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ド根性ガール  作者: ちかぞお
6/16

一字違いが大違いだったのですが

 寮に入った翌朝。

 シャワーを浴びようと思ってシャワールームに行ったら、驚いた。


「し、仕切りが、無い…」


 もはや、「何も無い」のがこの世界では当たり前なのかと思うほど、シャワールームには壁にシャワーが3つ並んでいる他には、何も無かった。


『何してんの?』


 シャワー道具と着替えを両腕に抱えて脱衣スペースで佇んだままシャワースペースをガン見していた私を不思議に思ったのか、アメリカ人金髪女子、ジェシカちゃんが話し掛けてきた。


『私、奥の取っちゃうわよ?』


 彼女はそう言って、着ていたバスローブをぶわさー!と豪快に脱ぎ、全裸で堂々とシャワーに入っていった。

 彼女の全裸の後姿に、ふと、昔テレビで見たプロレスラーの入場シーンを思い出した。

 なるほど。恥ずかしがってる場合じゃない、と…。

 私は着ていたパジャマをいそいそと脱いで、彼女の横でシャワーを浴び始めた。


 この寮には、「お風呂」は無い。

 あるのはこの、プールのシャワーのようなシャワー室のみ。

 ここでアメリカ人女子達は豪快にシャワーを浴びて、おしゃべりをしながらカミソリでガンガン無駄毛を剃っていた。


 そりゃもう、見事なまでの裸のお付き合いである。

 隠してる場合じゃない。

 隠したかったら、夜中とか変な時間に入るしかない。

 ハッキリ言って、無理。


『……?』


 隣でシャワーを浴びていたアメリカ人女子のジェシカちゃんに何か話し掛けられたけど、まんまと聞き取れなかったので「ごめん。もう一回言って?」とお願いしたら、今度はゆっくりと『それ、使ってもいい?』と言いながら、彼女は私の足元のボディーシャンプーのボトルを指差した。


「OK」


「サンキュー」


 ジェシカちゃんはボディーシャンプーを手に取ると、それで髪を洗い始めた。


 え? それ、ボディーシャンプーだよ?

 髪じゃなくて、身体洗うものだよ?


 とは思ったけど、アメリカ人はそういうものなのかもしれないと思ったし、咄嗟にそれが英語で言えなかったので、とりあえず何も言わなかった。


 でも、言わなくて良かった。


 私がボディーシャンプーだと思っていたものは、後日、よくよく見たら「ベビーシャンプー」であることが発覚しました。

 あ、発覚じゃありませんね、私が買う時に見間違えて、そのまま思い込んでただけです、ハイ。


 「BODY」と「BABY」

 1字違いだけど、大違いだよっ!


 あああああ。

 自分の脳みそのこととはいえ、コレくらいの英語は理解して欲しかったよ、私ー!


 後日、買い物に行って、普通の石鹸を買ってきました。

 シャンプーとコンディショナーも買い直しました。

 だって、ベビーシャンプーのお陰で、髪の毛パッサパサになっちゃったんだもの。


 この土地は日本と比べて乾燥しているから、髪も肌も、気をつけないとパッサパサになってしまうのが悩みの種です。

 目下、新入生の日本人女子の話題と言えば「どのボディローションがこの土地の乾燥した空気に打ち勝てるのか」。

 ええ、切実です。

 伊達にタンブルウィードが転がる土地ではございません。


 ちなみに、トイレにはさすがに仕切りはあるけれども、ドアには床から30センチくらいの大きな隙間が開いている。

 つまり、足は膝下が丸見え。

 学校内の他のトイレも同じような作りだったから、これがアメリカ仕様なんだろう、きっと。

 

 この隙間の空き方って、覗こうとすると中が覗けちゃうよね?なんて、何か落ち着かない気分でいたら、週末にアメリカ人の女の子が、トイレの中に入ってる友達にトイレのドアの隙間から水をぶっ掛けて遊んでいた。

 中から「何すんのよ!」っていう怒鳴り声と悲鳴と笑い声が寮中に響いて大騒ぎになり、後日、寮長から「バスルームでの水遊び禁止」が発令された。

 

 どうも水遊びが好きなのか、彼女たちはその後、外の芝生で元気に水を撒いているスプリンクラーに自分から飛び込むという遊びをやっていて、偶然通りかかった私たちが巻き込まれて全身びしょ濡れになった。


 これから先、彼女たちをスプリンクラーの近くで見掛けたら、私の中の警告アラームを最大にして逃げることにしようと心に固ーーく誓いましたよ。

カワイイのは我が身です。


 だって、下着までびしょ濡れになるんだよ!

 何であんなに水圧高いの、アメリカのスプリンクラー!!


実話要素100%(苦笑)

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