学力テストがあったのですが
正式に学校が始まる数日前に、留学生の新入生が全員集められ、オリエンテーションがあった。
この小さな学校に、留学生って日本人だけかと思っていたら、少しだけ台湾人、中国人、それからフィリピン人の留学生もいることがわかった。
寮では見かけてたけど、そうか。君たちは現地人ではなかったのですね…。割と英語上手いから、てっきりこっちの人かと思ってました。テヘ。
オリエンテーションは到着初日に会ったトーマスさんや他の先生方からのお話で、校内の主な施設についての説明と、授業登録についての説明と、学生証作成を行った。
ここで初めて知ったのだけれど、アメリカでは、学生証の写真は笑うらしい。
写真担当のオバちゃんに、思いっきり「スマァァァ~~イル」って言われて、思いっきり笑顔にならないと撮ってくれないという拷問を受けた。
ハッキリ言って、ほとんどの日本人留学生の顔が引きつっていたと思う。
午後には何と、学力テストが待っていた。
テストは2種類。まずはもちろん英語。それから数学。
この2つは学力でクラス分けされるんだそうで、この時は留学生だけじゃなく、アメリカ人の生徒も受けに来ていた。
英語も数学もマークシート方式。そして、やっぱりというか…
質問文も当然、英語なのですよぉぉぉぉ!
問題に対する答えがわからないというよりも、問題の質問文がわからないという、本末転倒というか、何と言うか…。
ああ、何故、英語教室でこういうのの対処をやってくれなかったのだ、先生よ!
アメリカのお笑いショートストーリーとかよりも、こういうのの方がよっぽど必要じゃね?
それでも、数学のテストは割と簡単だった。
数字は世界の共通言語だ! XもYも使われ方は同じ! ブラボーーー!!
問題自体は高1レベルな問題がほとんどで、英語が出来ない私でも何を求められているのか理解できたから、何とかなった。
英語はもう、笑うしかないっす。あははははははー
そんなわけで、学力テストの結果、私は数学はトップレベルのクラスを指定されたけれど、英語は最低レベルのクラスを指定された。
何だ? このギャップ。
英語の結果(予想通り)よりも、数学の結果が驚きだわ。私が最高レベルとか、笑える。
高1の夏休みに補習受けた人ですが、何か?
アメリカ人って、数学は日本ほど進んでないのかなー?
英語のクラスは留学生全員必須の会話のクラスの他に文法のクラスと読解のクラスを指定された。
しかも全部、大学1年レベル(101)には満たない、留学生用の英語のクラスで、それらを無事に通過しないと、卒業するのに必要な英語101を取らせてもらえないとか。
が、頑張りますっ!
数学のクラスは、別に数学を極めにここに来たわけではないので、大学1年レベルの101を取らせていただきます。
え?チートじゃありませんよ? 戦略的撤退です。
取りたいクラスをリストにして留学生カウンセラーのバーバラさんに見せたら、「これだけじゃ留学生が在学する基準の単位数に満たないからダメ」って、私にも判るようなゆっくりな英語で、ハッキリと言われた。
何でも、留学生は「フルタイム」と呼ばれる状態を保たないといけなくて、そのための単位数がこの学校では12単位以上。
それ以下を2学期連続してしまうと、留学資格を失うから、気をつけないといけないんだそうです。
留学資格失うって、それ即ち、退学ですよね? それは困ります!
そんなことになったら、うちの母親のことだから、きっとそのまま勘当される!!
どの授業を足せばいいですかね?ってバーバラさんに相談したら、私の(残念な)英語のレベルだと、他の英語の基礎のクラスを受けるか、とりあえず音楽とか体育とか英語をそれほど使わなくても大丈夫そうなクラスなら気が楽じゃないかと言われたので、美術の陶芸のクラスと体育のウェイトレのクラスを加えることにしました。
陶芸とウェイトレ。
何かしょっぱな、カオスな匂い…
バーバラさんからOKが出たので、私はそれを事務員のオバちゃんに登録してもらった。
自分のPCがあればオンラインで授業登録出来るそうなんだけれど、まだ自分のPCを調達してないし、この学校では、留学生は学期毎にバーバラさんと話し合って取るクラスを決めないといけないんだとか。
特別なコースに進みたいなら、そのコースの必修科目を考慮しないといけないし、4年制の大学に編入するなら、それも考慮に入れて授業を選ばないから、進路の相談はコマメにねって言われたんですけど。
って、待てよ?
4年制大学に編入??
後でエリちゃんに訊いてみたら、アメリカでは編入先の学校によっては、コミュニティ・カレッジで得た単位を丸々持っていけるんだとか。
「まぁ、同じ州内の州立大学だったら、ほぼ100%の単位を持っていけると思うよ」
「マジで? それ、便利だね!」
それをたまたま聞いていた大学中退組のテツさんが、ポツっと言っていた。
「日本の大学もそうだったら、俺、今頃ここにいなかったかもなー」
テツさんが言うには、大学中退組のほとんどの人は大学に入ったものの「学部が自分に合わない」ことを理由に大学を中退してるんだそうで、日本だと編入は出来ずにまた1年生からやり直しだったりするのに、アメリカでは大学によっては日本の大学で取った単位も認めてくれるんだそうです。
アメリカ、寛大だなっ
「ま、さすがに英語は単位を認めてもらえなかったけどね。後は7割くらい単位を認めてもらえた」
もう一度言います。
アメリカ、寛大だなっ
日本でも提携してる大学があれば、編入する時に単位を持っていけるんだそうですけど、テツさんの場合は、提携している大学にもやりたい学部がなくって途方に暮れていたら、アメリカの大学なら「編入」という形が使えるのではって情報を得て、「それだ!」って思い立って現在に至る。
でも、英語があまり得意じゃないテツさんは、4年制の大学に入るために必要な英語力が無かったそうで、ここに来たのだとか。
ちなみに、日本と違ってアメリカの大学は入学時には専攻を決めなくてもOKだとバーバラさんに言われて、それを知らなかった私は思わず舞い踊りました。
私みたいに「将来何になりたいかまだよくわからないから、何を勉強したらいいのかわかりませーん!」っていう人には嬉しいオプションですよ、これ!
そういう私みたいな人は、最初の1、2年で興味のある教科をとりつつ決めていけばいいそうなので、私にも何かこれから見つかればいいなー。
とりあえずは、もうすぐ始まる新学期で、陶芸とウェイトレを頑張りまーす。
あ、英語と数学もあるんだった!