表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

吸血鬼の王にはならない

新しく書こうと思いますよろしくお願いします。

自分の人生において、もっとも重要だと思うことは危機管理能力だと確信している。

あのときここを通らなければ、あんなことに首を突っ込まなければ。

そう後悔しても後の祭りで、結局自分のした事には自分で後始末をつけなければ、まわりの人間に迷惑をかけてしまう。僕はそんな人間になるつもりは無いし、出来れば平穏な日々を送り、孫や子供に看取られながら安らかに逝きたいと思うような人間だ。

そんな自分が何故こんなことになっているのか。僕は何も間違えなかった筈だ、ただ正しいことをしただけで誰にも責められるいわれはないと断言できる。昔から両親から困っている女の子がいたら助けろと家訓のように言われてきたからそれに従って行動しただけなんだ。それが...どうしてこうなった...




「貴方様に私達の王になって頂きたいのです!」



「お断りします」



助けた金髪美少女から何故か王になれと言われている。何故だ、まさか新しい詐欺か何かか、あいにくうちにそんなお金は無い、ここは毅然とした態度をとり家に帰らせて貰おう。僕は早く家に帰って妹にご飯を作ってやらないといけないんだ。相手がどれだけ美少女であろうとも初対面の人にホイホイついていくほど僕は安い人間では無い。というか王ってなんだ、王様ゲームでもするのか、楽しそうですね。




「貴方様には吸血鬼の王としての素質が充分以上にあります!ひょっとしたら歴代の王を超える存在になりうるかもしれません!」



この子は詐欺じゃないな…ただの中二病だ、何が吸血鬼の王だ、色々と古傷を抉られる気持ちになるからやめろ。それに歴代の王って、僕より前にこんな感じで騙された人間が居るってことか…どんだけ単純で馬鹿なんだよ、確かにこの子は可愛い子だけど流石にそんな簡単についていかないだろ...それとも同情して設定に合わせてくれた人のことを歴代の王とか言ってるのかな。




「僕は吸血鬼とか興味ありませんので…」



「でしたら私のことを好きにしてかまいません!ですから何卒よろしくお願いします!」




はい、ギルティだよ、中二病と詐欺のどっちもか...?こんないたいけな女の子を使い、これは本当の話だと信じ込ませ、最後は身体を使わせて、客をとる。何て悪質な手口だ...!これにはいくら僕があまり感情が希薄だとしても許せない行為だ、警察に相談したほうがいいんじゃないか?



「そんなことしなくていいから...」




「ですが...」



「...じゃあとりあえず君が所属している軍団のとこに案内してくれないかな」



「それはっ!」



「うん、とりあえず見に行ってから決めるよ」



そうだ、こんないたいけな少女を使う奴らの仕事現場に直接行き、警察に通報しよう、別に正義の味方になったつもりはないが、この子は中学生ぐらいの歳だろう、まだ引き返せる、汚い大人に振り回される人生など見ていて痛々しいからな、何より僕の中の良心が許さないし。暴れられても取り押さえよう、こんなときは血反吐吐きながら実家の道場で特訓という名の拷問を受けたかいがあるってもんだね。



「私以外の吸血鬼の皆さんも凄く優しいので、すぐに認めて貰えると思います」



あれ、何か王になる前提で話が進んでる。僕は仕事現場に行くだけだって言ったのになぁ。まぁいいか、どっちにしろ断るんだし。この子に現実を思い知って貰ういい機会だろう。



「そっか、それは良かった」



「はい!」



この時の僕を今の僕は猛烈に殴りたい、何故ついて行ったのかと、何故ここで素知らぬ顔をして立ち去らなかったのかと。仕方ないことだとはわかる、何故ならこのときの僕は微塵も本̀当̀に̀吸̀血̀鬼̀が̀居̀る̀な̀ん̀て̀思̀わ̀な̀か̀っ̀た̀の̀だ̀か̀ら̀。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ