135.貴族式決闘 名乗り
エルドたち3人が闘技場に到着すると観客席は冒険者で埋まっていた。
「ここが一杯になるくらい集まっていたんだな。ちょっと集めすぎたか?」
アルが首をひねりながら言う。
「さて行ってきますよ。」
エルドは闘技場の中へ足を運んだ。観客の完成で耳が痛い。そのまま進み戦闘エリアに入る。すると周囲の音が消える。
「怖気づかずによく来たな!」
反対側にヒュライスが立っていた。
「来なくても良かったけど来ないと面倒なことになるからやめてくれって友人に言われたものでね。」
「はっ!友人のアドバイスがないと動けないとかとんだ臆病者だな。」
「なんでもいいけど具体的なルールは?」
「具体的なルール?国が違うとはいえお互い貴族の血を引くもの同士、貴族式決闘以外ないだろ!」
それを聞いてエルドは露骨に嫌な表情になる。
「何だその顔?」
「決闘方法一般の決闘でよくない?貴族式だと最悪死人が出るし。」
「何だ怖いのか?」
「いや、そのあたりは別に調整できるし気にしてないんだけどね〜。あ、それに貴族式だと手を抜いてはならないってなってるから僕は魔剣を使うことになるけどいいの?」
「構わない!魔剣ごときに気圧されるボクではない!!」
エルドがアルの方を見るとマリー達が騒ぎを聞きつけてかアルと一緒に見ていた。何故かケイラックはいない。
「あ〜!最悪!!」
エルドはしゃがみ込んでしまう。
「どうした、エルド・ファニアール!怖気づいたか!?」
エルドは答えずしばしそのままの格好でいた。そして立ち上がり両頬を強く叩いた。
「もう覚悟を決めよう。貴族式決闘でやってやろうじゃないか!」
エルドは足を進める。ヒュライスも同じように進んできた。そしてお互い中央部で止まる。
「『流水』ヒュライス・バーライト・ジリシタンだ。」
「『氷炎』エルドマリーン・ファニアールだ。」
エルドの名乗りを聞いてヒュライスの眉が動いた。
「お互い正々堂々と、」
「全力を持ってこの戦に臨むことを契約する。」
2人は宣言のあと少し離れた。そしてエルドは亜空間から魔剣テンペラを取り出す。氷の剣身が太陽の光を反射する。
ヒュライスも同じように亜空間に手をツッコミ、1本の剣を取り出した。
「さぁ、始めようか。」
ヒュライスがそう言うと同時に斬りかかってきた。