136.貴族式決闘 対戦
エルドは一歩下がると同時に目の前に氷の盾を発生させた。ヒュライスは構わず斬りつけてくるが氷の盾の中ほどで刃が止まってしまう。
エルドは氷の盾から剣を引き抜こうとしているヒュライスの腹をける。吹っ飛ばされるヒュライス。エルドは氷の盾を溶かしヒュライスの剣を握る。それをヒュライスに投げれば剣はヒュライスの顔の横に刺さった。
ヒュライスは一瞬血の気が引いたがすぐに持ち直し、剣を抜いてエルドに斬りかかる。エルドはそれをテンペラで受け止めそのまま剣を弾き飛ばしヒュライスを斬る。ヒュライスはそのまま後ろに吹き飛び地面に転がる。
エルドは決闘が始まってから違和感しか感じていなかった。そもそもヒュライスは魔法を駆使するタイプ。それなのに使っているのを見たことない剣で戦っている。基礎すらできてない完全な素人の立ち回り。何を考えているのかと。
「さ〜て。準備運動はこれくらいにしておきますか。」
そう言ってヒュライスはゆっくり立ち上がり亜空間に手を入れて1本の杖を取り出す。
「まずは小手調べ。ウォーターボール!!」
ヒュライスの周りに数十個の水球が現れる。しかしヒュライスレベルで数が数十個ではだいぶ少なく感じる。同時に1個1個の球体の大きさが普通のより2,3周りおおきい。エルドはそこから考えられる答えを導く。
ヒュライスが手を振り水球をエルドに向かって飛ばす。エルドは剣身に炎をともし向かってくる水球を斬りつけた。しかし一振りで消せたのは2個程度だった。
普段なら最下級のウォーターボールなんかは一振りの熱波で消滅させられる。
「これは相当圧縮してるな。」
エルドは飛んできた水球に吹き飛ばされてしまう。
「あ〜はっはっは〜!どうしたエルドマリーン・ファニアール!最下級魔法にも対処できないのか!?」
エルドは立ち上がる。
「うるさいな、たかだか一撃入れたぐらいで。」
とはいえ相手の数十個の攻撃に対して自分が対処できるのは2個。分が悪すぎる。
「はぁ…アレやるか…嫌がるんだよな〜。」
エルドはテンペラを構えヒュライスを斬りにかかる。
「その魔剣使って近接戦しか出来ないのが君の最大の弱点なんだよ!ウォーターボール!!」
数十個の水球が発生したと同時にエルドに向かって飛んでいった。
「それが一番楽だからね。だからって魔法戦闘が苦手なわけじゃないんだよ。チェーンライトニング。」
テンペラの剣先から一筋の光が伸びてすべての水球に刺さった。そして水球の動きが止まる。
「な!?操作権を奪われた!?なぜだ!?魔力量ならほぼ互角のはず!!!?」
「僕と…ならね。これはテンペラを経由して発動させている。魔剣相手じゃ流石に勝てないでしょ。それにチェーンライトニングは拘束系の魔法だから多少は有利だし。」
エルドはテンペラが震えているのを抑える。
「さあ、この水球を使わせてもらおうかな。」
エルドは水球を操作しヒュライスの周りに配置する。自分は後ろに飛び下がった。そして着地と同時にすべての水球が爆発する。