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伯父様

伯父様とは名ばかりのイケメンです。

一時間目の休み時間私はスマホ片手にトイレに駆け込み伯父様にメールです。

『伯父様は今、日本に居ますか?お迎えになんて来られませんよね?』

私のメールに1分しないで返信が来ます。

『勿論日本に居るよ。麗が我が儘を言ってくれるなんて!嬉しいからどこへでも迎えに行くよ。私のお姫様。』

伯父様………お姫様はさすがの私も引きます。

とりあえずスルーします。

『では、放課後。学校でお願いします。』

私はそれだけ返してトイレを出ようとしました。

けれど、他の生徒の声に出るに出れなくなってしまいました。

「麗様も心美が帝様にちょっかい出してるってわかってんだよね?」

「余裕らしいよ!」

「油断してる間に心美取っちゃいなよ!」

どうやら今朝のヒロイン様が今正に同じトイレに居るようです。

「み、皆止めてよ!!でも、諦めたくはないかな!」

「「心美可愛~い~!」」

お友達さん達に宣戦布告のようです。

それでこそヒロイン。

帝様を幸せにしてくれる人。

私は密かにガッツポーズをしてしまいます。

「麗様も家の地位に甘えすぎだよね!」

「家は凄いけど貴女は?みたいな?」

「悪口駄目だよ~!」

ヒロイン様は優しいですが、流石に凹みます。

甘えているつもりはありません。

むしろあの家では血の繋がりは関係無いんです。

で、なかったら伯父様が家に居ないはずなんです。

お祖父様の子供、正妻から妾さんまでたくさん居るんです。

その中でもお祖父様のお家に住めるのは跡取り候補な、らしいです。

私も実は一緒に住んでるんです。

何時他に部屋を用意した。って言われるんじゃないかって冷や冷やです。

頑張っているんです私。

だって、帝様の横を胸はって歩けるように必死なんです。

実は頑張らないと何も出来ない子なんです。

ごめんなさい。



放課後。

「車が来るまで一緒に待たせてもらっても良いかい?」

帝様は本当に優しい人です。

私は驚いて頷く事しか出来ませんでした。

伯父様の車はすでに居ました。

「おい糞ガキ、俺の麗の回りをうろついてんじゃねえよ!」

「いやいや、義伯父上、僕は正式な彼女の婚約者なんだってわかってるんですかね?」

伯父様は眉間に皺を深く刻んで睨み付けます。

ヤ○ザ屋さんの様です。

帝様は仏様の様な笑顔です。

なぜ笑顔なのに怖いのでしょう?

不思議です。

「ああ、そうだったな!みかん君!君が俺の麗の婚約者だったな。すぐ忘れちまって悪いな!お詫びにこないだの旅行の写メ見せてやるよ。」

私は伯父様のセリフにフリーズからのダッシュです。

「なっ!?」

私は直ぐに伯父様の携帯を奪いました。

間に合ってませんけど。

「お、伯父様!絶対に誰にも見せないってやく、約束しましたでしょ!」

旅行の写メは露天風呂での私です。

勿論水着です。

伯父様の選んだ水着です。

私の趣味ではありません。

「つい、自慢したくなってな!」

帝様にあんな写メを見られるとか恥ずかしくて死ねます。

「麗!」

「はい!」

ほら怒っています。

「みかん!お土産にこの写メ送ってやろう。」

「だ、駄目~!」

私の叫びも虚しく伯父様は容赦なく帝様に私の写メを送ります。

「義伯父上!ありがとうございます!大事にします。」

「おう!大事にしろ!それが一番レベルが低いからな!」

「伯父様~!」

本当に許して欲しいです。

いつか伯父様の携帯はへし折ります。

「麗。バックアップしてあるから携帯どうにかしても、あんな写真やこんな写真は無事だからな!」

「心を読まないで下さい!あの写メは消して下さい。」

「麗は本当に色っぽくなったよな!」

「誤解されてしまいます!止めてください!」

私が必死に抗議すると、伯父様に抱き締められてしまいます。

「じゃあ行こうか俺の姫君。」

伯父様に捕まったら逃げられません。

「あ、帝様、また明日。」

帝様は苦笑いを浮かべて言います。

「麗。また明日!」

ごめんなさい。

帝様。

ヒロイン様と一緒にお帰り下さい。



私がシュンとしているのを見て伯父様は苦笑いを浮かべます。

「そんなにみかんが良いならアイツと帰れば良かったんじゃね?」

「伯父様。私はヒロインでは無いんですよ。」

「は?」

伯父様は怪訝そうな顔をしています。

「お前がヒロインじゃねえのか………アイツが王子様じゃないか?じゃね?」

私はクスクス笑ってしまいました。

「帝様が王子様じゃないわけ無いのです。」

「俺からしたらお前がヒロインじゃない意味が解らん。」

伯父様も本当にお優しい人です。

「私は伯父様を王様だと思ってます。」

「ははは。王様か~!だったらお前のために国を作って城を建てねえとな。姫君。」

私は伯父様に微笑みました。

「国もお城も要りません。王様。私は王子様が幸せになってくれればそれで良いのですよ。」

「健気だね~!みかんには勿体ね~よ?」

「きっと私はフラれます。」

私の呟きに伯父様は驚いた顔をしました。

「ないないないない。みかんは麗をてばなさねえよ。俺はみかんの事をからかうけど気にいってんだぜ!お前のエロい写メ送ってやるぐらいにはな!」

でも、あの可愛いヒロイン様の面倒を見ていたらきっと私なんて………

「もっと可愛くなりたいです。」

「今度は欲深くなる話か?今のままでも十分すぎるぐらい可愛いだろ?それ以上可愛くなったら、みかんになんてくれてやらん!俺の嫁にする。」

私はついつい笑ってしまいました。

「ありがとうございます。伯父様。」

今日、伯父様を呼び出したのは正解だったと思わずにはいられません。

伯父様は帝を気に入って居ますが、帝は伯父様大嫌いです。

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