留学生もいろいろなのですが
明日から新入生のオリエンテーションが始まる、という段階になって、寮ですれ違う人の数も、カフェテリアにいる人の数も増えてきた。
ここで気づいたんだけれど、日本人留学生と一口に言っても、色んなタイプの人がいるのですよ。
出身地だけじゃなくて、年齢も割とバラバラなのには驚いた。
私と同期の人たちは、私と同じく日本の高校を卒業してすぐ来た人が3分の1くらい。
他は、高校から留学していてそのまま留まった高校留学組、日本の大学を出てしばらく就職していたのを辞めて来た脱サラ組、日本の大学を中退した大学中退組って感じ。
それから、この町にある某日系企業に勤めるお父さんの赴任に伴ってやってきた、海外赴任組も数人いる。
ちなみに、私による勝手な分析によりますと、英語力の高さは上から高校留学組、脱サラ組。他は皆、同じくらいで個人能力による、かな。
高校留学組は、英語力は現地のアメリカ人並みで、私はそのうちの1人のエリちゃんを、私の通訳兼英語の師匠に認定いたしました。
エリちゃんとは残念ながら同室じゃないんだけど、エリちゃんとエリちゃんのルームメイトのサキちゃんと私の3人は同い年で、話も合って一緒にいると楽しいということもあって仲良くなった。
お陰で時間がある時は、私はもっぱらエリちゃんとサキちゃんの部屋に入り浸りです。
私から1日遅れで寮に入って来た私のルームメイトは、日本人のカナデちゃんで、私と同じ大学1年生になる人なんだけど、歳は私よりもちょっと年上。(「ちょっと」のあたりは何か誤魔化された。)カナデちゃんはここに来る前はシアトル近郊の大学のESL(英語学校)にいたそうで、同じESL卒の子たちと一緒にいることが多いのですよ。
まぁ、それだけじゃなくて、カナデちゃん、いい人なんだけど、何と言うか、「乙女脳」っていうか…。
誰と誰が付き合ってるだの、誰に誰がアプローチ掛けてるだの、彼女の話題の大半がそういう話で、私も興味がないわけじゃないんだけど、でも、ハッキリ言って、
どうでもいい…
かなりパパラッチ気味な情報まで得てくるカナデちゃんに、早くも若干引き気味です。
まぁ、ここには何も娯楽が無いし、一緒の寮に住んでて日本人の数も全学年合わせても30人くらいとなると、どうしてもそういう方面に目が向くのかなー。でも、それでも
マジでどうでもいい…
それは置いておいて、まだ「お初」モードの抜けない者同士で話をすると、どうしても2つの話題は避けて通れない。
1つは「どうして留学を選んだか」
もう1つは「どうしてこの学校を選んだか」
どうもこの2つの話題は、お見合いの席における「ご趣味は?」的な、初期における話題作りのためのネタ振りであるらしくて、ここに来てから1週間の間に何度同じ台詞をあちこちでしたかわからない。
とりあえず、3回くらい訊かれた後は、あえて数えないようにした。
この質問が出たら、心を無にして、ロボットのように同じ回答を繰り返すのみである。
さすがにもう、同じ回答を何度もするのが面倒臭くなってきたから、白いTシャツに「大学受験失敗」とか描いて歩くだけじゃダメだろうか。
アメリカ人にはウケると思う。漢字だから。
あ、でもその場合、アメリカ人にこれらの質問の回答をする羽目になるのか…。それはいただけません。
まぁ、この手の質問って、訊かれて答えた後に同じ質問を返すのが普通。だけど、高校留学組と高卒留学組は割とサクサクとこれらの質問に答えるけど、大学中退組と脱サラ組は、やんわ~り、ぼんや~りと濁す場合が多いことがわかった。
「あー、まぁ、色々あって」
「あ…。えっと…。まーえーやんか、俺の話は」
ってな具合にはぐらかされるので、空気を読むヨイコな私は、深く突っ込まないように気をつけてます。
誰にだって言いたくないことはあるだろうし、それに、アメリカに来る(日本を脱出する)ほどのことがあったわけだし?
何かそういうのって、掘ったら泥沼に嵌りそうなイヤな予感しかしないし?
でも、いるんだ、これが。
そういう話にやたらと首を突っ込んでくるKYな輩が。
「えー? いいから、話してよ~」
「何? 女にでも振られた?」
えーっと。
今現在(知り合って数日)、私たちまだ、単なる「顔見知り」程度の仲だと思うのですよ。
なのに、人が言いたくないって暗に言ってるのに、そこを掘りますかね? ビックリだわ。
こういう人に限って留学理由がとんでもなくスケールのデカイ話だったりするんだけど、その話も盛ってる感がそこここに漂う残念な話なので、あえて突っ込みを入れないであげたら、後でエリちゃんたちの部屋でエリちゃんとサキちゃんから「梓ちゃん、騙されちゃダメだよ!」って教育的指導を頂きました。
「いや、盛ってるなとは思ってたよ?」
私の言葉に、エリちゃんとサキちゃんは疑いの目を向けてます。本当だって!
「でも、その割には『へー、凄いですね~』なんて言ってたじゃん」
いやいや、そんなに感動した風には言ってないから!
「違うよ。『ヘー、スゴイデスネ~(棒読み)』だったでしょ?」
「「どこが違うのかわからない!」」
えー。
私、女優になれるかもって自分で思ってたくらい、演技上手いと思ってたのに、ショックー。
とりあえず、KYさんとはなるべく距離を置きたいんだけど、残念ながら、この学校って、留学生は最初の1学期は必ず寮に入らなくちゃいけないし、留学生が最初に取る英語のクラスとかも割と被るわけで。
彼の存在は割とすぐに、留学生の間で暗黙の懸念事案となり、私は私の「へー、スゴイデスネー(棒読み)」がその後の私を苦しめることになるとは、この時はこれっぽっちも予想していなかった。