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100.訓練

 中央都滞在5日目。3人は昼頃に中央ギルドに足を運んだ。午前中は依頼の受注のために人でごった返しているが、昼も過ぎれば閑散としている。


 エルドは受付で訓練場の使用許可を得て3人は地下にある訓練場に向かった。


「ここに来るのも久しぶりだな。」


 エルドは訓練場の照明スイッチを入れながら言う。


「魔剣を手に入れてから絡まれてよく試合を挑まれていたからね。」


 エルドの言葉にマリーも懐かしそうに言う。


「さて、まずは新しいグローブの使い心地の確認からかな。僕が適当に相手をするよ。」


「やっぱり私とやる方が手っ取り早くない?私もマリーの攻撃受けて結界魔法の強度確認したいんだし。」


 モイラが首を傾げながら言う。


「あまりないと思うけど、マリーの魔力が暴走して結界破壊してモイラに何かあったら…」


 そこまで言ってエルドは言葉を止める。モイラがにやけた笑いをエルドに向けているからだ。


「もう、そんなに心配してくれるの?そりゃあ昨日の夜もあれだけ甘い言葉をささやいてくれたんだからそれはわかっていたけど…」


「マリー、僕が相手するよ。」


「ええ、その方がよさそうね。」


 エルドとマリーはモイラを放置して訓練場の中央に向かった。


「も~、恥ずかしがらないでいいのに~!」


 歩いて行ってしまう2人にモイラはそう叫んでから危なくないように訓練場の隅に移動し座る。


「さ~て、マリーとの手合わせも久しぶりだし、死なない程度に頑張りますか。」


「別に本気でやらないわよ。ただ何か間違いがあって力の調整がうまくいかなかったときは何とか回避してね。」


 2人は対峙し構える。エルドは珍しく何も武器を持たずに素手で行うようだ。


 最初に動いたのはマリーだ。一気に間合いを詰めてエルドの顔面に拳を打ち込む。エルドは半歩横に動いてマリーの拳をよけ、その腕をつかんで勢いそのままにマリーを背負い投げる。


 マリーはエルドのその行動を読んで投げられる前に掴まれた腕を振り払い自分で跳び上がった。そしてエルドの真上に来て落下を始める。その落下の勢いに乗せて拳を放った。


 エルドはマリーが落ちてくるのを確認してその場から離れる。離れたと同時にマリーが拳を携えて落ちてきた。マリーの拳はエルドの頭のあった場所に振り下ろされていた。


 マリーは体勢を立て直しエルドに向き直る。今度はエルドの拳がマリーに向かって行っていた。マリーはそれを掌で受け止め交わしていく。


「は~…全く見えない…」


 中央で戦っている2人の姿を見ているが、その動きはモイラの目では追えていなかった。


「でも、2人とも楽しそう。」


 オルファや神官総長と戦っていた時は真剣な表情をしていた二人だったが、今は口元が笑っているのはわかった。しばらく見ているとふいに2人の動きが止まった。


「こんなものじゃないかな。」


 マリーがグローブを見ながら言う。


「は~、本気じゃないとはいえマリーの相手は疲れる。」


 エルドは体を伸ばしながら言う。


「じゃあモイラ交代ね。」


 エルドはモイラの方に歩いてくる。モイラは立ち上がって中央に向かった。


「それで、とりあえず結界に攻撃すればいいの?」


「うん。まずは全力で結界を張るから。どれくらいで壊れるか確認したいの。」


 そう言ってモイラは呪文を唱えて自分を中心にドーム状の結界を張る。


「じゃあお願い。」


 モイラの言葉に頷いてマリーは結界を殴る。結界はたわんだが破壊されていない。マリーはもう一度殴りつける。再び結界は撓むが破壊されない。


「へぇ、結構頑丈なのね。」


 マリーは笑みを浮かべ、両拳で何度も殴りつける。さすがに何十発も殴られると結界は壊れてしまった。


「なるほど。思ったよりは耐えれた。なら…」


 モイラは再び呪文を唱え、今度は自分の目の前に壁状の結界を作成した。


「形も思いのままなんだ。」


「もちろん。今度はどれくらいで壊せるかな?」


 挑発気味にモイラが言う。マリーは笑みを浮かべて結界に殴りかかった。


 エルドが退屈になり寝転がりながらあくびをするくらいの時間が経つまで2人の攻防は続いた。


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