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172.魔王との戦い 魔法の横行

 草原を走る馬車ではアルが御者になりモイラはアレアミアの看病をしている。マリーとレイラも追いついて馬車に乗り込んだ。


「アレアミアは?」


「もともと傷らしい傷はなかったけど、ずっとうなされて目を覚まさない。」


 モイラはアレアミアを見ながら言う。レイラはアレアミアの隣に折れた鎌をおいた。


「エルドは?」


「魔王と戦っています。自分しかできないからと…」


 モイラはため息をつく。モイラの隣にマリーは座りふさぎ込んだ。


「…エルドに邪魔だって言われたの?」


「似たような事…わかってる…今回は本当に邪魔になるって…今までも何度かこんな事あったけど…何も言い返せなかった…エルドを守れなかった…」


 マリーの目から涙が溢れてくる。モイラはハンカチを取り出してマリーの目元を拭った。


「ごめんね、モイラ…私…感情が抑えづらく…」


「大丈夫。エルドはわがままで自分勝手なところもあるし心配になるのはしょうがないよ。でも無茶はしても無謀なことはしないから、絶対帰ってくる。」


 モイラはマリーを抱きしめた。




 エルドはクリエイトの放つ魔法塊を素早く避け、あるいはテンペラで弾き飛ばす。表面はただの魔力の塊のように見せているが中には様々な属性の魔法が込められておりエルドも簡単に攻め込めない。


「器用な事するもんだ。」


「人族には無理だろうけどな。さて、これは避けられるかな?」


 クリエイトの周りに無数の魔力塊が出現する。


「そうやって周りの出現させるのみんな好きだよね〜。相手に気が付かれないようにするほうがずっといいのに。」


 エルドは小馬鹿にしたように言う。


「魔法を放ってこない奴が何を言うのか?妄言を口にしたまま死に晒せ!!」


 クリエイトは魔力塊を放とうとしたが魔力塊はクリエイトに向かって飛んできた。まさか自分のところに来るとは思っておらずすべて受けてしまうクリエイト。


「な、なにが…」


 全身から煙を出し膝をつく。


「だから言ったでしょ?相手に気づかれないほうがいいって。」


 クリエイトがエルドを見るとエルドの周りに5体の龍が漂っていた。


「な、なんだそれは…」


「フィフスドラゴン。それぞれ系統の違うドラゴンを創り出す魔法だよ。最もテンペラとマジックルーラーが無いと使えないし、魔力操作が面倒だしぶっつけでやるようなものでも無いし…」


 エルドは額の汗を拭う。


「ダラダラ話している時間がもったいないから一気に行くよ!氷結龍!炎爆龍!」


 エルドがテンペラを振ると氷と炎の龍がクリエイトに向かい巻きつく。


「風越龍!電撃龍!土揺龍!行け!!」


 今度はマジックルーラーを振って風、雷、土の龍がクリエイトに向かう。


 それを見たクリエイトは高笑いを始め体に巻き付いている2体の龍を掴み引き剥がした。さらに2体を粘土のように混ぜ合わせる。向かって来ている3体の龍も同じように掴んで混ぜ合わせ、1体の龍に変えてしまった。


「なかなか面白い魔法を使うが、我にそもそも魔法は意味がない!このように相手の魔法すら巻き込み新たな姿を形作る!これが創造魔法の力だ!!」


 クリエイトは高笑いしエルドはひきつった表情をする。


「さあ、今度はお前が自分の魔法を喰らう番だ!行け!!」


 クリエイトがドラゴンに命令するとドラゴンはその場で自爆した。


「はぁ…流石に焦った〜。5体の龍を混ぜ合わせたときの爆発の起動が思ったよりも遅かった。やっぱぶっつけ本番なんてやるもんじゃないな。」


「きさま…我の魔法を知っていたのか…」


 煙が晴れてくると何かの塊を持ったクリエイトが姿を見せる。先程の爆発ではエルドの想定よりダメージを食らっていない。


「まあね。女神アレアミアが創造魔法を使う四天王がいたって教えてくれたよ。具体的な戦い方はテンペラからね。」


「なるほど。だがまあいい。」


 クリエイトは持っている塊を少量ちぎりエルドに投げつけた。エルドはヤケクソなのかと呆れてテンペラでその小塊を弾く。テンペラと小塊が触れた瞬間、小塊が爆発した。エルドは爆風に押されて大きく下がる。


「なんだよこれ…まさか…」


「これは先程の爆発そのものだ。まさか我が形無きものもいじれるとは思わなかったようだな。」


 クリエイトは小塊をどんどん投げつけてくる。エルドは触れないように避けるが、避けても小塊が戻ってきてエルドを襲う。エルドはテンペラを振り周囲に氷の幕を張って爆発を防いだ。


 爆発が完全に終わったところで氷の幕を消すとクリエイトがいなかった。どこに行ったのかと当たりを見渡すと突如目の前に現れエルドは顔面を殴られて吹き飛んだ。


「自ら視界を覆うとはとんだ愚か者よ。今の一撃で死んだだろう。全く女神といい人族といい少々手こずらせて…」


 クリエイトが立ち去ろうとしたとき、エルドが立ち上がっているのを目にした。


「へえ、僕も手こずらせることができたんだ。ならここまでは上々だね。」


「な、なぜ生きている…今のは確実に…」


「さあね。あんたが弱すぎるんじゃない?実際今の全力の一撃よりテンペラの手加減の一撃の方が痛かったし。…やば、鼻血出てた…」


 エルドは回復魔法を全身に巡らせる。


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