155.浮気(?)と対応
食事を終えそれぞれ自室に戻る。アレアミアもSランク冒険者エリアの一室に部屋を用意してもらった。
エルドはベッドに横になり考え事をしている。暫くベッドの上を転がり起き上がった。
「ちょっとアレアミアのところに行ってくる。」
そう言って部屋から出て行った。
「なんでアレアミア様のところに?」
「さあ?何か聞きたいことがあるんじゃない?」
モイラの疑問にマリーはゴシップ誌を読みながら答える。
「はっ!まさか!アレアミア様の魅力に抗えなくて襲いに行ったんじゃ!!?」
「婚約者としてその妄想はどうなのよ?それにそんな事したら浮気になるわけだけどモイラ的にそれはいいの?」
モイラはしばし考える。
「浮気はイヤだけど上手く隠してたりとか、バレても『お前の方が最高だよ。』とか言われちゃうと許しちゃうかも〜。」
「時々モイラの性癖がよくわからなくなるわね…最もエルドは女神との恋愛とか興味ないだろうし。そもそも女神と恋愛ってできるの?」
マリーは呆れながらゴシップ誌を閉じる。
「あれ、マリー知らないの?女神様が人族に恋して結婚する話っていくつかあるんだよ。」
「へぇ…知らない。」
「じゃあいくつか教えてあげましょう。」
モイラが亜空間から分厚い本を取り出す。
「別に興味ないからいいわ。そもそも他人の恋愛話って苦手だし。」
「そうなの?ならレイラさんの件、お見合い話があるって嘘までついて関わってるのはなんで?」
「大した理由じゃないわ。学院時代言われたのよ。エルドとの関係をハッキリさせてほしい。ハッキリしないからアルがいつまでも私を見てるんだってね。
まあ当時の私はまだエルドに恋愛感情なんかなくて友達以上に思ってなかったからね。端からどう見えてたのかはよく分からないけど、その時レイラが言った言葉が全てなんじゃない。
だから今回はその意趣返しも入ってるのよ。まあ、私にそれだけのことを言っててあんなにヘタレだとは予想してなかったけど。」
ため息をつくマリー。
「へ〜…じゃあエルドを意識したのはいつから?」
「3年の春かな。年度末の長期休暇で家に帰ってるときにお婆ちゃんと進路について相談してたとき、結婚の話になってね。脳裏によぎったのがエルドだったの。それから学院に戻ったら変に意識しちゃってって感じかな。」
マリーは恥ずかしそうに頭をかく。
「そうだったんだ。エルドの一目惚れからそのまま付き合ってるのかと思ってた。」
「別に告白されたわけじゃないからね。エルドも一目惚れってわけじゃないだろうし。」
「なるほどね〜。…あ、そうそう。話は少し戻るんだけど、もしエルドが浮気したらマリーはどうするの?」
「そうね〜…エルドを殺して私も死ぬかな。」
重い、重すぎるよと口に出そうとしても言うことができないモイラ。
「ふふ、なんて冗談よ。エルドは浮気なんかしないって。」
マリーはそう言うが実際そういう事になったら実行しそうだとモイラは確信した。