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猫との思い出

作者: 堀河 五也

猫を撫でながらわれは思った


好んで毛に沿って背を触れられている此の雉虎は

嘗ては静かで騒がしい野に潜んで暮らしており

或る時は

狩りをして自らやその仲間等の腹を満たし

或る時は

退屈や嫌みを消す為力一杯名の知らぬ地を走り回り

或る時は

生き抜く事を目的に他の者と勝負して陣地を取り合う姿を見たり

或る時は

命を懸けて車道や繁華街等々を恐れ知らずに踏み入れたりしていた


そんな時に

大きな建物に入った際

温かな手で触られて抱かれては

眩しく大きな密室に連れて行かれた猫

何もかも

家という人間の住む処に足を入れるのは

生まれて初めてだったであろう

否、我が家族が飼って暫く観察すると

目の前にお八つを置くと敏感にも異常な威嚇を見せた

父親曰く

此の猫は元々はうちで生まれて飼育されたものの

冷酷な扱いや運命を過ごす事に強いられ

理不尽な訳を作り血も涙も無い儘

外に捨てられたと推察していたが真相は今も不明の儘だ

だがそんな事は今となり綺麗に忘れられている


幼く拾って間もない頃はお互いの為に

少しの間は可哀そうだが

檻に閉じ込め様子を御窺いした

偶に玩具で遊ぶ為檻から出して

元気良く疲れを知らずに

一心に追い駆けていたことに関しては

一段と懐かしく思っている吾

そして檻にいる生活から脱してからは

部屋中に妄りと思う存分駆け回り

物や家の柱を滅茶苦茶にさせたりと

やりたい放題して我が家族を煩わせた

同然沢山叱られる日々を

彼は何処が逃げたしてしまいたい程の気分を

此の身に嫌々味わったであろう


昔から居た老いた短尾の雌猫からも

ほぼ毎日怒られるばかりで

遊び相手に為れそうに行かず

散々な目に遭っていた

無念にも其老いた短尾の雌猫は

自らが他界するまで

彼の事を家族として認めてくれず

あまり良い別れではなかった

我が家族もそう感じたが

自身も恐らくその頃は声を荒げて

泣きたくなる程の後悔をしただろう…


そして年月が経ち

体も打って変わって一段と大きくなり

室内を走るのが日課だったのが

今日こんにち伸引のんびりと丸くなって寝るのが

日々の趣味と化して時代を感じた

相変わらず臆病な処が名残にあるものの

昔よりは一つ忍耐強くなった

だけど吾の様な個性的なドジに関しては

まさに瓜二つと言える上に

共に心も体も成長をした様に身を感じている

楽しい事も悲しい事も

其々(それぞれ)の方法で乗り越えることが出来た

彼はある意味最高の相棒だ

さぁ吾と共に未来を歩んでゆこう


そんな長い長い思い出を込めて

今日も愛を持って撫でていた追憶の吾

そして気持ち良く「ニャー」と鳴く飼い猫の雉虎

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