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ド根性ガール  作者: ちかぞお
3/16

アメリカに到着したのですが

 成田から飛行機で約9時間。

 慣れない機内で何とか寝た…と思ったら食事だと起こされ、寝不足のボーっとした頭のままで入国審査を受けた。

 書類はちゃんとある…はずである。


『学生さんですか』


「い、いえ~す」(引きつり笑い)


『勉強、頑張って』


「さんきゅー」(愛想笑い)


 胴回りが私の3倍はありそうなデカイオジサンが、ボンボンとリズム良くスタンプを私のパスポートと書類に押して返してくれた。

 第一関門、突破!

 ひゅう(冷汗)、緊張したー!


 税関も難なく通りました。

 ヤマシイ物は何も持っていないとはいえ、妙に緊張しましたよ!


 空港のターミナルビルから外へ!

 ウェルカム・トゥ・アメリカ~!


 っつっても、まだ空港の敷地内なんで、周りに何もありませんけどねっ


 私の初渡米にあたり、父が保護者として同伴することになったんだけど、渡米経験も無ければ英語も話せない父と娘の2人では目的地に着く前に野垂れ死にしかねない。


 というわけで、助っ人の登場です。


 アメリカ留学経験もあり、偶然にも私が通うことになる短大に通った経験のある叔父さん(母の弟)が付き添ってくれることになりました。

 ぶっちゃけ、ものすごく心強いです。


 叔父さんはササっとレンタカーの手配をして、私たちはスムーズに予約していたホテルにチェックイン。

 全ての遣り取りをササッと英語で済ませる叔父さん。

 単なるお茶目な中年男性ではなかったのね。

 私の中で今、「私が尊敬する人ランキング」の上位に叔父さんが笑顔で急上昇してきましたよ。


 部屋で少し休んだ後、折角だしってことで、ちょっとシアトルの街を観光することになった。

 有名だという市場では、これまた有名らしい、魚をブン投げるナイスガイなおにーさんを見ることができた。

 他の観光客っぽいオバちゃんとかに囲まれながら写真にも納まってて、アイドルか? 魚のナイスガイ。


 市場では野菜やフルーツとかも売ってたり、お花とかちょっとした雑貨みたいなものも売ってたりして、面白かった。

 石畳の道とか、古くからの町並みも残っていて、「外国に来た!」って気分になれる。


 いや、実際ここ、外国なんですけどね?


 ちょっと休憩するかってことになって、近くにあったファストフードのお店に入った。

 そして、事件はここで起こった。


 コーヒーを頼んだ父が、コーヒーに入れるミルクを頼み忘れたと言うのである。


「梓、ちょっとお前、貰って来てくれ」


「うん、わかった」


 ハッキリ言って、私はこの、日本のチェーン店とほぼ同じ内装のこのファストフードのお店で、日本と同じ様にコーヒーのミルクを下さいって言えばいいと思ってました。


 いや、それはある意味、正しいんですけど。

 正しくなかったのは、私の認識です。

 そう、ここはアメリカなのだ。

 つまり、店員さんはアメリカ人なのですよ。


『何をご注文ですか?』


「えーっと、ミルク ふぉー コーヒー、プリーズ?」


『はい?』


「ミルク プリーズ」


『は?』


「ミルク」


『コーク?』


 この後しばらくミルクとそれ以外の応酬を続けた私と店員さんだけど、段々と店員のおねーさんの眉間の皺が深くなってきたので、私は焦りまくった。

 恐るべし、ミルク。

 頑張って発音してるのに、全然伝わらないよぉぉぉぉ!


 先に根をあげたのは、店員さんの方だった。


『それ、スペルは?』(超ぶっきらぼうになった!)


「M I L K」


『ああ、なんだ。ミルクね。ハイ。(と言ってパックの牛乳を出してきた)

 $1ドルになりま~す』


「……」


 これじゃないと思いつつ、でも、何て説明したらいいのかもう許容範囲超えだった私は、とりあえず持っていた財布から$1出して払いました。

 小さなパックの牛乳を持って席に戻ったら、父親は「こんなにいらないよ~」と笑い、叔父さんからは「コーヒーに入れるあの小さなミルクは、『クリーム』だな」って言われた。


 もっと先に言ってよ!


 っていうか、もう2度とミルクなんて注文しない!!

 

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