表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

162/180

162.砦の防衛と緊急事態

 時間は少々遡り、レイラから2万匹の魔物が通過したと連絡を受けたモイラは結界魔法を発動させる。


 結界を維持している間無防備になってしまうモイラは砦の屋上で結界を発動させ、隣にはアレアミアが待機していた。


「これだけの大きさの結界を詠唱無しで発動できるなんてすごいはね。」


「発動自体は詠唱なくても問題ないんですが、この結界の維持に魔力を多めに消費するので詠唱を行わないといけないんです。少しうるさいかもしれませんがご容赦ください。」


 そう言ってモイラは詠唱を始めた。別にうるさいとは思わないと言おうと思ったが、モイラの詠唱を邪魔しないようにアレアミアは口をつぐんだ。


 しばらく待っているとモイラの結界に魔物が入ってくるのが感じ取れた。


 魔物が入るたびに魔物の魔力が少なくなり、結界に魔力が補充されているのを感じる。発動したモイラ自身もよくわかってないのだが、この結界に人族以外が出入りすると通行料として魔力を奪い結界の維持に当てられるとの事。


「この結界を創ったやつ、結構性格悪そうね。」


 魔力を奪われ弱体化させられて冒険者たちにことごとく返り討ちにあっている魔物を見てアレアミアはつぶやいた。それが聞こえたモイラは苦笑いしながらも結界維持の詠唱を続ける。


 どれくらい経過したか、魔物の最後の1匹を討伐した冒険者たちの歓声が聞こえてくる。


「どうやら終わったようね。でも少し待って。一度周囲を確認するわ。」


 アレアミアは魔力探知を発動させて周囲に隠れている魔物がいないか探った。


「大丈夫ね。もう結界といても大丈夫よ。」


 そう言われてモイラは詠唱を止めて結界を解除した。アレアミアが用意してくれた水をもらい一気に飲み干す。


「は〜、無事終わってよかったです。」


 モイラは時計を取り出し時間を確認する。


「1時間と少しか…向こうはまだやってますかね?」


 モイラは水を飲みながらアレアミアに聞く。アレアミアは魔力探知を発動してエルドたちがいる辺りを確認する。


「もう終わってるみたいね。今4人で集合するために移動中みたい。4人の所に行く?」


「はい!みんな疲れてるだろうから迎えにいきます。」


 モイラが砦内に入ろうとするのをアレアミアは止めた。


「歩いていったら時間がかかるから飛んでいきましょう。」


「飛んでいくって…」


 飛行魔法でも使うのかと思ったらアレアミアは翼を広げ浮き上がりモイラを持ち上げる。


「え?えぇ?」


「スピード出すから気をつけてね。」


 そのままエルド達のいる方向へ飛び始める。地上では冒険者たちが魔物の選別を行っていたが飛びさるモイラを見て再び歓声を上げた。


 アレアミアは癖で自分の姿は見えなくしていたためモイラが魔法を使わずに飛んでいったように見えた。これは後に『聖女の奇跡』として語り継がれることとなる。


 4人のいる場所まであと数分で到着するという位置でアレアミアは異変を感じた。常にマークしていた魔族が消え、誰か一人のそばに瞬間的に移動していた。


「モイラ、緊急事態だからここから先は1人で行って。」


 そう言ってモイラの返事を聞かずに地上におろし加速して飛んでいった。状況がわからず呆然とするモイラはとりあえず歩いていこうとすると後ろに何かが着地する音が聞こえた。何かと思い振り返れば馬車と使役された魔獣馬がそこにいた。


 アレアミアはモイラと別れて数秒後には魔族の背後を捉えた。魔族は突然腕を振り何かを破壊した。後ろにいたアレアミアは危険と判断し上空へと避難する。よく見ると破壊したのは氷で状況的にエルドが投げたものだろう。


 アレアミアはそのまま魔族に対峙するように地上に降り立つ。そして魔族がアルを剣で刺し貫いているのを目にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ