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ド根性ガール  作者: ちかぞお
15/16

仮装をしてみたのですが

 10月に入ると、学校の構内や街のお店にハロウィンの飾りが増えてきました。さすがは本場です。

 本場だから、おどろおどろした飾りが多いのかと思ったら、意外とカワイイ飾りも多くて安心しました。

 でも、時折住宅街で見掛ける本気のデコレーションはどうにかならんものでしょうか。トムさんのアパートの近所の一軒家なんて、庭が墓地化してて、怖すぎるんですけど。


 私が何故トムさんのアパートの近所を知ってるかというと、トムさんに連れて行ってもらっちゃったからです。

 ええ、大人の階段を昇…るとみせかけて、まだキス止まりですけど、それが何か?


 トムさんと話をしていて、日本食の話になり、何か久しぶりに「普通の」日本食が食べたいねってことになって、それなら作ろうということになったのですよ。

 一緒にキッチンで料理なんてしちゃって、まるで新婚さんみたい♪ウフ♪

 

 なーんてことは思いませんでしたよ、残念ながらっ!


 こちとら、使い慣れない他人様のキッチンで、久しぶりに作る料理を間違えないように、そりゃもう必死でした。

 だって、そうでしょう? 好きな人の前で失敗とか、笑い話になる範囲ならいいですけど、「こいつ、料理もできねーのかよ」とか思われたら、私をどうか穴に埋めて下さいって思いますよ。

 私にだって、一応、それなりに、乙女心ってもんがあるんですっ!


 それはそうと、学校でも「ハロウィンパーティー」なるものが開催されるそうです。

 そんなわけで、コスチュームが被っても困るんで、女子は何を着るのかを、ランチを食べながら絶賛会議中でございますよ。


『私は、バニーちゃんになろうと思うの。実家にいた時は親がうるさかったからそういう格好、出来なかったじゃない?』


『いいわねぇ、バニー。私はセクシー・ウィッチでいくわ』


 おいこら。ちょっと待てや、アメリカ人女子。何でハロウィンでバニーやねん。セクシー・ウィッチもなんなのよ。


『ズーはいっそのこと、キュート系で攻めてみれば?』


『赤ずきんちゃんとか、ズーちゃんに似合うんじゃない?』


 えっと、何か勝手に私のコスチュームを決められかけてるんですけど…。赤ずきんちゃんって、ドイツの子供系コスチューム…ですよね?


 女子コスチューム決定会議(?)の結果、私は赤ずきん、サキちゃんは看護婦、エリちゃんは海賊になりました。

 あれ? ハロウィンって、お化けとか魔女の格好するんじゃないの? 赤ずきんも看護婦も海賊も、お化けとか魔女じゃないよね?


「御希望なら、ホラーな赤ずきんでもいいけど、やっぱりキュート系にしておいた方がいいんじゃない?」


「そうそう、ズーちゃんはキュート系がいいよ!」


 何故か皆さん、キュート系推しです。何でだ? っていうか、何かの陰謀すら感じますけど。


 そんなわけで、週末にトムさんに頼んで、皆で一緒にお店に行って、コスチュームやら小道具やらを買うことになりました。

 大きなお店にはハロウィン・コーナーができていて、そこに行くと、通路一杯にダーーーっとコスチュームが並んでいて壮観です。

 いやぁ、マジだね、アメリカ人!


 ほぼ無造作に並んでいるコスチュームを掻き分けつつ、お目当てのコスチュームを探す私たち。ほぼ全てのサイズが「ワンサイズ」。つまり、サイズ分けが無いので、とにかく見つけたものをカゴに入れて、どれにするか吟味することにしました。

 うーん、赤ずきんはチョイスが1択しかないです。看護婦と海賊は何種類もあるのになー。

 そして、何だ? この、妙に短いスカートは…。

 パッケージにある見本の写真で、妙に色っぽいおねーさんが「うふ♪」って感じにポーズを作ってるんですけど、スカート、太ももの真ん中辺りまでしかありませんけど。本当にコレを私が着るの?


「おお、いいね。カワイイじゃん」


 パッケージをガン見していた私に、トムさんが声を掛けてきました。

 トムさん、何か反応がエロオヤジですけど…。ちょっと引くわー。


「んー。でも、スカート短くない?」


「そこがいいんじゃん」


 あ、ごめんなさい。マジで身体が引いちゃいました。

 そんな私を見て、トムさんが残念そうな顔になりました。何故残念そうだ?


「えっと、アズはこういうの、着たくない?」


「んー。着たくないっていうよりは、恥ずかしい、かな」


「じゃ、パーティーには着なくていいから、うちで着てみるのはどう?」


「そっちの方が恥ずかしいってば!」


 もう、諦めました。はい、赤ずきんコスチューム1点、お買い上げです。

 まぁ、サキちゃんのセクシー・ナース(何か胸のところがやたらと大きく開いてないか?)とかエリちゃんのセクシー・パイレーツ(スカート丈はもちろん短い上に、網タイツも買ってますけど、この人!)とかに比べれば、まだ露出は少ない方、かな?


「あれ? トムさんは買わないの?」


「俺のは、秘密」


「えーー。ずるいー」


 そして迎えたハロウィーンパーティー当日。

 パーティー会場に行く前に、既に寮内がカオスです。

 トイレットペーパーぐるぐる巻きのミイラ男とか、暗闇で骨が光るガイコツ男とか、何で皆そんなに気合入れてんの!


 会場になっている学校のホールに行くと、そこはさらに輪をかけてカオスでした。

 そして、アメリカ人女子が言っていた「バニーちゃん」とは、ウサギのヌイグルミではなく、バニーガールであったことが発覚しました。そっちかー!

 本気の魔女の衣装を着ている女子はほんのわずかで、残りは全員セクシー系。何なの?ハロウィンって何の祭り?

 そして、何故か日本のアニメのキャラクターもいます。コミケか、ここは? っていうか、結構多いな、日本のアニメファン! 顔を覚えておいて、今度声を掛けてみよう。お友達になれると思う。


 エリちゃんたちと一緒に会場のデザートコーナーでクッキーをつまんでいたら、後ろから急に誰かに抱きつかれました。何? このモフモフ感!


「うぎゃあ!!」


「アズ、うぎゃあはないでしょ?」


 はれ?と思って、声のした方をみると、そこには毛むくじゃらの狼がいました。


「ふぎゃあ!」


「俺だってば、アズ!」


「と、トム、さん?」


「あったりー」


 狼の頭がちょっとずれて、中からトムさんの顔が見えました。はああああ。心臓に悪い…。


「っていうか、何ですか? この、マジな仮装は…。着ぐるみって…」


「え? だって、赤ずきんといえば、狼じゃない?」


「…まさか、それでやたらと周りが赤ずきん推しだったり、とか?」


「あはは。当たり」


 やっぱり。私のコスチュームはトムさんの陰謀でした。


「アズ、カワイイ♪」


 喜んで頂けたのは嬉しいけど、そのモフモフ(しかも人工だからちょっとチクチクする)で抱きつくのは止めて欲しいと切に思います。


 結局、赤ずきんちゃんはその後、狼さんに美味しく頂かれました。

 

 っつっても、まだキス止まりだけどねっ!


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