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迷宮都市の掃除屋  作者: 翡翠 花蓮
1/1

プロローグ



迷宮都市、セルビルエラ。


ここは、冒険者たちの夢と希望、そして膨大な宝がある都市である。

迷宮都市とはなにか?と聞かれると人々はきっとこう思うだろう。


宝の山。


この都市は無限に続くと思われるダンジョンがあり、冒険者たちは迷宮の最深部を目指し、膨大な富を求める。

しかし、今ではそのような事を思うものは少ない。

迷宮に沸く魔物モンスターの素材や、魔石といったものは地上では、たとえ低い層でもそれなりの金額で取引されるからだ。

しかし、安全ということでもない。

冒険者一人一人が自らの命を天秤に乗せている。


そう、英雄を目指す少年、堅実に自らの出来る範囲で糧を稼ぐ者、そして冒険者を食い物にするクズな犯罪者だって・・・


☆☆☆


子供も、いや、大人の人も眠る真夜中、辺りに見えるのは魔道具の街灯の光ののみ?


魔薬の売人の頭、ウェルトは一仕事をおえ寝床があるスラム街へ向けて歩いていた。

彼はふと視線を感じ右上の民家の屋根を見上げた。

だが、そこには暗闇が広がるのみ。


「気のせい」と思いまた歩き出す、しかしまた視線を今度は左後ろの民家から感じ振りかえると、そこには二人の人影が街灯の光に照らされてぼんやりと見える。


一人は頭部から耳が生えており獣人と思われる。

胸部はやや膨らんでおり女性と予測される、そして獣人特有の耳はとんがっており、犬系の獣人と思われる。


もう一人は、髪が短くおそらく男だろうとしか予測がつかない。

しかし、暗闇の中で片方の眼だけが血のように赤く光っている。


そして、月によって彼らのいる場所が照らされたとき、ようやく彼らの姿がはっきりと見えた。

二人とも十代後半、女の方は白銀の髪に蒼い目、目つきは悪いが美人と言える容姿だ。

腰には得者であろう刃渡り50センチはあるナイフが一つ吊るされている。


そして、男の方は黒髪に黒目、しかし右目だけは濃い赤色。

容姿は整っており、髪をケアし、切りそろえればギリギリ貴族の嫡男に見えることもないだろう。

ローブを着用しており見た感じ武器は見えない。


「おい、【狂犬リリシア】、そろそろ仕事を終わらせる。」


「はいわかりました。あなたに恨みはないですがこれも仕事、そして愛しい愛しい【死神フェイ】様との久しぶりの仕事ですので。さようなら犯罪者ウェルト。」


ウェルトは走ろうとしたがなぜか下から自分を見上げている。

なぜ?理由は至極簡単だった。

リリシアと呼ばれていた女の腰にあったナイフによってウェルトは首を落とされたのだった。

薄れゆく意識の中、女の声が耳に聞こえる。


「うふふ、さあ、【死神フェイ】様、ターゲットはヤリましたし、早く私たちのわたしのいえに行きましょう!」


その言葉を聞き終わる頃には犯罪者ウェルトの意識は闇の中へと消えていった。


「さて、死体ここに置いておいても問題ないだろう。ここはスラム街、クズの吐きだめだ。二日もしたら十人が始末するしな。よし、【狂犬フェイ】仕事終了だ。」


「あぁ、無視とは酷いですぅ。もしやこれは新手の放置プレイ!?リリシアは濡れてしまいます!でもやっぱり放置プレイよりも・・・ちょっ待ってくださいよ~」


フェイは屋根の上を器用に駆けていく、その後ろにリリシアも遅れず駆ける。


こうして今夜も滞りなく迷宮都市の掃除屋の仕事が終わるのであった。


⭐⭐⭐


翌日、フェイは寝台の上で目覚める。

右腕にはリリシアが抱きついておりその母性の象徴とも言えるものがマシュマロのようにぐにゃりとなっている。

フェイはリリシアをベットの隅に寄せカーテンと窓を開け喚起する。


時間はおおよそ昼飯時。太陽は真上に上っている。


「はあ・・・寝過してしまったか。」

昨日は、掃除屋の仕事をして疲れてたとはいえ、ここまで眠ることは今まででも片手で数えられるほどだった。

やっぱり、疲れているのか?


「まあ、過ぎてしまったのは仕方ない。店の準備くらいはしておくか・・・。」


そう言ってフェイは窓を離れ、いつものようにキッチンに立ち朝食を作る、変態(リリシア)なパートナーはまだ起きそうにないので、朝食は一人分。


どうせ、リリシアは夕方まで起きないからである。

アイツは昨日俺以上に働いたからな、疲れがたまっているんだろう。

ゆっくり寝れるときに寝させてやるつもりだ。

まあ、仕事が入れば無理やり起こしてでも働かせるけどな。


そう、心の中でフェイは思いながら遅い朝食を作るのであった。







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