13.対面
「今日から学園に入学したリオンだよ。皆、仲良くしてあげてね」
ニコニコ笑顔でレオは皆にそう言った。
大人になって魅力が一気に増したルーカ―、ジョー、デュアルが何が起こっているのか分からずきょとんとした顔で私を見つめる。
いきなり、こんな露出度の高い女が現れて、学園に入学することになったって言われたらびっくりするよね。しかも私、貴族じゃないし……。
レオ、一体、どんな手を使ったんだ。私をどういう枠で入学させたのか物凄く気になる。
そして、彼らの隣には新メンバーも勿論いる。ついに出会えた。ヒロインッッ!!
少しカールした肩ぐらいまでの黒髪と、燃えているような真っ赤な稀有な瞳、マリー・コラス。
うわぁ、なんて可愛んだ。美少女コンテストで優勝出来るぞ。……本来なら私が彼女になっていたはず。まぁ、今は魔女になって良かったって思っている。
魔法使うの楽しいし! ……ここじゃ使っちゃいけないけど。
「この子は、……貴族?」
ルーカ―が疑わしそうに私を見つめる。
分かるよ、ルーカ―。今の私の見た目って全く貴族の要素ないよね。むしろ娼婦かなって思っちゃうよね。けど、うちら同い年だよ!
「そんなの言ったらマリーだって平民でしょ?」
可愛い声でレオはルーカ―にそう言った。
そうだ、ルーカ―は、特に何の能力もない平民の女の子をただ気に入ったからという理由で学園に入学させたんだ。……王子の権力って便利☆
まぁ、幸いなことにマリーはそれなりに賢かったし、人格も良いから悪役令嬢を除く貴族からの酷いいじめにはあっていない。
多分、私がここに入学したということは、これから私が酷い目に遭うんだよね……。まぁ、別におこちゃまの虐めなんてなんとも思わないし、特にダメージも受けないと思うから別にいいけど。
「こんにちは、リオン。僕の名前はデュアル。よろしくね」
デュアルは、私の手を取り、チュッと軽く口づけをする。
あ、彼がプレイボーイなのがよく分かるわ。大概の女はこれと彼の色気でコロッと落ちるわ。
バシッとレオがデュアルの手を叩く。
今、一瞬物凄い殺気感じたんだけど……。お気に入りのおもちゃを取られる独占欲ってだけじゃないような気がする。
レオの方をチラッと見たが、いつもの笑顔に戻っている。
「虫がいたんだ」
レオは満面の笑みでそう言うけど、デュアルの顔は若干引きつっている。デュアルは「あ、有難う」と言いながら手を引っ込める。
「おもしれえもん見たな」
ジョーがニヤニヤ笑いながら呟く。
「俺の名前はジョー・モルタルだ。よろしくな、おねえさん」
「同い年よ」
「は?」
「私も十五歳よ」
「その見た目で?」
相変わらず口の悪い男だな。服装のせいでかなり大人びて見えるのは否めないけどさ。
「俺の名前はルーカ―だ。よろしく」
短くそれだけ言って、ルーカ―は挨拶を終える。多分、まだ私のことを疑っているのだろう。
「私の名前はマリー・コラスよ。私で良ければ、この学園を案内するわ」
「それは大丈夫だよ。僕がするから」
私が何か言う前にレオが返答する。
……レオはこんな可愛いヒロインと出会っていたのに、ずっと私のことを想っていてくれてたってことだよね? 可愛すぎない? 心臓がギュ――――ってなるんだけど。
今まで乙女ゲームしてきて、ショタを推したこと一度もないけど、推してしまいそう。
「あ! そうだ。これ! 制服だよ」
そう言って、レオは私に新しい制服を渡してくれた。
おおおおぉぉおぉ! まさか、私もヒロインと同じ制服を着れるとは夢にも思っていなかった! 憧れの制服だ。
レオ、準備完璧すぎない?




