166.魔剣の魔族達 2
「じゃあ遠慮なく。そもそもなんで女神族と対立しているの?」
「さあな。領土問題だと聞いていたが正確なところは知らん。私達が生まれるよりも遥か昔に何かあったみたいだが。それにその間毎日の様に争っていたわけじゃない。休戦の時期も何度かあったらしい。」
エルドがメモを取っている。
「なんでメモを取ってるの?」
「モイラじゃないけど、こういう歴史って重要だから記録して陛下に報告する。流石に女神の話と違って表に出せるとは思わないけど。」
マリーの問にエルドが答える。
「じゃあ次なんだけど、魔王って世代交代してるの?」
「当たり前だろ。魔族といえども寿命はある。魔王は己の力を示し、同胞の支持を得てなるものだ。そして先代の魔王から力を引き継いで新たな魔王となる。クリエイトの場合そのあたりは何もやっていないだろう。そもそも私達の時代の魔王から何も引き継いでないだろうしな。」
「選挙みたいなものか。アイルアイル国風だね。」
メモを取り次の質問を考える。
「四天王に序列ってあるの?もういないけど今の四天王がそんなこと言ってたんだけど。」
「一応ある。」
「それに関しちゃテンペラに話させるのは酷ってもんだから俺が話そう。」
メテオが笑いながら割り込んできた。
「一番目はヒーリング、次いで俺メテオ、そしてテンペラ、最後にクリエイトだった。」
「それは実力の順?」
「お、いいところを聞くな〜。実力順じゃなく忠誠心…とは違うか…魔王様の信頼度で序列が決まったな。もっとも俺ら3人とクリエイトじゃ実力でも開きがあったがな。」
「ふ〜ん…じゃあ実力だったらどうなってた?」
それを聞いてメテオはしばらく考える。
「それは状況によるんだよな。例えば1対1ならテンペラが強い。だが自分の配下を使い団体戦ならヒーリングが圧倒的だ。回復させられるからな。」
「あら、じゃああなたは3人の中だと一番弱いの?」
マリーが口を挟む。
「あっはっは。例えば周辺を消し去っていいってなら俺は圧倒的だな。まあ俺自身も無事じゃないかもしれないが。」
「そういや魔剣にされてた時って意識はあるの?ヒーリングはモイラと対話できてたみたいだからあるようだけど。」
「夢現って感じだな。魔力を流されれば覚醒するがそれ以外は寝てるような感覚だった。テンペラもそんな感じか?」
テンペラは頷く。
「魔力を流し続ければ対話とかできるのかな?」
「やめとけ。お前の魔力が持たないだろうし、そもそも私と何を話す?」
「別に大した話なんて必要ないんじゃないかな。今まではただの便利な武器だと思って使ってたけど、これからは多分感覚が変わるだろうし。」
「ほう、どんな風に?」
「ん〜…相棒とか…」
それを聞いてテンペラは微笑んだように見えた。それからまたいくつか魔族に関して質問していると何か硬いものを力いっぱい擦り合わせているような不快な音が響いた。
「な、何?」
マリーが立ち上がり構える。エルドも予備剣を取り出して警戒する。