なぜ疑問形?
状況を理解しきれないまま、僕は逃げだした。
なぜ僕が追われる羽目に……
「《粘糸・ネット》!」
足止めしようと、糸で網をつくる。
ドカンッ!
……網が爆発した。
全力で逃げてるが、距離は縮まっている。
どうしよう……マジでどうしよう!
……追い詰められた。
背後には図書室の扉。
えっ?
なんで図書室に入らないのか?
だって、図書室で大爆発とか……
絶対大惨事になるし。
あと、この高校の図書室には主がいるらしい。
その図書室の主は、高校生では全国トップレベルの異能者らしいし。
そんな人の怒りを買いでもしたら、絶対に詰む。
うん。もう既に詰んでるけどさぁ……
「さあ、死んでもらおうか!」
だから、なんでだよっ!
僕は悪くないって!
「終わりだ!くら……え?」
な、なんだ?
何が起きた?
僕を追ってた奴は、倒れた。
意識を失っているようだ。
だ、誰がこんなこと?
周りには誰もいない……
いや、気配が……?
「《粘糸》!」
背後に粘糸を放つ。
「よく……気づいた、ね?」
振り返るとそこには、小さな黒髪の少女がいた。
「気配、消してた。でも、気づいた。すご…い?」
なんで疑問形なんだよ。
なんかたどたどしい喋り方だな。
「えーと……誰ですか?」
「私は……上野、美香……」
上野美香……どっかで聞いたことあるような……
「人呼んで……図書室の、主……だよ?」
マジですか……