで戦えって言われるとゴブリン相手でもかなり苦戦するかもね。」


 戦闘慣れしていれば村人でも戦えるゴブリンだが、あくまで魔法による強化を施しての事である。完全に筋力だけで戦おうとすれば圧倒的に不利である。


「へぇ~。でも魔物ってほとんど北の地域にしかいないから遭遇することって稀ですよね。」


 ジェイロットが聞く。


「たまに、魔獣から魔物へ昇華することがあるんだよね。だから魔獣だと思って挑んで殺されるなんてこともあるからどんな相手でも気を抜かないようにしないと。」


 それを聞いてミレニアとジェイロットは身震いする。


「こっちにいる間は私かエルドが一緒にいるから魔物に遭遇しても大丈夫だよ。」


 マリーは2人の頭をなでて言う。


「さて、私に基礎から教えてほしいということは体で教えろってことだろうし外で軽く運動しますか。」


 兎肉を捌き終え、包丁を拭いながら言う。


「え?そういう事なんですか?」


「まあ別に座学で教えてもいいけど、私もちょっとは体動かしたいし。」


 エプロンを外しながら言うマリー。なぜかミレニアも乗り気だ。そういえばミレニアは体で覚えるタイプだったとジェイロットは思い出す。


「それなら外でよろしくお願いします。」


「お願いします!!」


 マリーに引き連れられてミレニアとジェイロットは庭に出た。


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