122.食事
司令官室の隣にある食堂でケイラックは驚愕していた。マリーとレイラの食べている量が半端な量ではなかった。
もともと色が出ている人間は食べる量は常人の5倍程度と言われているが、両方に色が出ている場合はさらに倍ではきかない量を食べる。
ケイラックがレイラですら大量に食べるのを知らないのは無理なかった。普段は司令官と副司令官では食事の時間をずらして食べていた。
「はぁ…やっぱりマリーの料理がいいね。」
食事も終えてお茶を飲みながらエルドが言う。
「味もそうだけど、ここまでの量ってマリーの料理じゃ食べないからね。」
モイラが同意する。それを聞いてデザート代わりにオレシアをレイラと分け合って食べていたマリーが口を開く。
「普段料理する時は私の魔力を込めてるからね。ちなみに外食の時もこっそりと。」
「へー、そんなこと出来たんだ。」
モイラが感心する。
「昔からの知恵だっておばあちゃんに教えてもらったの。そうじゃないと食費がいくらあっても足りなくなるからね。」
知らなかったな〜と、エルド、アル、ケイラックは声を揃えて言う。
「上流階級以上の出じゃあまり関係ないでしょうからね。」
マリーは飽きれたように言う。
「私は知ってましたよ。」
レイラがオレシアを食べながら言う。
「だからここに来て最初に料理人の視察をしたのですが、この砦に常時いる人数を考えると現実的ではないので伝えなかったんです。
量に関しては本国から予算が出てるからまあいいかと。」
レイラは更にオレシアを食べる。
それを聞いてあるは考え込む。この砦で一番予算がかかっているのが食事だ。味もさることながら量が必要になってくる。もしこれが抑えられるならと…
「ねぇマリー、その料理に魔力を込めるやつってお茶なんかにもやってた?」
「え?うん、やってたよ。」
それを聞いてエルドは頭を抱えた。
「だから味がいいのか…ミレニアになんて説明するかな…」
エルドも考え込んでしまった。その理由をマリーとモイラだけが理解していた。
「ま、今考えてもしょうがないか」
アルが手を叩きながら言う。
「まだまだ残務処理があるし仕事を再開しますか。エルド、手伝え。」
エルドは嫌そうな顔をしながらもアルのあとに着いていく。
「マリー先輩とモイラさんは私についてきてもらえますか?少し確認したいことがあるので。」
それを聞いてエルドがレイラを見る。
「素直に動いたからおかしいと思ったら、やっぱり私を当てにしてたわね。」
マリーが飽きれたように言う。
「アル、エルドの事こき使ってあげて。」
そう言ってマリーはレイラについて行った。
「えっと…頑張ってね。」
モイラもそう言って行ってしまう。
「と、言うわけだ。婚約者から許可が出たんだ、とことん付き合ってもらうぞ。」
アルはエルドの肩を叩いて司令官室に入っていく。
「あはは、大変だねぇ。」
ケイラックがエルドの背中を押して共に司令官室に入っていった。