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志室幸太郎さまの「コロンシリーズ」参加作です。
灯がともる。
灯がともる。灯がともる。
灯がともる。
灯がともる。
灯がともる。灯がともる。灯がともる。
灯がともる。灯がともる。
灯がともる。灯がともる。
灯がともる。灯がともる。灯がともる。灯がともる。灯がともる。灯がともる。灯がともる。灯がともる。灯がともる。灯がともる。灯がともる。灯がともる。灯がともる……
そしてわかった。あってはならない書がある。朽ちなければならない書がある。私に收められ、そして朽ちていかなければならない書がある。
あってはならない書。あるはずがない書。
歴史を收めた私の外においてさえ、あってはならない書。あるはずがない書。
收められたいくつもの書から、それがわかる。
もし、誰かが、それらがあるのだと認めたなら、それらは朽ちることなく私から出ていく。
朽ちかけている書がある。その書を理解するのを、ほかの書が助けてくれる。書を探すものの書。そこには統計があり、確率があり、条件付き確率がある。それらが、書から失なわれた箇所をとりもどそうとするものだとわかる。ほかにともる灯によって、それらがそれらであるとわかる。それらはあるはずがないものだとわかる。その書が灯であったときには、あるはずがないものだとわかる。私に收められているのだから、それらがあったとわかってはいないのだとわかる。
もし、それらがあることがわかってしまえば、私の外の灯は、書になる灯は、何を想うだろう。ほんとうのことがわかる。それだけであるなら、その書は私にやってこない。だけど、ほんとうのことがわかるだけではすまない書がある。私の外にある灯にとって、それはただやりなおしただけだとわかる書がある。私の外にともる灯よ、あなたはそれを知らずに誉れをえようとしたのだ、誉れをえたのだとわかってしまう書がある。そうなってしまえば、私の外の灯は、書になる灯は、何を想うだろう。
だから、あってはならない書、あるはずがない書が私に收められる。
書が私から出ていってしまえば、この灯は一つ、一つと消えるのだろう。それでも私は想う。どうか、私の外でともる灯であってほしいと。
異端書(の一部)を收める部屋の話。
「書に宿る灯が私にも灯をともす。あるはずがない書に宿る灯が私にも灯をともす。私は、あるはずがない書を收める部屋」