親友と先輩
前作での主人公は口が悪かったんです。
そのせいかな?
その日帝様とヒロイン様が仲良く食堂でご飯を食べているところに遭遇してしまいました。
「麗!一緒に座らないか?」
帝様、女連れでなにいってるんですか?
「み、帝様、私は友達を待たせて居ますので………」
残念そうな顔をしてくれています。
嬉しいですが………
あの席修羅場じゃない?
って言われるに決まっていると解りませんか?
私が友達の三森未来ちゃんの所に急ぎます。
「麗!何でこっち来た!負けてんじゃねえよ!」
「み、未来ちゃん口が悪いです。」
「ムカつくな~!糞王子!私の麗を悲しませてんじゃねえよ!」
未来ちゃんは口は悪いですが一番の友達で伯父様の女の子バージョンの様な人です。
「ありがとうございます。未来ちゃん。でも、負けた訳では無いのです。」
私から仕向けているのです。
格好いいライバルキャラを演じきりたい!
そう思って何が悪いのでしょうか?
「なんだよ。麗ってば余裕だね~!あんなんには負けないから昼飯の時間くれてやっても良いって?」
未来ちゃん………なぜ、そう解釈したのですか?
「未来ちゃん……私は別に…」
「王子なんて好きじゃない?」
「未来ちゃん!これ以上は怒りますよ!」
「冗談だよ~!」
未来ちゃんはばつの悪そうな顔をして頭をかいた。
「でも、麗。王子は麗と食べたかったみたいだぞ!私の方むっちゃ睨むし、今は凹んでる。」
私は振り返りたいのを我慢しました。
もし、本当に未来ちゃんの言う通りなら、私はきっと悪役令嬢のようにヒロイン様を扱ってしまうでしょう。
『その席は私の席ではないかしら?』
なんてね。
怖くて言えません。
「帝様は睨んだりしません。」
「………マジで言ってる?アイツに睨まれること滅茶苦茶有るんですけど!なに、麗にバレない様にやってんの?陰湿!」
「未来ちゃん。怒りますよ。」
「………へいへい。」
私は昔、未来ちゃんにイジメられていたことがあります。
私がお嬢でムカついたって後から教えてくれました。
仲良くなったのは私が怒ったから。
未来ちゃんいわく、麗様を怒らせると自分は生きていたらいけない人間だと思わされる。二度と麗様には逆らわない、むしろ守るぜ。って言われました。
あれぐらいで何を言ってるんだか?
「麗!それ美味しい?」
「欲しいのですか?」
「うん!」
未来ちゃんは口は悪いですが明るい茶髪を短くボーイッシュボブにしていて同じ色の瞳は大きくて演劇部の王子様って呼ばれて居るのです。
「しかたのない人ですね。はい、アーン。」
私は付け合わせのポテトサラダを少しとると未来ちゃんの口に運びます。
「アーン!上手い!ありがとう!へへ。」
なにやら未来ちゃんがどや顔です。
「どうしました。」
「優越感に浸ってみた。」
「なんのですか?」
未来ちゃんは嬉しそうに笑います。
「君はそのままで居てほしいものだね。私の姫。」
「また、伯父様と同じ様な事を。」
「おっさんと一緒にすんなよ~!あんなに柄悪くないぞ~!」
私はクスクス笑ってしまいます。
「イケメンで私の事をお姫様呼びするところがそっくりですよ。」
「げー!私の方がイケメンだろ?」
「………どちらも私は大好きですよ。」
私は柔らかく笑顔を作りました。
「………やられた。」
未来ちゃんは照れてしまったようです。
真っ赤になってしまった未来ちゃんは両手で顔をおおってしまいました。
「未来ちゃん真っ赤です。」
「だー!ヤバイ!道を踏み外してしまう~!」
何の話でしょうか?
「小悪魔だな。」
「さっきの笑顔写メに残したかった~!」
「麗様可愛すぎ!」
「俺にも微笑んで~!」
なぜだか回りの席の人達にざわざわされました。
いっぺんに言われると何を言ってるんだか解りません。
お友達をからかってしまったからでしょうか?
「だ~!私以外は麗を見るな~!」
未来ちゃんが、ざわざわする人達に威嚇します。
未来ちゃん顔が怖いです。
放課後。
私は図書室に居ます。
「麗様。今日はどう言った物をお探しで?」
図書室で良く会う彼は三木谷達也先輩です。
少し前髪が長いですが優しげなたれ目が印象的です。
髪の毛も長めで後ろで一つに纏めて居るのが女性の様です。
線が細いからでしょうか?それとも色白だから?
とにかく後ろから見れば女性の様に見える先輩です。
「三木谷先輩。この間はオススメの本をありがとうございました。面白かったです。」
「オススメの本があるのですが、いかがですか?」
「良いんですか?」
「はい!とっても!」
「あ、違くて、三木谷先輩にオススメしていただいて迷惑ではありませんか?受験生ですのに、私が勉強の邪魔をする訳にはいかないので。」
「ああ………麗様はお優しい。ですが、勉強の息抜きとしてオススメさせていただきたい。」
私も来年は同じように勉強しているのでしょうか?
「お願いします。」
「喜んで!」
三木谷先輩のオススメの本は外れがなくて良いんです。
「どう言ったジャンルが良いんですか?」
「では………恋愛で。」
三木谷先輩は足がもつれた様に前に転びそうになっていました。
「だ、大丈夫ですか?」
「はい!恋愛ですね。」
三木谷先輩は苦笑いを浮かべます。
「苦手なジャンルでしたか?」
「いえ。大丈夫です。麗様のドキドキするような話を選んで差し上げます。」
三木谷先輩は胸を張って見せてくれました。
「頼もしいです。」
「え?」
「たよりにして居ます。」
私が笑いかけると三木谷先輩は真っ赤になってしまいました。
「大丈夫ですか?」
「女性に免疫が無いので………すみません。」
三木谷先輩はどうやら免疫をつけるために私に話しかけてくれて居るようです。
そのあと、三木谷先輩に本を二冊選んでもらい帰りました。
本当に三木谷先輩のオススメは外れがなくてドキドキさせられてしまうのでした。
オススメ言い過ぎです。
反省。