125.施設案内
レイラの案内で北の前線の砦の案内をしてもらう。
「ジムだけでこれで10ヶ所目…」
モイラが通り過ぎた扉に貼ってあるプレートを見ながら言う。
「有事の際には冒険者の方々が来ますからね。今も次の戦闘に備えて順次募集して続々来てますしね。」
レイラが説明する。
「ほとんどの施設がそうなんですが、冒険者のランクによって場所が振り分けられます。特に寝室は大部屋か個室かが分けられますね。
そういえばマリー先輩たちは同じ部屋のほうがいいですよね。一応アルデリック司令官に言われて大きめの部屋を用意してますので。」
「なんか気を使わせて悪いわね。」
マリーが苦笑いで言う。
「いえ、ご婚約されたんですから多少は気を使うのは当然です。陛下からもそのようにするように連絡がきたようですし。」
レイラは気にした様子もなく言う。
「さて、ここが最後ですね。ここは冒険者のランクで振り分けられることのない唯一の場所、大食堂です。」
レイラが扉を開けると中はとても広かった。外の演習場なんかよりも広い。
「基本的にいつでも食事ができますし、あっちの扉から外に出れて簡単なカフェテラスになってます。」
実際昼をだいぶ過ぎたのに食事をしている人がチラホラと見受けられる。同時に食堂のスタッフなのか清掃をしている人もいる。
「少し喉が渇きましたね。飲み物を取ってくるので適当なところに座ってください。」
マリーとモイラはとりあえず近くに席に座った。しばらくするとレイラがオレシアジュースを3つ持って戻ってきた。
「お待たせしました。」
レイラは二人にジュースを手渡す。
「ありがとう。」
「ありがとうございます。」
3人でジュースを飲む。そしてマリーが微妙な顔をした。
「ど、どうしました!?」
レイラは慌てる。
「このオレシアジュース、一割ほど水で薄められてる…」
「少し氷が溶けたとかじゃなくて?」
モイラが飽きれたように聞く。
「違う。そんな少量じゃない。」
「マリー先輩はオレシアのことになるとうるさいですからね。」
「何ようるさいって?」
「ここではこんなものです。他国の冒険者はオレシアの甘さがくどいらしく、いろいろ試行錯誤した結果こうなりました。
まあ、文句があるならアルデリック司令官に言ってください。あの人が司令官に就任した際に最初に手がけた改善策の一つですから。」
「ジュース一つにそこまでやるんですね…」
モイラが飽きれたように言う。
「前司令官が少々変革に難儀を示す方だったので。私がここに来たときは色々ひどいものでしたよ。」
「あ、なんかそのひどい状態知ってるかも…」
マリーが遠い目をした。




