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地に堕ちる  作者: 晴香
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初めての会話

そこに行くと中河賢人以外にも4人ほどのまなみちゃんの友人がいた。一人の女の子を紹介される。

「聖香さんだよ。聖香さん、この子は美里です。」

小声で私たちに向かって話すまなみちゃん。

「聖香さん、美里もね、今不倫してる彼がいるんですよ。美里、聖香さんも不倫してたんだよ。仲間ー。」

「え、そうなんですか。そんなことしなくてもモテそうなのに。」

「まあ、私は終わったことだけどね。美里ちゃんは現在進行中なの?」

「はい。もう1年になるんですけど。」

なんの悪びれもなく話す彼女を見て、私も不倫をしていたときはこんな風に見えていたのか、と考える。間違った方法で幸せを手に入れることを平然とやってのけ、堂々としている。不倫が悪いことだとは思っていないのだろうか、と不思議に思う。私自身、不倫をしていたとき、不倫が悪いとか自分は悪いことをしているなどという罪の意識などなかったことは確かだ。それが過去のことだとなると、現在進行中で不倫をしている子を見ると信じられない、というような思いになっている自分の矛盾に嫌気がさす。振り返ると中河賢人がいた。

「こんにちわ。私のこと覚えてる?」

「こんにちわー。覚えてますよ。後期の授業一緒でしたよね。聖香さんの方こそ僕のこと覚えてますか?」

「覚えてるよー。あんまり話したことなかったけどね。履修決めたの?確か、同じグループの子が中河くんも教職取ってるって言ってたんだけど、取ってるの?私も教職取ってるよ。教員志望ではないんだけどね。」

「教職取ってます。聖香さんも取ってるんですね。教員じゃなかったら、何で教職取ってるんですか?」

「私、塾の先生になりたくて。それで教職関係は勉強しとこう、て思って取ってる。もともとは教員にも憧れてたんだけどね。」

「そうなんですか。良かったら、履修の相談のってくれませんか?教職の科目とか不安で。取りこぼしがありそうで。」

「あー、全然いいよ。私もよく履修のとき何回もチェックしてた。不安だよね。」

こんな会話をしながら、彼の履修科目をチェックする。

「そういえば、私取ってなかった授業、今年取れたら取ろっかなあって思ってたんだけど、もし取りたいのあれば一緒に取らない?一人より誰か居た方が心強いし。」

「取ります!取ります!一緒に受けたいです!」

中河賢人の嬉しそうな顔を見て微笑ましくなる。そういえば彼は私のことを可愛いと言っていたんだった。喜んでくれてるのか。そう思うと嫌な気はしなかった。履修する科目を決め終わると彼は連絡先を聞いてきた。私は二つ返事で連絡先を交換する。正直、私に向かって嬉しそうに話す彼を可愛いと思っていた。

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