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173.魔王との戦い 魔王の資格

「傷も回復したし仕切り直しと行こうかクリエイト。」


 エルドは構えを取る。魔法を放っても創造魔法で変質させられてしまうため戦闘方法を近接戦闘に切り替えた。


「ふざけるなよ人族が!!」


 クリエイトはエルドに向かって火球を放つ。エルドは自ら火球に近づきマジックルーラーで切り捨てる。そのままクリエイトとの間合いを詰め、テンペラでクリエイトの胸を切った。


「くそ…が…」


 更に追加でマジックルーラーで斬りつける。その時のマジックルーラーの剣身は炎に包まれていた。


「なぜだ…なぜただの剣が炎を発する!?それよりもその炎の魔力、我のものではないか!!」


「マジックルーラーは魔法を吸収して発動させることができる剣だ。さっきのはあんたの火球を切った時に一部だけ吸収させてもらった。」


「ふざけるな…ふざけるなよ!!」


 クリエイトはエルドを掴みに手を伸ばすがエルドが振ったテンペラに手を切り落とされてしまった。


「ぐお…ぐおぉぉぉぉ!!」


 クリエイトは落ちた手を拾い上げくっつける。


「自分の体もいじれるのか。ここまで来ると化物だな。」


 エルドは飽きれたように言う。


「我は魔王だ!人族ごときが!!」


 魔王の手からいかづちがほとばしる。エルドはそれをマジックルーラーで切り吸収したいかづちを纏わせ、そのままクリエイトを斬りつけようとする。しかしテンペラは再びいかづちを放ちマジックルーラーのいかづちを打ち消した。


「こうやって同じ属性、質量の魔法をぶつければ簡単に掻き消える!」


 エルドは構わずクリエイトを斬る。切った部分が凍りはじめクリエイトを襲う。


「な、なぜ凍る!?」


「これがマジックルーラーの使い方だ。」


 マジックルーラーの柄につけられた導き石に魔法を込め、別の魔法を剣身に纏わせあとから導き石の魔法を剣身にまとわせる。これがマジックルーラーの基本的な使い方だった。エルドはさらに応用してマジックルーラーで2種の魔法を発動させることができるようになっている。


 クリエイトは凍った部分を叩き割りエルドから離れる。そして懐から黒い球体を取り出した。


「また爆発するやつか!?」


 エルドはテンペラを前にして構え直す。


「これは違う…本当はこんな所で使いたくはなかったが…まあいい…誰も見ていないのが幸いだ…」


 どういうことかと訝しむエルド。


「古来の方に乗っ取り、生き残った魔族のすべての承認を得て我は魔王となる!先代の魔王よ!我に力を!!」


 そう言ってクリエイトは黒い球体を飲み込んだ。


「これで…これでわれは真の魔王になる!!」


 クリエイトの体が光り始めた。


「そういやそんなのがあったな。思った以上に弱かったから二刀流のテストも兼ねて少し遊びすぎたようだね。」


 エルドは少し下がりテンペラを地面に刺す。クリエイトの光が収まり姿が見えてきた。


「これで…これで我は魔王だ〜!!」


 エルドは地面から氷の槍を出現させクリエイトを串刺しにする。


「真の魔王となった我にこんな物など…ぐふ…な、なぜだ…なぜ…」


 クリエイトは口から血を流す。


「牽制でやったら致命傷与えられたかな?」


 エルドはそのままクリエイトを凍らせる。


「我は…我は魔王…魔王…」


 氷がクリエイトを完全に覆いクリエイトの魔力を感じなくなった。


「…死んだか…予想以上にあっけなかった…とりあえずこいつは砕いておくか。」


 エルドが凍ったクリエイトに近づくと氷の中から魔力の波動を感じた。そしてそれは次第に大きくなっていく。


「腐っても魔族。魔王を自称するだけはあるってことか。急いで砕けば…」


 テンペラとマジックルーラーの2本で氷を叩こうと振る。しかし剣が当たる前に氷が砕けクリエイトが出てきてしまった。


「我は魔王クリエイト…我は…魔王…」


『まだこの身体の意識は残っているのか。』


 クリエイトの口から2つの声が聞こえる。一つは今までのクリエイトの声、もう一つはたくさんの声が重なっているような声だった。


「だ、誰…なんだ…」


 エルドは下がって距離を取る。先程までのクリエイトとは違う威圧感がそうさせた。


『私は歴代魔王の力の意思…というのが私の見解だ。何代目の頃からかは忘れたが突如私は覚醒し、これまで数多の魔王の中にいた。


 正しい継承をしなかったために私を受け入れ切れず、同時にお前に攻撃されたことでこの身体の意識は風前の灯だ。』


「我…魔王…わ…まお…」


 クリエイトの口が動くたびに2つの声が聞こえてくる。


「正しい継承…だけど生き残った魔族の承認を得てって…まさかまだ生き残りが!?」


 エルドの表情がこわばる。


『いや、魔族自体はこの体以外もういないようだ。だが、魔族に近いものが…お前を含め3人感じるな。』


 エルドはテンペラを見る。


「魔剣は生きている…という事か…よかった…」


『お前ではなくその剣か。…なるほどこの体の能力で他の魔族を武器とし壊されたということか。かわいそうなやつだ。』


「我……魔王に……」


『もうほとんど意識もないだろうにうるさいやつだ。どれ、少し温情を与えて私の中に取り込んでやろう。』


 そう言ってクリエイトの体が変わり始める。今までとは違う人族のような姿だ。


『ふむ。創造魔法とはこういうものか。なかなか気に入った。』


「クリエイトは…」


 エルドは恐る恐る聞く。


『お前が気にすることではないだろうが、あれは私の中に取り込んだ。今頃意識が溶けながら歴代の魔王たちにお仕置きを受けているだろうよ。』


 魔王の力の意志が笑う。


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