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159.4人の戦い エルド・マリー

 エルドは豚面劣化魔族を氷で奥に押し込んである程度離れたところで止まった。


「コノヤロ…氷で押し込むとは舐めた真似してくれやがって…だが氷使いがオイラを選んだのは運が悪かったな。」


 豚面劣化魔族が大きく息を吸い込み鼻から吐き出す。すると炎が噴出されエルドに襲いかかる。エルドは驚き左にとびのいた。


「どうだ!オイラは四天王最強のジュシア様だ!四天王最強を選んでしまった不運を呪うがいい!!」


「おお、草までまる焦げ。まさか鼻から炎を吹き出すとは思わなかったな。」


 エルドはジュシアの炎で焦げた草を見て感心している。


「戦闘中によそ見するとは素人め!くらえ!!」


 ジュシアはエルドに向かってサイド炎を噴出した。エルドはテンペラを振り迫ってくる炎を凍らせた。


「あんた、四天王最強とか言ってたけど本当か?てんで弱いんだが。」


 エルドは剣先をジュシアに向ける。ジュシアは凍っている炎を鼻から引き抜く。


「炎を凍らせるとはフザケタやつだ。だがオイラが四天王最強なのはこいつがあるからだ!」


 ジュシアは上を向き水を噴出する。エルドは嫌な予感がしてすでに離れていた。しかし飛沫が一滴、手につくと体中の魔力が動かせなくなったのを感じた。


「ウソだろ…」


「は〜はっはっは〜!どうだ!お前ら人族の魔力を封じる液体はこのオイラから精製されるのさ!」


 高らかに笑うジュシアをよそにエルドは袖口で手を拭った。


「雫くらいだからまだよかった…ちょっと面倒だな…報告が…」


 エルドは頭を抱えそうになる。


「今度は直接食らわせて完全に魔力を使えなくしてやる!!」


 ジュシアはエルドの方を向き鼻から勢い良く液体を放出した。


「生意気な人族め!じっくりいたぶってやるからな!!」


 ジュシアは勝利を確信し笑う。


「お前バカだろ。」


 エルドはテンペラを振って向かってきた液体を凍らせる。そしてその氷はジュシアへと伸びていき体を凍らせた。


「な、これは…」


「炎を凍らせられるのになんで液体をかけようとするかね?」


「こ、コノヤロ…溶かしやがれ!」


 エルドはため息をつく。


「やなこった。とりあえず運びやすいように氷像になってもらうか。」


「やめろ!やめてくれ〜!!」


 エルドはその言葉を無視してテンペラを振った。




 マリーは蹴り飛ばした劣化魔族を探していた。流石に一蹴りでやられたりはしてないだろうなとは思うが正直力加減を間違えた気もする。


 そんなことを考えていると空から何か飛んできた。素早く避けたマリーは地面に刺さったものを見る。


「鳥の…羽?」


「うまく避けたな〜!」


 上空から甲高い声が響く。見上げると劣化魔族が飛んでいた。


「鳥型の劣化魔族か…少し面倒ね。」


「たかだか人族一人に俺が出張るのも大人気ねぇが、お前の命、このインジュイ様が貰い受ける!!」


 インジュイがポーズを決め空中で止まる。


「うわ…三下みたいなセリフ…」


 マリーは呆れてしまう。


「くらえ!!」


 インジュイが羽ばたくと翼から羽が抜けてマリーに向かって飛んでくる。マリーはそれを避け飛び上がりインジュイを殴ろうとするが避けられてしまう。そのまま落下して着地するマリー。


「飛んでる相手は本当に面倒ね。エルドがあんなこと言わなかったらこいつなんか選ばなかったわ。」


 そう言いつつマリーは手のひらをインジュイに向ける。


「ファイヤーボール!!」


 マリーの手のひらから火球が放たれインジュイに飛んでいく。インジュイはそれを難なく避けた。


「この程度がなんだってんだ。第一1つしか撃てないなんて所詮は…」


 突如背後に熱を感じインジュイは素早く避けた。元いた場所に火球が地上から打ち上がる。


「なんだと!?」


 更に背後から熱を感じたためインジュイは避ける。また火球が地上から飛んできた。地上ではマリーが火球を放つと同時に移動してインジュイの背後で再び放ちまた移動するを繰り返していた。


「無駄なことしやがって!いくら撃とうが所詮1つしかない火球なんか怖くないんだよ!」


 インジュイが地上に抜かって叫ぶ。


「それならこれはどうかしら!?」


 マリーも叫び返してきたが火球を放つ様子はない。しかし手が動いているから何かを操作しているのはわかった。何をしているんだとインジュイが疑問に思っているとまた背後に熱を感じた。しかし先程までとは比べ物にならない熱量。インジュイが振り返ると巨大な火球が迫ってきていた。


「何だこの大きさ!!?」


 インジュイは素早く移動し避けようとした。しかしその途中で火球が弾け、爆発に巻き込まれてしまった。


「なるほどね〜。魔法で攻撃っていうのも結構いいかもね。」


 マリーは火球を空に放ちインジュイよりも上空で火球をとどめていた。ある程度の数が溜まったところで合成し、今度は地上に向かって落とすように操作、インジュイが射程圏内に入ったのを見て爆発させた。


 インジュイが焼き焦げて落ちてくるかと空を見ていたら爆発で発生した煙の中からインジュイが猛スピードで突進してきた。


「はっは〜!このくらいの爆発でやられる俺じゃないんだよ!」


 インジュイはマリーに向かっていく。


「ええ。別にさっきの爆発で倒そうと思ってなんかいないから。」


 インジュイが迫ってくるのをヒラリと飛んでかわしインジュイの背中に乗った。


「な、何してやがる!!」


「これまであなたの得意な空中戦でやってたんだから、今度は地上で戦いましょう。」


 マリーはインジュイの背中を殴り、その衝撃で2人は地上に落ちていく。地上に衝突する直前にマリーはインジュイ飛び降りた。ものすごい音と衝撃があたりにこだまする。


「ひ、ひとの背中に乗るとは…た、大したやつだ…ま、まさか人族に…こんなやつがいる…とは…」


 インジュイは一度起き上がったが、言い終えるとそのまま膝から崩れ落ちた。


 マリーはしばらく様子を見たが完全に絶命したのを確認した。

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