119.閑話 アレアミア覚醒
アレアミアは裁きの女神の法衣からいつもの守護の女神の法衣…ではなく別の法衣に着替えていた。
着替え終わり鏡を見る。普通なら黒い瞳が金色に輝いていた。アレアミアは一度目を瞑り再び開く。すると瞳の色は普段通りの黒に戻っていた。
「アレアミア、よろしいですか?」
アレアミアが振り返り、誰が入ってきたのか確認すると上位女神のオファラスだった。
「はい、オファラス様。」
「どうですか?力は戻りましたか?」
「はい。全盛期と同等とまでは行きませんが、それでも問題ありません。」
「…わかりました。遥か昔、魔族の王、魔王を討ち滅ぼしたあなたの実力、信じています。」
「私は魔王にとどめを刺しただけです。追い詰めたのは仲間や先輩方ですから…」
アレアミアの表情はどこか暗かった。
「そうでしたね…まさか今の時代になってまた魔族が動き始めるとは思ってもみませんでしたが。」
そう言ってオファラスは出て行った。
魔族の活動が活発化し始めたのはそれこそエルドが2つ名を襲名することになったあの大衝突の頃だ。
あの時はせいぜい魔物しか動いてなかったからアレアミアは特に何もしていなかった。
しかし今回の北の最前線の騒動には明らかに魔族が関わっている。
新たな魔王が生まれたのか、はたまた別の要因か…
アレアミアは力を取り戻すために色々な女神のもとで魔力を補充してもらっていた。
その代償に仕事の手伝いをしていた。その為エルドの呼びかけには応じられなかった。
「エルド、まさかあの大衝突にも関わって、そして今回も関わることになるなんて…運はいいはずなのに…」
アレアミアはため息をつく。
「でもまぁ、運がいいだけじゃ人生やっていけないってことね。よくわかったわ。」
アレアミアは2対となった翼をはためかせて外に出ていった。




