4 後輩と服選び
(~ 'ω' )~
「あの……先輩、どうですか?」
スウェットから着替えるために、近くの衣類店に寄ってしばらく選んでから試着室から出てきた後輩は随分とビフォーアフターしていた。上はピンクのニットのトップスに、下は白い所謂フレアスカートというものだろうか?女性物は色々ありすぎてなんとも言葉にするのが難しいのだが……素直な感想を言うことにした。
「めちゃくちゃ似合ってるよ。可愛い」
「あ、ありがとうございます……」
照れたように微笑む紗夜。そういえば高校時代も休日会う時は制服が多かったし、私服は珍しいのかもしれない。
「とりあえずもう何着か買って……あと、パジャマとかはどうする?」
「あ、いえ、私服着たまま寝るのは好きじゃなくて……」
なん……だと……!?そう内心驚きはしても、まあ、妹も年頃の時に普通に裸で歩いてたし家では緩むのだろうと思って納得する。そこそこ美少女の妹の裸で興奮しなかったのは正常なのだが……流石に紗夜の裸を見るのはまずかろう。
「とりあえず紗夜にはベット使って欲しいけど……時期的に奏の夜泣きは避けられないだろうからどうするか。ベビーベッドはスペース的に置けそうにないから、小型のやつで代用して……紗夜は起きれたら奏に授乳して欲しいかな。俺もなるべく起きてミルク作るようにはするけど」
「あの……でも、先輩お仕事あるんじゃ……」
「副業で遅くまで起きてるから心配ないよ。むしろ、昼間の奏の世話を全部任せるんだから、夜はある程度休んだ方がいいよ」
赤ちゃんの世話は本当に気力と体力の勝負だからね。数時間おきに叩き起されることなんて当たり前。まあ、それは元気な証拠だから前向きにとらえないとね。
「それに言ったでしょ?下の子の面倒見てたって。うちそこそこ家族多いから、バイトと子供の世話の両立も普通に出来ないとダメだったしね」
「……なんか先輩、熟練のお母さんみたいですね」
地味にグサリときた。まあ、同級生に『おかん』とかいうあだ名をつけられる程度には分かってたことだけど……でも、この程度の経験誰でも1回はあるよね?そう言うと皆苦笑するから人間で狡いものだ。
「と、とにかく……夜はある程度任せて紗夜も休める時は休むこと」
「はい……あの、ところでさっきベットを私にって言ってましたが先輩は……?」
「ん?俺はソファで寝ようかと」
「だ、ダメです!それじゃ、先輩体壊しますよ!」
全く………他人のことばかり気にする可愛い後輩め。
「とはいえ、一緒のベットは正直辛いでしょ?まあ、最悪この後布団買って帰ろうかと思うけど……」
「で、でも……」
しばらく迷ったように視線をさ迷わせてから、紗夜はギュッと服の袖を掴むと言った。
「わ、私は……私は大丈夫です。気にしません……」
「その震えてる手は?」
「先輩の気のせいです……」
「なら妥協案。部屋は同じだけど布団は別でどう?」
「わ、分かりました……でも、先輩がうるさいと感じたら追い出してくれて構いません……」
「少なくとも夜泣きでそこまで思ったことはそうないから大丈夫だよ」
そんな会話をしてから、紗夜には1度ランジェリーショップに行って貰うのだった。下着を同伴で買う覚悟は俺にはないしね。その隙にちょこっと奏と買い物をするが……1度オムツで泣きそうだったのでなるべくいいタイミングでトイレに向かえたのは良かった。